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| 光の向こうに 〜ブラインドサッカー 07/04/18 (水) | <前へ|次へ|indexへ> |
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兵庫の星 文/杵川希(キネカワ イツカ) |
2007年3月、関西に新しい星が生まれた。仕事の関係で大阪ダイバンズを離れ、兵庫でチームを作るべく活動していた田中重雄選手を中心とした、ブラインドサッカーチーム・兵庫サムライスターズがそれだ。
転勤で兵庫に来た元多摩ハッサーズの天川選手。弱視のサッカー経験者である森岡選手。元アテネパラリンピック100m走金メダル選手である斉藤選手。森岡選手の勧誘を受けた今島選手。そして、大阪から移籍した石森選手(コーラー)。この5人に日本代表のコーラーとして昨年末のワールドカップ・アルゼンチン大会にも出場した枡岡監督を迎えたチーム。4月15日大阪府立盲学校で開幕した西日本フレンドリーカップで、初の勝点1を獲得した。
「無理は出来ない。だからまず守備をしっかりと」。4月1日に行った練習が大会前たった一度の合同練習だった。全員が職を持ち、時間の噛み合わせがうまくいかず、ほとんどぶっつけ本番での公式戦となった。これまで、主に守備を担当してきた天川、斉藤両選手の体躯を生かしたしぶとい守備で当座を凌ぐ。個人練習こそしてきたが、半ば見切り発車的な初陣となったことで、ひとまず理想を捨てて試合に臨んだ。
そしてラッキーストライカーズ福岡との一戦。事はうまく運んだ。初心者である今島選手を最前線に置き、中盤から後方は天川選手と斎藤選手のフィジカルにものを言わせた守備と、カバー役に徹した森岡選手、最後尾で守備の指示を送った田中選手の4人で守りぬいた。
スコアは0−0。「まだまだチームとは呼べない状態なんで、初の勝点1は嬉しい。でも、正直いってプラン通り」。それぞれが違う場所で、違うブラインドサッカーをしてきた。できたことができないというブランクも多少はある。しかし、なにはともあれ、対抗手段として掲げていた堅守を存分に発揮して得た勝点1が、今、燦然と輝いている。
「今島さんの成長に期待です」。田中選手が推す今島選手は、これまでの24年間の人生で野球をしてきた。サッカーをまともにプレーするのは、4月の練習を合わせて今回が2度目。試合ではほとんど動けず、ボールに触ることさえできなかった。味方のドリブルが鳴らす音なのか、ルーズボールの音なのか、相手が鳴らすボールの音なのか、その区別もできない。パスを出すというレベルにさえ、まだ到達していない。
しかし、「シュートは武器になりそうです。それが活かせるようになればチームはうまく軌道にのれそうです」(田中選手)
その言葉どおり、今島選手がウォームアップの時に見せるシュートは、流星のように速く、そして鮮やか。田中選手の言う「無理は出来ない」という言葉の裏には、「今島選手がサッカーに慣れてくれば、チームは飛躍できる」という期待が込められている。
本人にも恐れはない。アイマスクの向こう側で何がどう動いているのか。考えてしまえばそれまでだ。何よりも先にたつのは恐怖となってしまうものだが、今島選手はサイドライン沿いに逃げ込むこともせず、敵陣中央でどっかと構えている。足下にボールが収まれば・・・。振り向いて足がボールを捉えれば・・・。そんな特大の期待を抱かせる図太さを持っている。福岡戦でも3本のシュートを放った。大阪との交流戦でもトラップ、反転、シュートの動作を90%成功させた。あとはボールを枠に飛ばすだけというシーンだった。
「関西のリーグには(関東と比べて)ドリブラーがいない。だからボールにさえ素早く反応できれば守れる」
一際目立つ筋肉質な体躯を持つ天川、斉藤両選手が中盤で体を張ってボールを奪い、動き出しに躊躇のない森岡選手がパスを受け、前線の今島選手へ繋ぎ、トラップ、反転、シュート。それが構築されれば、西日本は大いに荒れる。これまで大阪ダイバンズの天下だったマンネリに終止符を打てる。
時間はかかるだろう。この先、それぞれのブラインドサッカー経験からくる反発や妥協点も生まれてくるだろう。次の公式戦は2ヵ月後の6月24日(福岡フットボールパーク)。勝点3を目指して、兵庫はチームのパズルを埋めていく。
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