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 サッカーのある風景 07/01/21 (日) <前へ次へindexへ>

 どっち回り?


 文/竹井義彦
 ペナルティアークあたりからのフリーキック。たとえば小学生でもきちんとボールが蹴れるようになると、絶好のチャンスになる。中学年の子でも、上手な子になるとカーブをかけるぐらいのことはできる。試合の時には、この1点が効いたりすることも多い。当たり前だが、ボールを蹴る練習をしておかないと、正確なフリーキックを蹴ることができない。それは小学生でもプロでも同じだ。

 ちょうどキックの練習を始めさせた頃、コーンの上にバーを載せて、バーに当てるゲームをよくやらせたことがあった。ただの練習ならそうでもないけど、ゲーム形式にしてやらせてみると子どもたちは結構熱中してやってくれる。

 私がコーチをしているチームには、左足が利き足だという子が多かった。そのためキックなんかの練習をするときは、まず利き足でやらせて、それがうまくいったら今度は逆足でやらせるようにしていた。

 もちろん、利き足で正確に蹴れることは大切だ。それも、磨けば磨くほど正確になるわけだから、好きな足だけで蹴らせた方が、もしかしたら正確さという点でいえば効果は上がるのかもしれない。けれど、いつも利き足でしかボールを蹴れない、捌けないというのはよくないと思っていた。いや、いまもそう思っている。



 右足だけでも、両足を使うのと同じような角度でボールを蹴ることはできる。インサイドとアウトサイドをそれぞれに応じて使えばいい。でも実戦ではそれは拙い場合がある。

 右側からパスされたボールを自分よりも右側にいる味方にバスするには、左足のインサイドで蹴ればいい。確かに、右足のアウトサイドでも蹴ることはできる。けれど、そのボールを追いかけるようにして相手が詰めてきたらどうなるだろう。セオリーでいえば、相手よりも遠い足でボールを捌くべきだということになる。

 あくまでも右で蹴ろうとすると、相手に詰められてボールを失うことになりかねない。中には、左足でボールが捌けないからと、右足でトラップする子がいる。右側からきたボールを右のインサイドでトラップしようとすると、身体を反転させなければいけない。後ろ向きにプレイすることになり、これは大変拙いといわざるを得ない。

 だから、私はキックの練習や、トラップの練習をさせるときにはかならず利き足の次に逆の足の練習も同じようにさせてきた。これをきちんと練習していると瞬間、瞬間でボールを捌いたり、キックが早くなる。ボールを利き足に持ち変える必要がなくなるからだ。

 でも、左右のバランスということでいえば、こんなことはごくごく当たり前の話だ。私が練習で左右のバランスということを一番意識したのは、実は利き足ではない。それは身体の使い方だった。



 コーチをはじめた頃、コーンを並べてコースを作り、それを跨がせたり、飛び越えさせたりして足の可動域が少しでも広がるように運動させていたことがあった。その時に初めて気がついたんだが、後ろを向くときに片方にしか振り向けない子がいるのだ。

 最初は、このコースを前を向いて走らせたりしていたが、慣れてきたところで後ろ向きにやらせることにした。するとどういうことが起こるのかというと、時計回りにしか首を回せない子がいると、自分よりも左後ろにあるコーンを見ることができずに後ろに走れないでいるのだ。スピードがうまく調整できないと転んでしまう場合もあった。

 反時計方向にしか回せない子の場合は、逆に自分よりも右後ろにあるコーンが見えない。ただ、これは経験がないだけのことで、立ち止まらせて両方振り返るように練習をさせるとできるようになる。でも正直このときはちょっと驚いてしまった。

 実は、これは首を回すときだけでなく身体全体を回転させようとするときでも、その子にとって回りやすい方向があるようで、後ろに向きに軽く走らせ、途中で身体を回して前に向くような練習をさせても、一定の方向にしか回転できない子がいることがわかった。

 身体の向きを変えるとき、人は、まず首を振りながらそれにあわせて回転させることになるので、両方向振り返ることが苦手な子は、やはりいつもいつも同じ方向で回ることになってしまう。



 サッカーでは試合中に後ろ向きに走りながら途中で身体の向きを変えることはよくある。たとえばマークしている相手の選手がゆっくりとした動き出しから、スピードを上げたときなどだ。このとき、一定方向しか身体を回転させることができないと拙いことになる。自分が回転させることができる側を相手が走ってくれればいいが、逆側を走ると回転している最中に相手から目線を切ることになってしまうからだ。

 ただ、相手だけを見ている場合、それなりに練習していればたいていはなんとかなる。が、相手の選手だけでなく、ボールも見なければいけなくなると判断が難しくなってくる。相手とボールが同じ側ならいい。なんとか両方一緒に見るように、視線を切らずに走る練習をしていればなんとかなる。けれど、走っている相手とは違う側にボールがあった場合、本来ならより重要な方を咄嗟に判断して見なければいけないんだが、これができないと、自分が得意な方向に回転してしまい、それから重要な方が違う側にあった場合は、それを探すことになってしまう。目線が切れてしまうわけだ。

 同じことは攻撃の時にもいえる。
 相手をよけながら走るときに身体を回転させることがあるが、つねにボールから目を離さないように時計回りでも、反時計回りでもどちらでも自在に回れるようになっていなければ、目線が切れてしまい、回ったはいいけど見失ったボールを探しているうちにチャンスがつぶれてしまったなんてことになりかねない。

 この身体の回転も両方向にできるように、回る方向を決めて走らせたり、あるいは、ボールから絶対に目線を切らずにゴール前まで走らせる練習なんかをたっぷりとして身につかせるようにしてきた。それでも相手は小学生。こちらの意図をきちん理解できる子はいいんだが、理屈はどうでもいいからサッカーがしたいという子の場合はなかなか身につかないんだよねぇ。

 ボールから目線を切らずにシュートする練習をさせても、ボールなんか見ないで身体回転させちゃって、とりあえずゴールすればいいじゃないって感じでシュートしちゃう子もやっぱりいる。それも、ご丁寧に利き足に持ち変えて。

 でも、こういうことは意識して練習させれば、それなりの効果はきっとあるといまでも信じてはいる。
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