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| 福岡通信 07/04/11 (水) | <前へ|次へ|indexへ> |
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これが福岡スタイル 2007Jリーグ ディビジョン2 アビスパ福岡vs.東京ヴェルディ1969 取材・文/中倉一志 |
2007年4月7日(土)13:03キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:10,132人 天候:晴
試合結果/アビスパ福岡2−1東京ヴェルディ1969(前1−1、後1−0)
得点経過/[福岡]山形(11分)、[東京V]オウンゴール(20分)、[福岡]アレックス(89分)
闘争心と限界ギリギリまでチャレンジする気持ち。東京V戦に向けて、リトバルスキー監督が選手たちに求めたのは、このふたつだった。そして自らもその姿勢を貫くために右手首にリストバンドを巻いた。ゲルマン魂の象徴であるドイツ国旗を模したものだ。そして、トレーニングではいつもに増して大きな檄を飛ばした。シーズンはまだ序盤戦。しかし、絶対に勝ちは譲れない戦い。そんな気持ちに溢れていた。
「水戸戦のようにすべてがうまくいくわけでもない。鳥栖戦のようなゲームが毎回あるわけじゃない。限界ギリギリまで戦わなければ勝利は手に入れられない。京都戦に関して言えば、それが足りなかったし、勝利に値したゲームとは言えなかった。だから闘争心を持って戦うために、相手に勝つために、このバンドをしている。ドイツ代表は、いつも限界ギリギリまでプレーしている。その闘争心を取り戻すためのバンドだ」(リトバルスキー監督)
選手たちもそれに応えて、いつも以上に厳しい姿勢でトレーニングに臨んだ。しつこい位に繰り返される1対1の練習で、激しくぶつかり合い、ボールを奪い合い、気持ちを高めた。個々の能力の高い選手をそろえる東京Vとの戦いでは、1対1、あるいは1対2の局面でタフなゲームになるのは必至。そこで後手を踏んでいるようでは試合にならない。個の強い相手を受けるようなら必ずやられる。勝負を挑んで個人の力を消してこそ勝利の2文字が見えてくる。
出場停止明けとなる林祐征は、これまで溜っていたものを爆発させるようにボールに向かった。「コンディションを崩さないことだけを考えてきた。いい準備は出来ている。ゴールを奪うこと、そしてゴールに絡むプレーをすること。自分のプレーができればゴールにつながるはず」。そんな林に「2か月前とは全く別人」とリトバルスキー監督も全幅の信頼を寄せる。そして、戦う準備を整えたイレブンは胸を張ってピッチに向かった。4月7日、13:03。キックオフの笛が博多の森に響き渡った。
この日の福岡は、開幕戦と同じメンバー、同じシステムで臨んだ。それはリトバルスキー監督の攻撃的に戦えという意思表示。そして、立ち上がりから福岡は前へ出る。山形恭平が豊富な運動量を生かして高い位置からボールにプレッシャーをかけ、最終ラインが高い位置を維持して中盤をコンパクトにし、布部陽功、久藤清一が中心になって、足元でゆったりとつなごうとする東京Vからボールを奪う。そして徹底して左サイドにボールを集めて東京Vを押し込んでいく。
その勢いのままに福岡が先制点を奪う。時間は11分。布部が左サイドに展開したボールを山形恭平が見事な個人技を見せてワントラップで相手をかわすと、さらに鋭く切り返してマークを振り切った。そしてフリーになったところで右足を一閃。博多の森の思いのすべてを乗せたボールが鮮やかにゴールネットを捉えた。その後も福岡は積極的な姿勢を崩さず。さらに次の1点を目指して、前から、そして厳しく東京Vを追い込んだ。
中盤をまとめるのは布部と久藤。この2人を中心に激しく動き回って東京Vのパスの出しどころを抑えれば、前線では林が体を張ってボールをキープする。そして最終ラインでは川島眞也がハイボールをことごとく跳ね返し、宮本亨が大きな声を出してラインをコントロールする。そして、フッキにボールが入ったときは、1人、また1人と囲い込んで突破する隙を与えない。そして誰もが局面の争いで負けなかった。ピッチに転がるのは、必ずと言っていいほど東京Vの選手だった。
そんな流れの中の20分、福岡はオウンゴールで1点を失う。一瞬、スタジアムを静寂が包む。しかし、選手たちに全く動揺はない。「もしやられるようなことがあっても、自分たちのやるべきことをやろうと話していた。失点はやむを得ず喫することもある。崩れるとか、慌てることは全くなかった」(布部)。この後、こう着した状態が続いたが、常に狙いを持ってプレーする福岡と、何もできない東京Vとの間には明確な差が存在していた。
