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 サッカーのある風景 07/01/21 (日) <前へ次へindexへ>
昨シーズン、飛行機に乗ったのは56回。旅慣れたはずなのに、シーズン最初の遠征は、やはり心があらたまる。

 今年もアウェー遠征がはじまった
 アウェーゲームを追いかけてpart1 J2第5節 水戸ホーリーホックvs.アビスパ福岡

 文/中倉一志
 大きなキャリングケースをガラガラと引きながら千早駅からJRに乗り込んで博多駅へ。そして地下鉄に乗り換えて福岡空港へたどり着く。今日は今シーズンの本格的なアウェー取材の始まる日。3月24日の日本代表戦を日産スタジアムで取材した後、翌日は水戸へ移動して水戸vs.福岡を取材する2泊3日の行程だ。ほぼ2週間に1回の割合で、途切れることなく飛行機移動を繰り返す身にとっては、いまさら始まりもなにもないものだが、それでも「初」という言葉がつけば、どこか新鮮な気分になるのだから不思議なものだ。

 思い出せば、初めて本格的なアウェー取材に行ったのは2004年3月27日。あの時も場所は水戸。スタジアムは水戸市立競技場だった。水戸駅からシャトルバスに揺られて市街地を抜け、田畑を越えて30分。着いたのは年季の入ったスタジアム以外には何もない場所。あたりを見渡しても大きな建物は見当たらない。どちらの方向が市の中心なのかもわからないような場所だった。

 バス停はあったが、やってくるバスは1日数本。当然ながら、試合後には市内に戻るバスはない。シャトルバスを利用しようにもシャトルバスは取材を待ってはくれない。ならばタクシーをと思って受付の女性に尋ねたが、まさかここまでは来ないだろうと困惑顔をされた。「一体、どうやって帰ればいいんだ?」。これが私がアウェー取材で最初に思ったことだった。まだ試合も始まっていないというのに・・・。



水戸で食した「肉どんぶり」。写真を撮ろうとしていたら気のいいおばちゃんがサービスといって大盛りにしてくれた。そんな交流もアウェー遠征の楽しみのひとつだ。
 ところで、地域間の対立構造がなく、体調に異常を与えるような気候の差がない日本では、移動の疲労を除けば、ホームとアウェーの間に特別な条件の違いがあるわけではない。一部のスタジアムでは圧倒的なサポーターの応援に精神的に支配されてしまうこともあるが、J2ではそれも多くはない。地元のサッカーファンも温かく迎えてくれる。それでも、どこか初めて他人の家に招かれたような居心地の悪さが常につきまとう。

 だからこそアウェーで感じる一体感がある。アウェー側ゴール裏へ行けば、いろんな事情をやりくりして遠くまで足を運んできた仲間たちがいる。チームカラーを身につけた仲間を見つけては力づき、目が合えば、その瞬間に互いの思いが伝わる。アウェーでしか会えない仲間との再会もうれしい。そして試合が終われば、勝敗にかかわらず互いの間に絆のようなものが生れ、次のアウェーでの再会を誓ってわかれる。こうしてアウェー遠征にはまっていく。



 さて、福岡にとっての今シーズン初の本格的なアウェーでの戦いは、まずまずの結果だった。開始早々の3分に公式戦初出場・初先発を果たしたリンコンのゴールで先制。さらに、15分、23分にも追加点を挙げて前半だけで3−0と試合を決めた。雨でぬれたピッチの上で、粘り強さに定評のある水戸と戦うのは難しいとの思いもあったが、それも杞憂。多少のミスはあったものの、人もボールも動く福岡のサッカーを披露してくれた。(ゲームレポートはこちらから

 49分には布部陽功がCKに合わせてダメ押しともいえる4点目をゲット。その後、少しリズムが悪くなったが、それでもいくつかの決定機を作り出した。そして水戸の反撃を村松潤の1点に抑えて4−1で勝利を挙げた。「前半は特にいいサッカーができた。運動量も豊富で、パスワークもうまくいき、見ている人にとって面白いゲームになった」とはリトバルスキー監督(福岡)。力の差を見せつけたゲームだった。

「立ち上がりに3点入れられると厳しい。いらないところでファウルして、自分たちで悪い流れにしてしまった。中盤でタメをつくって、スペースに蹴って走ろうという考えだったけど、ディフェンスが慌ててしまってできなかった」とは眞行寺和彦(水戸)。水戸は、徹底して引いて守るというスタイルから、ボールをつないでビルドアップするチームへ変わろうとしていることが感じられたが、試合早々にゲームプランが根底から崩れてしまったことが悔やまれる。



試合開始1時間のメインスタンド。閑散としたスタジアムはサッカーファンとしてさびしい。
 思い通りにいく試合。狙ったことがまったくできない試合。覇気がまったく感じられない試合。相手を精神的に大きく上回る試合。1年間の中にはいろんな試合がある。そのたびにサポーターは一喜一憂するわけだが、そうしたことを繰り返しながらチームとサポーターは強くなっていく。そういう意味では、この日の試合は水戸にとっても福岡にとっても通過点。感じたことを糧にして更なる成長につなげればいい。

 しかし、公式入場者数が1063人というのは少なすぎた。クラブにはチームが強くなれば改善できるとの思いはあるのだろう。しかし、チーム強化に豊富な資金を投じることができない地方のクラブが常勝軍団となる可能性は高くない。そんなクラブが観客動員数をチームの強さに依存するのであれば、いつまでたっても解決策は見えてこない。何のためのJリーグか。何のためのホームタウンなのか。もう一度、原点に帰るべきだろう。

 同じことは福岡にも言える。予算規模、福岡の経済規模、人口、J1復帰を目指して戦っているチーム状況などを考えれば、観客数が10000人を超えないなど考えられない。そのレベルは極めて低く、福岡も水戸と全く同じ問題を抱えているといえる。どうやって地域に密着し、地域とともに歩むか。それは永遠のテーマであるが、それを実現することが、JリーグのJリーグたる所以であることを忘れてはならない。

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