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| 関西蹴球だより 07/05/18 (金) | <前へ|次へ|indexへ> |
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女子ユース世代の勢力図に変化の兆し 平成19年度大阪高校春季サッカー大会・女子の部 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ |
関西で、中学3年生の女子サッカー選手が進路を決める際、少し前までは本当に選択肢が少なかった。極端に言えば、兵庫県の強豪2校(日ノ本学園と啓明学院)に進むか、クラブチームで続けるか、それしかなかった。そんな状況も、やっとこの2、3年で大阪に受け皿が増えた。それが、この日登場した大阪桐蔭であり、大商学園であり、堺女子である。この3校の大会登録選手はほとんどが高校1年生か2年生。彼女たちの中学時代の所属チームは、その多くが関西の主要なクラブチーム。ようやく活躍する場が出来たといったところだろう。それに伴い兵庫に流れていた人材も大阪に留まるようになってきた。
この大会では、それら新興チームの力を観ると共に、決勝に残った合同チームにも関心が向いた。様々な学生スポーツの大会において、1校でメンバーが揃わない場合に合同チームが結成される。それ自体は珍しくはない。ところが、関係者の多くが決勝は大阪桐蔭と大商学園と予想している中、それを覆したのが、表現は悪いが"急造チーム"だったことが注目に値した。
【3位決定戦 大商学園vs.堺女子】
3位決定戦は、高かった前評判に反してグループリーグで合同Aチームに苦杯を喫した大商学園(以下、大商)。監督自身が「タレントでは大商には及ばない」と断言するものの、サッカー経験者がしっかり揃っている堺女子(以下、堺)の対戦で行われた。
開始早々から、大商のテクニックが際立つ。具体的には、インサイドとインステップ以外のキック、アウトサイドやヒールキックが自然に繰り出されること。足裏を使っての引き技が巧みであること。胸トラップが正確であることなどがあげられる。
その個人技をチームプレーに昇華し、前半は完全な大商ペース。2分、4分とMF北浦が、16分にはMF服部が、それぞれGKとの1対1をしっかりと決める。決定機でも焦らない余裕が素晴らしかった。大商の攻撃の多くは、右サイドに起点を作り、中央、ないしは左サイドのスペースを突くもの。さらに前半のうちに、オウンゴールと北浦がハットトリックを達成する3点目を挙げて5−0と堺を引き離した。
ただし、堺の守備は決して悪くなかった。GK井上は果敢に前で勝負する勇気があり、DFも恐れることなく高いライン勝負し、オフサイドも連取した。そして後半、堺はキッチリと修正をして臨んだ。大商に有効なパスを出させず、決定機を作らせない。大商の攻めに対して的確な判断が取れるようになっていた。
その源はDFラインから飛ぶコーチング。女子のユース世代では、士気を鼓舞するためや、仲間を励ます"声"がよく聞かれるが、堺の場合は、ハッキリとしたポジション修正や対敵動作の指示が飛んでいた。これは女子ユース世代の取材をしていて初めて耳にした。特にMF松尾がキャプテンとしてプレーだけではなく、声でチームをコントロールしていた。松尾は数少ない3年生だが、それは最上級生の強みとも言えるかも知れない。残念ながら、堺はまだ攻撃までの道筋は立てられるレベルではなかったが、それは今後の課題とすれば良いだろう。
そして大商は、見事な選手交代を行って、粘る堺のゴールを再びこじ開けた。後半途中に投入された高橋と網城がそれぞれ1ゴール。終わってみれば7−0というスコアで、大商が3位を確保した。
| (大商学園) | (堺女子) | |||||||
| GK: | 藤山 | GK: | 井上 | |||||
| DF: | 谷口、松永、小野 | DF: | 鎌田、村中、谷田 | |||||
| MF: | 溝口、藤本→村上、北浦、服部→山根、宮村→網城 | MF: | 小野寺、木村、中松、松尾、平田 | |||||