後半に入ってもリズムは福岡。高い集中力と戦う姿勢を維持して主導権を渡さない。決定機は21分、チェッコリからのロングスローに途中出場のリンコンが頭で合わせる。叩きつけたヘディングシュートはゴールを捉えたかに見えたが、GK高木義成の指先に触れてゴールはならず。スタジアムに大きなどよめきが起こる。しかし、福岡の姿勢は変わらない。力を緩めることなく、闘争心をむき出しにして、限界ギリギリまでのチャレンジを続ける。
後半の20分を過ぎた辺りから東京Vの運動量が一段と落ちていく。あとは福岡がいつゴールを挙げるかだけだった。その得点が生まれないままロスタイムに入ったが、福岡の勝利を目指す気持ちに微塵の揺らぎもない。そして交代出場の古賀誠史が左サイドを突破。その左足から鋭いクロスボールをゴール前に送る。そこへ抜群のタイミングで飛び込むアレックス。そしてマークについていた冨澤清太郎が後ろからアレックスのユニフォームを引っ張った。ホイッスルとともに主審が指さした場所はペナルティスポットだった。
「PKは今まで蹴った中で一番冷静に蹴ることができた。いつもGKの右側に蹴るが、それを知っている相手のGKが右側に飛ぶと分かっていたからだ」(アレックス)。次の瞬間、アレックスのPKがゴール中央に突き刺さる。喜びを爆発させる選手たち。湧き上がる博多の森。そして残された2分間を危なげなく過ごして試合終了のホイッスルを聞いた。
「うちの選手のほうが東京Vの選手よりも勝利に対するハングリーさを見せていた。全員が1対1の局面で勝ちたいという気持ちを持ち、この試合を絶対に勝つという気持ちで相手を上回った。攻撃的で、積極的な試合ができたことが勝利を得た要因」とはリトバルスキー監督。そしてラモス瑠偉監督(東京V)は、「自分たちのサッカーが最初から最後まで全然できなかった。福岡の方は勝ちたいという意識、気持ちが90分間高く、そこで負けた」と脱帽するしかなかった。
「試合に入る前から、みんな気持ちが入っていたが、それが試合に出た。自分たちの良さを出すために相手の良さを消す、それができた。ここまでは結果は出ていなかったが、やろうとしていることは間違っていなかったと思うので、これを続けていきたい」(布部)。負けないサッカーから、勝ちきるサッカーへの転身。ここまでチームのバランスが取れいこともあったが、この試合で福岡はひとつの答えを出した。それが布部の言葉に自信が感じられた理由だろう。
たが、福岡はまだ6試合を消化したばかり。40試合以上を残すリーグ戦は、まだまだ山もあれば谷もある。ましてや今年の福岡は変化しながら戦うチーム。J1昇格争いのライバルは多く、思うような結果が得られないこともあるだろう。大切なことは、一喜一憂せずに自分たちのスタイルを追求し続けること。そして、クラブ、サポーター、メディア、そして福岡にかかわるすべての人たちが、どんなときにも一丸となってチームを後押することだ。
さて福岡は11日、同じく昇格争いのライバルである札幌と西が丘サッカー場で対戦する。札幌はここまで4勝2分1敗の2位。最終ラインの前に、さらに4枚のフラットなラインを敷く布陣で、堅守をベースに勝ち点を積み重ねてきた。「J1に自動昇格できるのは2チーム。札幌はその2チームに入るにふさわしい力を持っている。我々にとって非常に重要な試合」とリトバルスキー監督も気を引き締める。東京V戦と変わらぬ闘争心を持って臨みたい。
試合は守り切るチームと、勝ち切るチームの対戦。福岡にとってのポイントは、いかに8枚のラインを突破するかということ。ボール支配率では上回ることが予想されるが、キープできるがゆえにリズムが弛緩するようだと相手の戦術にはまる。人もボールも動かして札幌の2列目のラインにギャップを作ること。それが勝利への道だろう。「攻撃的なサッカーが守備的なサッカーを打ち破ることを願っている」(リトバルスキー監督)。難しい試合だが、自分たちのスタイルで勝ち点3を手に入れたい。
| (アビスパ福岡) | (東京ヴェルディ1969) | |||||||
| GK: | 神山竜一 | GK: | 高木義成 | |||||
| DF: | 山形辰徳 川島眞也 宮本亨 チェッコリ | DF: | 福田健介 土屋征夫 戸川健太 服部年宏 | |||||
| MF: | 久藤清一 布部陽功 田中佑昌(75分/古賀誠史) 山形恭平(89分/長野聡) アレックス | MF: | 名波浩(73分/富澤清太郎) ゼ・ルイス ディエゴ 佐藤悠介(69分/永井秀樹) | |||||
| FW: | 林祐征(61分/リンコン) | FW: | フッキ 飯尾一慶(64分/井上平) | |||||
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