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 関西蹴球だより 07/03/02 (金) <次へindexへ>

 将来の兵庫ダービーへ向かって
 

 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ
 高体連に新人戦があるように、クラブチームにも新チーム立ち上げ後の最初の大会が、この時期にある。2月25日、暖冬とは思えない寒風が吹く中で、「兵庫クラブユース(U−17)リーグ」の優勝決定戦が、いぶきの森球技場で開催された。予選を勝ち残って来た2チーム、フレスカ神戸とエストレラ姫路に、シードのヴィッセル神戸ユースを交えた巴戦。第1、第2試合でそれぞれ、エストレラ姫路とヴィッセル神戸がフレスカ神戸に大勝したため、第3試合のエストレラ姫路対ヴィッセル神戸が事実上の決勝戦となった。

 ただし、この試合は勝負というよりもチーム作りであったり、個人の成長を見極めることに重点が置かれているように映った。実際、ヴィッセル神戸は高校2年生の主力は出場したが、1年生は別の大会に遠征しており、ベンチには中学2年生がずらり。エストレラ姫路も、怪我人が多くスタメンに中学3年生が起用された上に控えの選手は居ない状態。この時期に選手の数を揃えるだけでも難しい「町クラブ」の事情も垣間見えた。

 エストレラ姫路を「町クラブ」と書いたが、それは現時点でのこと。将来的にはJ参戦を志している。すでに、総合スポーツクラブとして活動しており、サッカー以外のスポーツにも取り組みながら、兵庫県西部地区で少しずつ足場を固めている。Jを目指すトップチームありきのユースではなく、若年層から選手を育てて土壌を育んだ上でトップチームを形成してJを狙うという形をとっている。5年後、10年後、もしエストレラ姫路の夢が果たされた時、ヴィッセル神戸との戦いは“兵庫ダービー”と呼ばれることになる。この日出場した選手同士が、その兵庫ダービーを戦う可能性もあるのだ。



 互いに4−4−2の布陣で臨んだこの試合。中盤の構成にスタイルの違いが表れた。ヴィッセル神戸はワンボランチで攻撃的な位置に3枚。エストレラ姫路は3ボランチの1トップ下。ポゼッションのヴィッセル神戸とカウンターのエストレラ姫路の構図だったが、試合もその通りに進む。

 ヴィッセル神戸はCFの大外に両SHが位置して、実質4トップとも呼べる布陣から攻撃を仕掛ける。大雑把なロングボールを蹴るのではなく、きっちりと繋いで、その4枚のどこかに当て、そこを起点にコンビネーションや個人技で崩しに掛かる。CF2枚に年代別代表歴のある、上谷と辻を据えており、個人の勝負では分がある。

 対するエストレラ姫路は、DFラインで勝負するより前で潰す為に、3ボランチがパスの起点を封じに動く。その凌ぎ合いで試合は膠着状態が続く。ヴィッセル神戸はDFリーダーで主将の佐川がコーチングしながらゲームを組み立てようとビルドアップを何度も試みるが、エストレラ姫路の2トップを務める吉田・土井、そしてトップ下の竹内が労を惜しまぬプレスでパスコースを遮断する。中盤でも青木、西山、木下が相手に決して前を向かせない。30分ハーフの前半20分までは両チームに決定機が訪れないままに過ぎていった。



 しかし、20分を過ぎたあたりから、控えメンバー無しで、この日2試合目を戦うエストレラ姫路の足が止まりだしてペースはヴィッセル神戸に。八束、辻が立て続けにビッグチャンスを迎えるがこれを外す。一方、この危機を凌いで盛り返したエストレラ姫路に26分、この日最大の決定機が訪れる。左CKから、西山が完全にフリーの状態でヘッド。ジャストミートしたシュートは、しかし、GK松本が片手で必死に弾き出した。

 このスーパーセーブで流れを再度取り戻したヴィッセル神戸は、直後の28分に、辻が前線でためてエリア外の上谷に戻す。そのボールを上谷が左足で叩いてようやく先制点。すこしあっけないくらいに、扉をこじ開けた。前半のスコアは1−0>そして試合は後半へと進んでいく。

 ハーフタイム、エストレラ姫路イレブンに、監督から個々のプレーの精度に対してアドバイスが与えられる。しかし、さすがにエストレラ姫路には疲労に色が濃い。そして、後半立ち上がり早々、ヴィッセル神戸の辻が個人技で相手DFを抜き、狭いアングルから撃ち抜いて2−0。これで勝負が決した。

 この後、ヴィッセル神戸のパス回しがスムーズになり、エストレラ姫路のプレッシャーが掛からない。ヴィッセル神戸は余裕を持って選手を交代させてゆく。対して、エストレラ姫路は、控え不在の状態で、健闘していた唯一の中学生・新木が負傷退場。数的にも不利になる(新木は再度ピッチに立ったもののプレーには関与できる状態ではなかった)。そしてヴィッセル神戸は、交代出場のFW谷がCKから決定的な3点目を奪った。その後もヴィッセル神戸が攻め続けたが、試合は3−0のまま終了のホイッスルを聞いた。



 この試合の後半で目を引いたのは、ヴィッセル神戸が交代で送り出した、片岡、森下、峯崎の中学2年生3人のプレー。技術的にも高く、ユースでも遜色ない動きをみせた。特にMF片岡は、派手なプレーこそないものの、速くて的確なパスでリズムを作り出していた(後日発表された、U−15日本代表候補には、MF峯崎が入った)。

 結果は順当なものだったと言えるが、エストレラ姫路の技術・戦術理解の高さが試合内容を濃くしてくれた。今後は、4月開幕の関西プリンスリーグに臨む両チーム。グループは違うが、決勝トーナメントでの対戦に期待したい。そして、将来の兵庫ダービーという舞台で、トップの選手としてぶつかりあってくれることにも夢を馳せてみた。今後も両チームを追いかけてみたい。


<出場メンバー;エストレラ姫路> <出場メンバー;ヴィッセル神戸>
GK: 牧野 GK: 松本
DF: 林、東、辛、新木 DF: 上田→森下、佐川、川岸、大森
MF: 西山、木下、青木、竹内 MF: 栗原、八束→峯崎、岡崎→片岡、先田
FW: 吉田、土井 FW: 辻、上谷→谷
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