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 関西蹴球だより 07/05/09 (水) <前へ次へindexへ>

 クラブに集いし"なでしこ"の蕾たち。
 第13回大阪女子スプリングサッカー大会

 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ
 日本代表チームや、Jリーグや、なでしこリーグといったトップカテゴリーが更に強くなるためには、言うまでもなく「普及・育成」の徹底が鍵となる。ピラミッドの底辺を拡大しながら、そこに適切な指導を与えていくことを絶え間なく続け、サッカーを文化として根付かせないと、本当の意味で強くはならない。

 男子の育成年代を取材していると、不足している部分はまだまだあるものの、急速に改善されている感が強い。しかし、女子の取材で気付くのは、普及も育成もほとんどが地域の熱心な指導者に任せ切りとさえ思える現状。練習環境や選手の受け皿など、問題点を挙げるとキリが無い。

 ただし、情熱溢れる指導者の方々の存在に頭が下がり、女子の育成年代にある選手たちの能力の高さに驚かされる場面も多く、それが救いである。

 関西の高体連の大会は観る機会に恵まれたが、女子のクラブの試合を目にするのはこの大会が初めてであった。このスプリングサッカーは、必ずしもクラブチームのみが参加する大会ではなく、多くの女子チームに試合機会を提供する場である。ゴールデンウィーク中に3日間の日程で開催されたこの大会(敢えて解り易く例えるなら、男子のユース世代でよく開催されるフェスティバルの形式)の最終日を取材したが、偶然にも4つのクラブチームによるリーグ戦が組まれていた。第13回にして初の芝での大会開催。先月竣工されたばかりの万博・大阪サッカーグラウンドが会場になった。

 最終日の参加クラブは、大阪COSMO.FC(以下、COSMO)、大阪市レディースフットボールクラブ(以下、大阪市LFC)、FCヴィトーリア(以下、ヴィトーリア)、USED.FC高槻(以下、USED)の4つ。事前に練習見学が間に合ったのは、大阪市LFCとヴィトーリアだけだったが、それぞれのクラブがサッカーを愛する選手たちを広く受け入れる大切な存在になっていた。

 この大会は結果が重視されるものではないが、それでも順位表彰がある大会には違いないので、全試合のスコアを記す。

大阪市LFC  5−2  COSMO
USED  0−6  ヴィトーリア
大阪市LFC  1−8 ヴィトーリア
USED  1−0 COSMO
COSMO  0−5 ヴィトーリア
大阪市LFC  2−0 USED

優勝はヴィトーリアとなっている。



 ヴィトーリアの練習を見学した際に目に付いたのは、左右両足とも精度の高いクロスや、キックの質そのものが安定していた。実際この大会でも、中央でのパス交換の崩し⇒サイドへ展開⇒サイドからエリア内へクロス、の流れを何度も見せた。しかもその一連の流れが鮮やか。実力的には、間違いなく女子の強豪大学と競り合うレベル。ヴィトーリアは、女子サッカーの環境が整わない関西の他県からの選手も受け入れている。それだけの魅力があるとも言える。

 準優勝の大阪市LFCは、練習見学させていただいた日に使われたグラウンドが保育園内の運動場であった。毎回園内が練習場というわけではないのだが、それでもフットサルコート一面あるかないかの狭い運動場で選手たちは足技を磨いていた。このクラブも地域での存在意義が高く、キッズ年代を含めると100人に達しようかという数の選手が所属している。練習時間や場所、内容も創意工夫して個々人のレベルを向上させている。正確な技術からショートパスを展開するサッカーが印象的だった。

 COSMOは寝屋川を拠点として活動する老舗とも呼べるクラブ。高校や大学チームの取材でも「子供のころ寝屋川でプレーしていました」とい選手としばしば出会う。このクラブも両足をしっかり使える選手が多く、加えて判断力に優れる選手が多かった。体格で勝る相手にも、独特の間合いで競らさない巧みなボールキープを見せてくれた。中学生年代の選手も多く、彼女たちが順調に伸びれば大阪や関西の高校年代の近未来も楽しみである。

 USEDは、前述した3チームとは成り立ちが違うが、絶対に必要なタイプのチームである。その歴史と紆余曲折を全て書くと長くなるので、解り易く紹介するとすれば、なでしこリーグにスペランツァ高槻があり、その下部組織としてラガッツァが位置付けられているが、その傍系にあると言えば適切か。男子でもそうだが、全てのユースの選手がトップに上がるわけでもなく、且つ出場機会もまちまち。そこで、試合経験の確保とサッカーをエンジョイするためにある種同好会的位置付けで誕生したチーム。だから様々なチームのOGやサッカー好きの女性が集っている。女子サッカーにおいてとても貴重な存在である。ちなみにこの大会では、ラガッツァの中学生選手が助太刀しており、言わば「高槻連合」であろうか。サッカーどころ高槻の熱を感じるチーム。



 この大会における技量の高さを端的に表すのが、スローインの数の少なさであろう。単純にタッチにクリアして逃げるチームは1つもなかった。自陣で数的不利になりプレスを受けても、味方がしっかりサポートに入り、ボールホルダーはその味方を利用してパスを繋ぎ局面を打破する。焦ってパニックにならない冷静さと、その支えになる基礎技術がしっかり備わっている証明である。

 派手なプレーを幾つか紹介するより、そうした局面を観察するだけでレベルの高さが判っていただけると思う。

 この大会で、将来なでしこリーグで花を咲かせるであろう素材は数多く発見出来た。中にはいずれ、なでしこJAPANかも、と思わせる逸材もいた。あえてここで名前は列挙しないが、そういった観点でも注目に値する大会だった。

 後は、様々な点で彼女たちとその指導者により良い環境や条件が揃うことを祈るばかりだし、私の駄文が微々たる一助になれば幸いである。
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