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| 光の向こうに 〜ブラインドサッカー 07/07/14 (土) | <前へ|次へ|indexへ> |
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兆しと証明 取材・文/杵川希(キネカワ イツカ) |
後半4分、兵庫サムライスターズの天川選手が京都プリティウェル陣内へドリブルで攻めあがる。京都は自陣に張り付き、人海戦術でゴールを守る。左から持ち上がった天川選手は、右サイドに張った今島選手の声を聞きながら、ボールを運ぶ。混戦状態となったゴール前、天川選手に身体を寄せる京都守備陣が足を出す。その間隙を突き、天川選手の右足つま先がボールを捉える。イレギュラーなタッチで押し出されたボールは、角度とスピードを変えてGK柘植選手の股下を抜け、ゴールネットに転がり込んだ。
前半から幾度となく繰り返してきた攻勢。耐え凌ぐ京都の粘りに、いつくたびれてもおかしくない状況だった。しかし、天川選手のつま先が、今季の西日本フレンドリーカップ最初のゴールとなって兵庫を勢いづかせた。全4チームあわせて初めての公式戦ゴールは、結成3ヶ月あまりの兵庫に大きな兆しをもたらした。
残り時間30秒が早かった。変わらぬ攻勢で追加点を狙った兵庫に女神が微笑む。1−0。スコアこそ僅差だが、内容は京都を圧倒した。ルーズボールへの寄せが早く、一度キープすればそう簡単には奪われない屈強な戦士を揃える兵庫が、勝利を告げるホイッスルに両手を天へと突き挙げた。斎藤選手の背中に飛び乗るGK田中選手、吸い寄せられるように、決勝点を決めた天川選手の下へ駆け寄るコーラー、両拳を作って笑顔を見せるベンチ。チームとしての公式戦初ゴール、リーグ全体としての初ゴール、そして結成3ヶ月にして手にした初勝利。スコアレスドローの混戦が続くリーグ戦から一歩抜け出す、記録的な勝点3を手にした兵庫は、最終節を前に単独首位に躍り出た。
4月、0−0で終わった福岡とのリーグ開幕戦で見せた粘りはチーム力として根付いていた。フィジカルに優れた選手が多いため、ボールと相手の場所さえ素早く把握できれば、そう簡単にゴールは許さない。攻撃面も、月に1,2回の全体練習しかしていないとは思えないほど、個々が補完的な動きを見せた。結成間もないチームにありがちなエゴイスティックなプレーはほとんどなく、チームの戦い方と軸が試合中ぶれることがなかった。
「味方がどういう選手なのかわからない。だからまずは守備から」
リーグ戦開幕前にGK田中選手が語っていた通り、兵庫は確かに堅実で強固だった。
「まだまだですよ」
勝利の余韻に浸りながら、チーム全員で輪になって昼食を取る兵庫は、お互いの経験してきたサッカーへの意識を持ち寄り、出来合いのそれがまた新しいチーム力を生んでいる。
結成、ゴール、勝利、首位浮上・・・。忍耐と総合力で、焦らず地道に組み立ててきたこの3ヶ月が多くの兆しを生んだ。サッカー初心者の今島選手の成長も引き続き期待できる状況で、一度味わった勝利の味も忘れない。あと一つ、王者大阪と戦う最終節に勝てば、「絆と絆のサッカー」と呼ばれるブラインドサッカーで、結成期間を考えれば奇跡とも言える優勝を手にすることが出来る。
ただ一つ、気になるのは日程だけだ。7月28日から8月8日にかけて、日本代表がブラジルでの「第三回IBSA World Championship and Games」に出場し、10月21日から27日には韓国で、パラリンピック出場権獲得も兼ねたアジア杯が開催される。そのため、クラブ単位で動ける時間がほとんどない。次のリーグ戦は9月(詳細未定)。大阪との大一番が残されている。王者の意地と巻き返しを図る大阪との激突。しかし、そのテンションはひとまず静かに寝かせておく。
いくつかの大きな兆しを見せている兵庫。その先にある「優勝」という一つの証明を残すため、これから最後の"兆し"を探しに行く。
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