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 福岡通信 06/09/12 (火) <前へ次へindexへ>
3年ぶりの顔合わせとなった福大と福教大と決勝戦。九州大学サッカー界を代表する強豪同士の対戦だ

 我慢比べを制したのは福大。24回目の天皇杯へ
 第10回福岡県サッカー選手権大会 決勝 福岡大学vs.福岡教育大学

 取材・文/中倉一志
第10回福岡県サッカー選手権 決勝 福岡大学vs.福岡教育大学
2006年9月3日(日)13:04キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:約300人 天候:晴
試合結果/福岡大学1−1(5PK4)福岡教育大学(前0−0、後1−1、延0−0、5PK4)
得点経過/[福教大]伊藤(61分)、[福大]角(78分)


 博多の森球技場の上空に青い空が広がる。肌に触れる空気と、ピッチの上を飛び交う無数のトンボの群れは秋の訪れを感じさせるが、この日の福岡市内の最高気温は29度。ピッチに降り注ぐ九州特有の強い日差しに、まだ夏が続いているかのような錯覚を覚える。秋の訪れを感じさせる空気と、まだ夏の名残を漂わせる空気。そんな中、この季節の風物詩である「第10回福岡県サッカー選手権決勝戦(天皇杯福岡県予選)」が行われた。

 決勝戦に駒を進めてきたのは3年連続24回目の天皇杯出場を目指す福岡大学(以下、福大)と、3年ぶり3度目の本大会出場を狙う福岡教育大学(以下、福教大)。両チームとも言わずと知れた九州大学サッカー界の強豪チーム。福岡県代表を決めるにふさわしい対戦となった。ちなみに3年前の同大会決勝戦も同じ顔合わせ。そのときは延長Vゴールで福教大が勝利している。福教大は3年前の再現を、そして福大は3年前の雪辱を期す一戦になる。

 福大の布陣は3−4−2−1。ゴールを守るのはJリーグ特別指定選手の赤星拓。最終ラインは宮路洋輔が中央で構え、丸山大輝、山口和樹がストッパーを務める。ボックス型の中盤は吉木健一、木下大輔をボランチに置いて、右に平石健太、左に樋口大輝。前線は1トップの冨成慎司を山内祐一、藤田直之がフォローする。1、2年生中心の若いチームだが、今年の総理大臣杯では決勝戦まで進出しており実績は十分。粘り強い守備をベースにした堅実な戦いでタイトルを目指す。

 対する福教大は4−4−2のフォーメーション。最後の砦となるのは坂本光。その前に河村旬記、本城宏紀、古木裕、宮田繁輝の4人が並ぶ。ダブルボランチに石田順也と岩元泰佐を置き、右からは伊藤斎が、左からはJリーグ特別指定選手の神埼大輔が駆け上がる。そして2トップは河内勇太と中嶋雄大がコンビを組む。九州大学リーグでは前期を4勝3分と負けなしの首位で折り返しており、その実力は福大に引けを取らない。5人の4年生にとっては天皇杯出場の最後のチャンス。負けるわけにはいかない。



先制点を挙げて応援団に向かってダンスを疲労する福教大
 立ち上がり、福教大が得意のサイド攻撃からチャンスを作ったが、その後はこう着状態が続く。福教大のサイド攻撃に備える福大は、両WBが低い位置にポジションを取ってサイドに蓋をすると、2トップに当ててくるハイボールは宮路、山口が制空権を握って跳ね返す。粘り強い守備は戦前の予想通りだ。しかし、攻め手は少ない。10分、16分には惜しいシュートも放ったが、マイボールを前方に向けて蹴り出すパターンだけでは、効果的に相手を崩すことが出来ない。

 対する福教大は、最終ラインを高く保って中盤でボールを回してリズムを作る。DFラインの背後を狙う福大のロングボールにもしっかりと対応してチャンスを与えない。2人のボランチは縦の位置関係を維持し、岩元が2トップをフォロー。局面でのボールの競り合いでは福大を若干リードしているようにも見える。ただし、こちらも主導権を握るまでには至らず。30分以降にはチャンスも作り出したが、ゴールネットを揺らすことは出来なかった。

 キックオフから延々と続くこう着状態は後半になっても変わらない。互いに守備面では高い集中力を維持しているものの、攻撃面では福教大はサイド攻撃を封じられ、福大は縦に蹴る以外に攻め手を持てないでいる。53分に冨成の放ったループ上のシュートが福教大のゴールを襲った場面以外は、互いにチャンスらしいチャンスを作れないままに時間が経過していく。我慢比べの様相を呈してきた試合は、ミスとセットプレー以外に動きそうにない。

 そして61分、やはりセットプレーから試合が動いた。先制点を決めたのは、ここまでメンタル面でやや優位に立っていた福教大だった。CKのチャンスから連続攻撃を仕掛けた福教大は、ファーサイドにいた中嶋が頭で折り返すと、ゴール前に詰めていた伊藤斎が頭で合わせた。「マークをぼかしたとか、サボったとかというようなシーンじゃない。相手のいいプレー。思い切りよくやられた」(乾監督・福大)。ユニバ代表のGK赤星をしてもノーチャンスだった。