| FW: | 今西→高橋、斉藤 | FW: | 藤井、松岡→中塚 | |||||
【決勝戦 大阪桐蔭vs.合同A】
決勝戦を迎えるまでに、大阪桐蔭(以下、桐蔭)の練習を見学できた。人工芝のグラウンドは、他の部活動や地域のクラブとの兼ね合いでフルに使えるわけではないが、それでも魅力的だった。見学した日が偶然、キック力や短距離走の測定というメニューだったため、女子の平均という観点でかなり参考になった。同時に、少しフィジカルが物足りないかなとも感じた。
合同Aチーム(以下、合同)は、東住吉総合・松原・大阪成蹊女子・箕面自由学園・帝塚山学院の選手で形成されている。この大会に向けて、何度かのトレーニングは積んでいたが、普段はそれぞれの高校(部員数一桁)で頑張っている。もう少しで単独チームとして登録できそうな学校もあり、今後の普及が待たれる。
さて、試合はフィジカルの優劣を意図したわけではないだろうが、合同の球際での厳しいチャージが桐蔭の技や連係を押さえ込む流れになった。合同の選手は、桐蔭のボールホルダーにしっかりと体を当てて守備をする。フィジカルでやや劣る桐蔭のボールコントロールが安定しない。そんな場面がピッチ上で繰り返される。総合力で上回る桐蔭がボールはキープするが、決定機は訪れない。FW古木の単独突破も散発に終わる。
そんな桐蔭にとっては嫌な展開を、MF村川の右足が救う。11分(35分ハーフ)にはMF六車にスルーパスを通し、それを六車がDFライン裏で受けてゲット。だが、この先制点は桐蔭を気分的には楽にしただろうが、流れは大きくは変わらなかった。合同の守備が安定しており、桐蔭が圧倒している感じは全く無し。ただ、合同もカウンターに枚数が割けず、どうしても奪ったボールをすぐに桐蔭に返してしまうため、守勢が続いた。
ここで村川がもう一仕事。24分にCKを直接ゴールに放り込み2−0。このゴールは大きかった。もし前半を1−0で折り返したなら、精神面では合同が上に立つことすらあり得た。
後半も、ボールをめぐっての鍔迫り合いが続く。女子のこの世代にしてはかなりショルダーチャージの多い試合である。もちろんその事に関して、筆者は好意的に観ていた。いくら技術が高くても、それがプレッシャーを受けた状態で発揮出来なければ無意味だからである。願わくば、主審には厳しいチャージをファウルとせずに流すだけの裁量が欲しかったが。
フィジカルコンタクトに苦しんだ桐蔭は、球離れを早くして、ミドルレンジからも積極的に狙っていった。その判断は正しかったが、合同のDF陣とGKがまさに身を挺して防ぎ得点には繋がらない。
合同もMF河野がスルーパスを放つ場面が増えたものの、FWには合わず。桐蔭のDFラインはカバーリングの意識が高く、ほとんど裏を取らせなかった。そして59分。桐蔭はFKをMF寺本が直接決めて3−0。ようやく安全圏に到達した。65分に、合同の河野が自分自身でゴールして2点差に詰め寄ったが、遅きに失した。3−1で、春の女王の座は、桐蔭へ。
今後大阪では、女王の座を巡ってこれまでに無い激しい戦いが増えるだろう。そして、兵庫県勢が強かった関西地区でも勢力図を塗り替える可能性は高い。来月開催される関西の高校女子の大会で、現在の力関係が示されるだろう。ここ最近に限ってだが、関西の女子ユース世代を集中して観た筆者なりの予想はあるのだが、それは恐らく覆されるだろう。それほどに伸びしろを多く残しているチームが揃う。
関西の覇権争いは今後も取材を続けるが、そこに他府県の高校がどんどんと名乗りを挙げてもらいたい。そうなれば、更なるレベルアップが望めるからであり、受け皿もまだ足りないからである。
| (大阪桐蔭) | (合同A) | |||||||
| GK: | 倉田 | GK: | 飯井 | |||||
| DF: | 山田、田中、兼松、坂口 | DF: | 高松、塩川、山本、吉岡 | |||||
| MF: | 佐々木、寺本→西井、村川、六車 | MF: | 高本、河野、大西、中田 | |||||
| FW: | 齋藤、古木→宮本 | FW: | 桐畑、品川→樋口 | |||||
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