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 サッカーのある風景 06/12/08 (金) <前へ次へindexへ>

 振り返ってみれば


 文/竹井義彦
 早いもので、今年もあと1ヶ月で終わろうとしている。そういう意味では油断も隙もあったものではない。多分、この調子でいくとあっという間に新年がやってきて、そして冬が去り、春になってしまうだろう。春といえば来年の3月で、私がコーチをしている子どもたちも、いよいよ駒林サッカークラブを卒団することになる。本当に、時が過ぎるのは早いものだ。

 私はこの子たちを、2年生になるときからコーチをしてきたわけだが、卒団という一区切りでもあるので、これまでにコーチをしてきた基本姿勢みたいなものを、いい機会だからちょっとまとめてみようと思う。



 サッカーの基本的な技術ということになると、蹴る、止める、転がすということになるんだろうと思う。その他に必要なことは、走る能力だったり、考える能力だったりとサッカー固有の技術以外のことになっていく。

 この3つの技術をどういう方針で教えるのか。実際に子どもたちに会うまでに、私なりにいろいろと考えた。それは、息子たちのコーチをしてきた経験を踏まえて、ということになるだろう。簡単にいえば、私の息子たちが卒団する頃になっても、ガミガミと注意されたことで、もっともっと小さな頃に身につけてさえおけばなんてことはなかったことを、きちんと習得させようということである。

 ポジションでの動きや、フォーメーション、戦術といったものは、経験を積んでいけば習得はできるし、逆に、サッカーをきちんと考えられる歳にならなければ理解できない。けれど、小さな頃にやっておけば簡単なんだが、高学年になるとなかなか身に付けにくいものを、低学年のうちにきちんと習得させればいいということになる。

 その一つが、左右のバランス。これは、キックやトラップといった足の使い方だけではなく、身体の捻り方や、首の回す方向なんかも含まれる。実は、これがなかなかのクセモノなのだ。次に、基本的な技術については形から教えるということ。ボールタッチにしろ、フェイントにしろ、ターンにしろ、いろいろな方法があるんだが、その中から基本的に動作をピックアップして、パターン練習をさせることにした。

 最後に、サッカー用語を、難しい単語であったとしてもきちんと教えていくということだった。サッカーの用語は基本的に世界的に同じ単語を使っている。ファーサイド・ニアサイドといった簡単な言葉から、ワンサイド・カットやラン・ウィズ・ザ・ボールだったり、マノンだったり、ダイヤゴナル・ランといった言葉は、世界中のどこのピッチでも通じる言葉なのだ。だから、適当な言葉で教えるのではなく、はじめからちゃんとした言葉で話をするようにした。

 とはいえ、これらのことをそのまま完璧に子どもたち全員が身につけているのか、と問われれば首を傾げることになるだろう。でも、一度身についたものは、それも子どものときに身についたことは忘れようにも忘れることがなかなかできないものだ。よく例えて言われるのが自転車の乗り方だ。子どもの頃なら、どんなに長くても1週間もあれば身についてしまい、それこそ1度でも乗れるようになったら、どれだけブランクがあったとしても身体が覚えていてくれる。それと同じことを、サッカーの基本的な技術で教えていく。それが、私のひとつの考えでもあった。



 ひとつだけだが、私が教えたくないことがあった。それは、インサイドキックである。昔からよくいわれることだが、インサイドキックは「踵を押し出すようにして、足の内側を平にしてボールを蹴る」ように、と教えている人が多い。股関節を開けるだけ開いて、足をさながらゴルフのパターのようにして、ボールを蹴りなさいと。

 私はこういう蹴り方だけは教えたくなかった。
 なぜか? 多分なんだがこういう蹴り方を教えているのは日本だけだろうだからだ。ヨーロッパではこういう教え方はしていない。もっとシンプルに、足の内側を使ってボールを蹴るように教えられているそうだ。基本的に、インサイドキックで注意するのは、足の開きではなくむしろ上体がのけぞらないようにすることである。

 実際にやってみるとわかるんだが、股関節を開くことに意識してインサイドキックをすると、どうしても上体がのけぞることになる。酷い時には、後ろに倒れながら蹴るような形にすらなることがある。これでは、次の動作に移ることができないし、キックの途中で蹴る方向や、蹴ること自体を止めることが難しくなっていく(インサイドキックについてのメカニズムなどは、光文社新書、淺井武監修「サッカーファンタジスタの科学」に詳しく載っている。興味のある方はぜひ一読を)。

 上体がのけぞらないように、足の内側を使って蹴る。どこの部分を使おうが自分なりの感覚をきちんと習得すれば、正確なパスを出すことができるようになる。そういうインサイドキックを教えたかった。が、これについては徹底できたとは言えない。いろいろな意見があるし、経験則的な教え方をする人にはなかなか理屈が通用しにくいということがいえる。もっとも私が態度を徹底していなかったからということが最大の理由で、これについては大いに反省している。

 ということで、次回、左右のバランスやパターン練習について書いてみよう。実際に、子どもたちに教えてみてはじめてわかったことも多々ある。そんなことを具体的に書いていければと思っている。
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