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 サッカーのある風景 07/04/10 (火) <前へ次へindexへ>
西京極には大阪空港からモノレール経由で、阪急電車で乗り込む。空港からなら約1時間。旅行会社のパッケージツアーを利用するとお手頃価格で行ける。

 性に合わないスタジアム
 アウェーゲームを追いかけてpart2 J2第6節 京都サンガF.C.vs.アビスパ福岡

 文/中倉一志
 どんな場所であっても、どんなに古くなっていようと、そして陸上のトラックがあろうと、サッカーが行われるスタジアムはいつでも私をワクワクさせてくれる。多少設備が整っていなくても、観客席が狭く、人より大きな体の私には窮屈すぎることがあっても、サッカーを見られる楽しみに比べれば大した問題ではない。ピッチの問題はプレーする選手にとっては死活問題だが、それもサッカー。どんな場所であれ、どんな環境であれ、プレーするのがサッカーだ。

 ところが、どうしても性に合わないスタジアムというものがある。何がという明確な理由があるわけではないのだが、どうにも足を運ぶのが気が重い。私にとっては西京極陸上競技場がそれにあたる。特別、施設に不満があるわけではない。京都サンガF.C.の広報の方も丁寧に対応してくれる。多少、スタジアム近辺や、スタジアム内の食べ物の充実度が不足しているという不満はありつつも、それは、行き帰りに立ち寄る大阪の町で解消できる。でもどうにも気が進まない。

 多分、いや確実に西京極での福岡の成績が関係していることは間違いない。しかし、それにしても、福岡が勝てないスタジアムは他にもある。最もショッキングな出来事があったスタジアムといえば万博記念運動公園陸上競技場で、あのとき以上の喪失感を感じたスタジアムは他にはない。去年の駒場スタジアムだって嫌な思いは山ほどした。それでも、西京極に向かうときの足の重さは別物だ。何の罪もない西京極と京都サポーターの皆さんには、はなはだ申し訳ない話ではあるが。



開場を待つ間、桜の木の下でフットサルに興じるサポーター。京都の桜は、まだ五分咲き程度。
 もちろん、過去3年間、西京極で全く勝っていないことの比重は大きいのだが、よくよく考えてみると、どうも負け方に問題がありそうだ。

 過去3年間、J2、そしてJ1でともに戦った福岡と京都だが、その戦い方は対称的。特別な個の存在を持たず、11人が組織で戦う福岡に対し、圧倒的な個の力を有する外国人選手を前線に置いて、その力を最大限に生かしてゴールを奪うのが京都の戦い方。全く正反対のサッカーを志向するチーム同士の対戦は、自らのアイデンティティをかけての戦いといってもよく、その勝敗は単なる勝敗とは別の意味を持つ。

 柔よく剛を制すか、力でねじ伏せるか。サッカーには様々なアプローチがあり、それぞれの形がある。どちらが正しいのかなどは永遠のテーマであり、決められるものでもなければ、決めるべきものでもない。しかし、敗れた方にしてみれば、自分たちが志向しているものとは全く正反対のものにやられることになる。さすがにこれはしんどい。自分たちのアイデンティティを根こそぎ否定されたような気分になるからだ。

「いい内容だったのに」などと負け惜しみを言ってみてもはじまらない。勝負の世界で正しいのは勝った方。虚しさとアイデンティティを否定されたような二重の悔しさが心に重く残る。



いつになったら西京極が好きなスタジアムになるのだろう。次にやってくるのは8月26日。その時は胸を張って帰りたい。
 そんな思いを晴らそうと臨んだ第6節。2004年以降、西京極では4回の対戦があったが、いずれの時も座った記者席と同じ場所に席を取る。福岡の調子が悪いわけではない。目指す方向も間違っていない。「今日こそは、これまでの借りを返すのだ」と気合を入れる。案の定、立ち上がりは福岡のペース。やや引き気味の京都に対して、人もボールも動かしてチャンスを形作っていく。多少スタイルは変わったが、組織で戦うベースは変わらず。福岡らしいサッカーで主導権を握る。

 京都の反撃は後半に入ってから。パウリーニョの個の力を軸にして主導権を奪い返した。そして51分、福岡にとって天敵ともいえるパウリーニョに先制点を奪われる。しかし、福岡も63分、途中出場の古賀誠史のミドル弾が炸裂して同点に。ここからは、両チームノーガードの打ち合いが続く。どちらも自分たちの形からチャンスを作り、どちらもギリギリのところで跳ね返す。好ゲーム。どちらが勝ってもおかしくない展開は両チームのサポーターの目を釘付けにする。

 決着がついたのはロスタイム。福岡のゴール前で京都にFKが与えられた。おそらく、福岡サポーターの大部分が嫌な予感に襲われたはずだ。そして予感は当たる。パウリーニョのFKはGK神山竜一がはじいたものの、そのこぼれ球をアンドレに決められた。



 前節まで1勝3分1敗と波に乗り切れていなかった京都は、負ければズルズル後退しかねない立場。ホームで戦うこともあって逆の意味でのプレッシャーもあったはずだが、そうしたものを跳ね返し、自分たちのサッカーを追求して戦う姿は見事だった。そして、同じく波に乗り切れない福岡も、ライバルとの直接対決を制して反転上昇を目指す姿勢は強かった。互いが勝ちたいという気持ちを前面に出し、そして、それがスタンドに伝わってきた試合は、これまでに西京極で行われたどの試合よりも私の心を引きつけた。

 もちろん、互いにミスもあれば課題もある。負けた福岡に、その思いが強いのは当然だろう。しかし、両チームが今年のJ1昇格争いの中心にあることを感じさせる試合。手に汗握る展開であったことは間違いない。最後のパウリーニョのFKと、そのこぼれ球に素早く反応したアンドレの一連のプレーは京都を褒めるべき。勝負をかけている以上、どちらかが勝ち、どちらかが敗れるのは道理で、今回は福岡が敗れる側に回ったということだ。

 まあ、そんなふうに自分を納得させたが、やはり悔しさがこみ上げる。次の西京極での対戦は8月26日。スケジュール表に書き込まれた日付をしっかりと確認しながらスタジアムを後にした。
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