福大優勝の瞬間。苦しんだだけに喜びもひとしおだ
 これで試合の流れは福教大に傾くかに思われた。しかし、この先制点が福教大のリズムを崩すことにつながるのだからサッカーは難しいものだ。このゴールを境にして福教大から前に出る勢いが消える。おそらく1点を守りきろうという意識が働いたのだろう。しかし、互いの力関係は五分と五分。気持ちの面で受けに回れば、それはそのまま試合の流れに反映される。そして、この変化を見逃さない福大が一気に攻勢に転じた。

 74分には後半から出場した角廣介が、77分には藤田が決定的なシュートを放つ。福教大は、DF本城が、そしてGK坂本がファインプレーを見せてゴールを死守するが、ここまでの安定した守備の面影はない。そして78分、左サイドからゴール前まで切り込んだ山内祐一が中央へ。福教大がクリアしそこねてペナルティエリア内でルーズになったボールを角が素早くゴールへと押し込んだ。さらに続く福大の攻勢。しかし、ここは福教大は何とか凌いで試合は延長戦へと突入した。

 延長戦開始直後の92分。福大は松尾靖之がノーマークで放ったヘディングシュートがクロスバーをかすめる。まだ福大の流れは続いているかに見えた。しかし、延長突入前の5分間のインターバルで福教大が落ち着きを取り戻し、試合は再びこう着状態に。互いに後一歩の所まで持ち込むものの、そこから先の後一歩が届かない。延長後半に入っても流れは変わらず、互いに2本ずつのシュートを放ったもののゴールネットは揺れなかった。

 そして迎えたPK戦。ここでも互いに譲らずに確実にゴールネットを揺らしていく。しかし、福教大の4人目のPKを赤星が見事にセーブ。そして自ら5人目のキッカーとして登場した。「足を釣っている選手が多く、フィールドプレーヤーでは5人目の該当者が見つからなかった。赤星にはPKを練習でもやらせている」(乾監督)。その期待に応える形で赤星がゴールネットを揺らして、110分間の我慢比べに幕が降りた。



天皇杯はチャレンジの場所。まずはJリーグとの対戦が目標だ
「今日の出来は最悪のゲーム。やりたいことが何も出来ずに終わってしまったようなゲームで収穫は結果だけだった」(乾監督)。昨年までチームを支えていた高橋大輔(大分)、衛藤裕(鳥栖)、登尾顕徳(京都)らのユニバーシアード代表組が抜けた福大は、今年は世代交代の過渡期。九州大学サッカーリーグでは2勝3分2敗の5位と福大らしからぬ成績で前期を折り返した。この日の試合でも、常勝を誇ったかつての勢いと比べれば迫力不足は否めなかった。

 それでも、今年の総理大臣杯では決勝進出を果たし、この日も3回連続24回目の天皇杯出場を決めたのは伝統の力というべきなのだろう。乾監督も「それでも、苦しいゲームの中で勝ちを拾うということはチームが成長していく上では大事なこと。駄目ではあったが駄目なりに結果にこぎつけた」と評価も口にした。主力は1、2年生。いまは苦しみながら守って活路を見出すという戦い方だが、勝利という経験を積み重ねることで、かつての強さを取り戻していくことだろう。

 一方、福教大にとっては悔しい敗戦となった。福大の粘り強い攻撃の前に攻撃的なサッカーは不発に終わったが、「今日は執着心というか、勝ってやろうという気持ちをすごく感じた」と乾監督(福大)が振り返ったように、どちらかと言えば試合をリードしていたのは福教大だった。惜しまれるのは先制ゴールを奪った後に守りに入ったことだった。しかし、悔しさは成長の原動力。九州大学リーグ戦のタイトル獲得に向けて、新たな気持ちで戦いに挑む。

 さて、福大の天皇杯は2回戦から。9月24日(日)に博多の森で宮崎産業経営大学とジェフクラブの勝者と対戦する。「天皇杯は我々がJFLやJ2に挑戦する立場なんで、精神的にはプレッシャーもなく伸び伸びやれる」(乾監督)。まずは2回戦を突破して徳島ヴォルティスへの挑戦権を獲得すること目指す。「理想とするサッカーは、もっと攻撃的なサッカー。攻めのタレントが不足しているかなというところなので、もう少しそこを見つめて頑張っていきたい」(同)。天皇杯でどんな姿を見せるのか楽しみだ。


(福岡大学) (福岡教育大学)
GK: 赤星拓 GK: 坂本光
DF: 丸山大輝 宮路洋輔 山口和樹(55分/福井諒司) DF: 河村旬記 本城宏紀 古木裕 宮田繁輝(99分/大坪将也)
MF: 平石健太 吉木健一 木下大輔(46分/角廣介) 樋口大輝 MF: 伊藤斎(93分/河上智一郎) 石田順也 岩元泰佐(93分/長正之) 神埼大輔
FW: 山内祐一 藤田直之 冨成慎司(71分/松尾靖之) FW: 河内勇太 中嶋雄大
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