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 光の向こうに 〜ブラインドサッカー 07/06/16 (土) <前へ次へindexへ>

 8m中央
 

 文/杵川希(キネカワ イツカ)
光の向こうに:

文/杵川希

 ブラインドサッカークラブ・大阪ダイバンズでは、底(フットサルで言えばフィクソの位置)を担当する選手のスタート地点は、常に8m中央となっている。

 昨年までは6m付近が常だったが、ボールの位置を瞬時に把握し、相手よりも一歩早くスタートが切れるよう、その判断力と俊敏性を活かすために高い位置を保つようにしている。攻められ続けてもズルズルと下がってしまうことのない、代表選手3人を抱えるチームならではのスタイルである。

 彼らは、ピッチに立てばGKや監督が何も言わなくても、8m中央のポイントに立つことができる。練習でも試合でも、ボールが左右に動こうが、最初と最後の位置を常に把握している。いざ動け、いざ戻れ、その基準点を決して忘れることがない。GKに声をかけたり、掛けられたりするのは指摘してもらうためではなく、単なる確認のためで、自分がスタート地点からどちらの方向にどの程度動いたかを意識しなくてもわかる。

 彼らはこの才能を慣れと感覚と言う。それ以外、言葉にしようがないと言う。実際この才能はブラインドサッカーを始めたからこそ芽生えたものであり、ブラインドサッカーだから活きる才能でもある。



「戻る」というプレーを熟知した選手は、「戻れる」ことによって次のシーンに素早く対応できる。たとえ戻れなくても、その位置さえわかっていれば応用は十分に聞くのだと知っている。ゴールの方向と距離、相手の位置と狙い、それに加えてもう一つの基準を作ることで、動ききれないということがほとんどない。ボールが来れば寄せて奪う。8m中央から伸びた紐を腰に巻きつけたかのように、上下左右狂いなく足を運ぶ。

 ダイバンズでは山口、落合の2選手が特に優れている。1対1や1対2の練習中、ワンプレーが終わると何事もないように、まるで吸い寄せられるように8m中央へ戻る。安心できる場所であり、自分を信じれる場所として、ゴール前8m中央は常にそこにある。

 8m中央。それはダイバンズにとって、見失うことが許されない、しかし見失うことのない、確固たるスタート地点。支点、力点、作用点。その全てを司る唯一絶対のマーキングポイントなのである。




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