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 関西蹴球だより 07/04/25 (水) <前へ次へindexへ>

 プリンスリーグ関西07。カラーの違う6チームが登場
 プリンスリーグ関西2007 第3節

 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ
 第3節は変則的に、2会場で3試合ずつが開催された(通常は3会場で2試合ずつ)。足を運んだのは、滋賀のビッグレイク。強風にあおられて最後の桜が散る様が美しく感じられる中、個性的な6チームが登場した。



【野洲高校−奈良育英高校】

 試合前、野洲の山本監督に「今年も楠神や乾のような面白いドリブラーはいますか?」と尋ねたところ、「現在育成中です。ウチはDFでもドリブル出来ますから」との返答。内容に期待を持たせてくれる特異なチームに違いはないようだ。

 試合は、開始早々からお互いに攻めに出る。野洲はショートパスからサイドへ、奈良育英(以下、育英)は前節同様3トップが裏を突くパターン。しかし両チームとも最後のパスが不正確で決定機までには至らず。また、簡単な接触等が悉く反則になり、カードも乱発された。それによって、選手もナーバスにならざるをえなかった。

 時間の経過とともに、野洲の右サイド・梅村が育英陣内を深く抉る場面が増え始めたが、エリア内で待つFWにボールが届かない惜しい場面が続いた。そして、チャンスの後はピンチあり。32分、育英は左からクロスを放り込む。これが野洲DFのクリアミスを誘い、FW吉田が押し込む。前半は育英がリードして終了。

 後半、リードしている育英が先に手を打った。大型FW田仲を投入。田仲をターゲットにする策がはまり、野洲の守備が混乱。育英に多くのセットプレーのチャンスが訪れる。しかし、それを得点に結実させられないでいると、今度は野洲がチャンスをものにした。

 この試合、野洲らしいスキルフルなボール捌きを見せていたMF木村と潮入が攻撃をリード。61分にゴール前20メートルでFKのチャンス。右足なら潮入、左足なら木村と2人がシュートの姿勢。木村が放ったシュートは見事に直接ネットを揺すった。野洲が個人技から同点に持ち込んだ。その後も野洲は攻めの姿勢を貫く。育英の3トップに対し、3バックで対応しているのだが、そのフォローにボランチやサイドの選手が必ず戻るわけではない。常にリスクを承知で攻めに出ていた。

 71分、この試合8枚目のイエローカードが育英に出る。これによりイエロー2枚のMF山根が退場。野洲が数的に有利になった。しかし危機感を覚えた育英の選手が運動量とコーチングの声を更に活発化させてバランスを崩さない。野洲に決定機を与えることなく、ドローで90分を終わらせた。1週間前の6失点から、育英はよく立て直した。野洲も独特のボールタッチをする選手が多く、それぞれに見るべき所のある試合だった。


(野洲高校) (奈良育英高校)
GK: 横江 GK: 松本
DF: 青木、濱口→端山、西口 DF: 土井、羽鳥、染田、大宅→田仲→中野
MF: 内久保、上田、木村、梅村→藤野、潮入→富田 MF: 斎藤、金塚、楠木→山本、山根
FW: 池田→松永、坂本 FW: 吉田→奥村、中村→遠見


【エストレラ姫路U-18−近畿大学附属和歌山高校】

 高い個人技でゴールを陥れてゆくエストレラ姫路(以下、姫路)と、ハードワークが目を引く近畿大学附属和歌山(以下、近大和歌山)の対戦は、姫路の攻めが上回るだろうと予想していた。

 実際に、開始2分で、前節ハットトリックの姫路FW・土井がミドルを突き刺した。近大和歌山はMFのラインが下がり過ぎていて中盤にスペースを空けてしまった。攻めに出ても厚みがなく単調になってしまう場面が続く。対する姫路は、中盤で数本のショートパスを繋いで丁寧に組み立てていた。前節左SHとして攻撃をリードした東が左SBに下がったものの、頻繁に攻撃参加。質の高いクロスを供給した。

 試合は、先制した姫路がペースを落としてしまったのか、近大和歌山が反撃の意欲を体現し始めたのか流れが変わる。近大和歌山の攻めは決して流麗とは表せないが、ゴリゴリとサイドの選手が左右から押し込む。そこからクロスを上げ、姫路のクリアで得たCKの数も増えてゆく。なかなか得点にもビッグチャンスにもならないが、力でこじ開けようとする。

 返す刀で姫路がカウンターを決めるか、近大和歌山が強引に押し切るか、どちらにしても得点が入る雰囲気が強かった。そして勝ったのは、近大和歌山の力。ゴール前で混戦を作り出し、38分、FW・谷口がプッシュ。それをGKがキャッチし切れずに同点。押せ押せになった近大和歌山は、土屋、浦島、尾崎、谷口といった攻撃の選手が一気呵成に仕掛け続ける。前半ロスタイム、近大和歌山はまたしても姫路ゴール前での混戦から谷口が押し込み逆転。前半から飛ばしまくった近大和歌山の攻めが結果を出した。

 後半に入っても、無尽蔵かと思える運動量でサイドアタックを繰り返す近大和歌山。姫路は完全に受け身の状態だったが、ほんのワンチャンスを得点に結び付けた。54分、土井の右からのクロスを速見がヘッドで折り返し東がダイレクトボレー。見事な流れで振り出しに戻した。この辺りの時間帯から、近大和歌山の足が急に止まりだした。飛ばし過ぎた影響が露わ。しかもリザーブが5人しかおらず(通常9人)交代の駒も無いような雰囲気で選手はスタメンのままだった。

 そして67分。やっとMF土屋からFW薮本に交代がなされたが、この薮本が隠し球だった。高さと強さ、体躯を活かして姫路ゴールに迫り続ける。強引なまでのシュートが超の付く決定機を演出しまくる。そして79分、シュートのこぼれを今度こそ薮本が押し込み3−2。薮本が持ち込んだ勢いを決勝点に繋げた。残り時間を狡猾に使った近大和歌山が貴重な勝利をものにした。姫路の松本監督が「まんまと術中に嵌った」と苦笑した試合。まさにイーブンな展開を引き寄せるサブの存在が大きかった。


(エストレラ姫路U-18) (近畿大学附属和歌山高校)
GK: 萩野 GK:
DF: 東→青木、井村、辛→新木、松本 DF: 須佐、徳田、岩橋、福井
MF: 木下→竹内、西山、井上→山崎、速見→林 MF: 木村、尾崎、土屋→薮本、浦島
FW: 土井、吉田 FW: 谷口、宮本


【ヴィッセル神戸ユース−初芝橋本高校】

 Jユースに連続して大敗していた初芝橋本には「この試合こそ」の意気込みが漲っていた。雨風が強まり安定しない気象条件下、初芝橋本がタテに鋭い攻めと人に対する激しい守備を徹底。前半は押し込む。7分、MF佐藤が蹴ったFKがゴール前で浮き上がり、その処理をGKがミス。そこを抜け目無くFW白柳がプッシュして先制。

 守備面でも、ヴィッセル神戸の辻、上谷の2トップに入るボールに対して厳しく当たり、容易にポストプレーを許さない。やっとゲームが落ち着いて来たのは、20分過ぎから。ヴィッセル神戸がボールをキープし始める。しかし、ヴィッセル神戸の選手が敵陣でボールを保持しているケースのほとんどは数的不利な条件下。仕方なくバックパスをする流れの連続。選手の距離感が安定しないヴィッセル神戸に対して、初芝橋本は佐藤を中心にシンプルにサイドアタックを仕掛ける。

 2点目も初芝橋本。33分、MF日根野谷が40メートルのロングシュートをGKの頭越しに叩き込む。驚きの2−0。ヴィッセル神戸のチグハグは続き、ロングシュートが散発的にあるだけ。時折、FW上谷が形に持ち込むがゲットならず。初芝橋本が望んだ展開以上のスコアで後半へ。

 後半は、完全なるヴィッセル神戸ペース。2点を追い掛けるという明確な目標の下、攻撃に比重をシフトさせた。U-16日本代表のFW木村が公式戦初登場。その高さをポストとして活かし、中盤ではMFに下がった辻とMF藤松があちこちに顔を出し、ボールを前に運ぶ。多少泥臭くはなったが、ゴールへの筋道を考えている姿勢は買えた。初芝橋本の数少ない右サイドへのカウンターの芽も摘んでしまい、圧倒的に押す。

 79分、木村のクロスをフリーの辻が決めて1点差。ここからのヴィッセル神戸は3トップにしてのパワープレーで攻めまくった。絶好機はあったが、結局89分に木村からのボールを上谷が詰めて同点にするのが精一杯であった。

 連敗から持ち直した初芝橋本から気迫を感じる試合だった。ヴィッセル神戸も気付きがあっただろう。パスとは、パスという行為そのもののためにあるのではなく、ゴールに到達するために存在するという事を痛感したように思えた。極論すれば、GKのキックがアシストになってFWがゴールすれば近道であり、理想的である(事実、プレミアのトッテナムは、GKポール・ロビンソンとFWロビー・キーンがしばしばその形で得点を決めている)。パスには、ゴールを奪うぞと言うメッセージが乗っていなければならないが、ヴィッセル神戸の場合、そのメッセージは残り15分で伝わり始めた。後は、その気付きを次節以降に活かすかどうか、自分たち次第である。


(ヴィッセル神戸ユース) (初芝橋本高校)
GK: 松本 GK: 中村(恵)
DF: 栗原、佐川、高島、大森 DF: 田村、松本、杉本、西村→長尾
MF: 須崎→藤松、八束→大槻、先田→木村、岡崎→谷 MF: 中岡、日根野谷→竹下、佐藤、水元
FW: 辻、上谷 FW: 白柳、岸下→道野
【その他の試合結果】
ガンバ大阪 2−0 滝川二
セレッソ大阪 2−2 神戸科学技術
大阪桐蔭 2−0 明石南

【次節の(4/29開催)予定】
【Aリーグ】 【Bリーグ】
13:15  初芝橋本−滝川二  奈良 鴻ノ池陸上競技場 11:00  奈良育英−近大和歌山  奈良 鴻ノ池陸上競技場
13:15  ガンバ大阪−神戸科学技術  大阪 高槻市総合スポーツセンター 11:00  大阪桐蔭−エストレラ姫路  大阪 高槻市総合スポーツセンター
13:15  京都サンガ−ヴィッセル神戸  京都 宝ケ池球技場 11:00  伏見工−明石南  京都 宝ケ池球技場
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