topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 関西蹴球だより 07/08/22 (水) <前へ次へindexへ>

 U-16世代の真価
 第62回国民体育大会 近畿ブロック

 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ
 国体少年男子は、所属チームでは出場機会が少ないであろう、(主に)高校1年生の世代が活躍するための舞台となっている(今大会は、1991年1月1日生まれから1993年4月1日生まれが出場資格)。ユースレベルの大会で、この世代が目を引くようなパフォーマンスを見せる場面にはなかなか立ち会えない。だからこそ、同世代との勝負になる国体では本領発揮が期待される。しかも国体は各府県が急造チームで臨むため「個」の力が目立ち易い。

 ひとつ残念なことは、せっかくチームを作っても試合数が少ない点。近畿の場合、6府県だけなのだが、それでもリーグ戦にすることは難しいということで、初戦に敗れれば1試合(35分ハーフ)で解散の場合もある。今回は大阪府と和歌山県がその憂き目にあった。この辺りは尚一層の改革が必要だろう。



【兵庫県vs.奈良県】

 この試合はタレント集団の兵庫が注目された。先に開催された「豊田国際ユース」に出場した選手が5人も揃っている。練習はその代表選手たち抜きとなってしまい、練習試合の人数にも困る状況ではあったが。一方の奈良は前日に初戦を戦っており、猛暑の中の連戦が心配される状態。この試合が初戦の兵庫と比べると、公平性という意味では首を傾げたくなる。

 それでも試合は一進一退の攻防で始まった。キックオフから両チームの守備陣にミスが多発。それは猛暑というよりは、急造チームとして連係が出来ていないため。しかし頻発するミスはゴールには結び付かず。攻撃側もまた、連係はまだまだである。

 攻撃に関しては、兵庫は左サイドから、奈良は右サイドからコンビネーションで崩そうとする場面が目に付く。それぞれのストロングポイントなのだろう。そして先に強みが生きたのは兵庫。17分に左に流れたFW永井(C大阪U-18)のマイナスの折り返しをMF鈴木(ヴィッセル神戸ユース)が蹴りこむ。奈良はFW岩田(法隆寺国際)が組み立ての中心となり反撃を試みる。兵庫から多くのファウルを引き出すものの得点には繋がらず前半を終える。

 後半になって、前がかりになる奈良に対して兵庫のスルーパスがどんどんと通るようになる。決定機を幾つか逃した後、40分にMF平川(G大阪ユース)の絶妙のパスから再び鈴木がゲット。その後の兵庫が一気呵成。微妙なオフサイドやシュートミスで追加点はならないが、追い付くためにバランスを崩した奈良を攻め立てて、多くのチャンスを作る。奈良は焦りからかドリブルの単独突破が増え、兵庫の網に引っ掛かる。

 兵庫は66分に平川が、GKとの1対1をようやく決めて決定的な3点目。ここで奈良の集中力は切れて、退場者まで出す。そして最後に兵庫が、まだ体力の余っている途中出場のMF京田(滝川二)のクロスから、同じく途中出場のFW片岡(ヴィッセル神戸ユース)のヘッドで4点目。タレント集団の地力を見せた兵庫が最終的には圧勝した試合となった。

 この暑い中での試合で、奈良は早い段階から交代のカードを切っていた。しかい兵庫は後半途中にまとめて交代させた。兵庫の井上監督は「追加点が入るまでは先発メンバーに託した」とその意図を語っていた。この辺りに連戦か否かで生じるアドバンテージがあった。ただし、兵庫が個で勝っていたのは事実で、全国の舞台でも期待したい。


(兵庫県) (奈良県)
GK: 嘉味田 GK: 島田
DF: 下村→浅野、内田、寺岡、飯尾 DF: 亀谷→奥田、藤田、二見、井上
MF: 上諸→京田、鈴木、平川、木村(竜)→奥田 MF: 笹野→中城、伊藤、永澤
FW: 木村(一)→片岡、永井→伏見 FW: 中野→上村、小西、岩田→菊池



【滋賀県vs.京都府】

 滋賀は野洲の選手が主体でチームが組まれている。登録選手20人中実に13人が野洲所属。既に野洲の主力になっている選手もいる。初戦で強豪・大阪に競り勝っており、疲れもあるが勢いも得ている状態。対する京都は、京都サンガU-18の選手が中心になっている。順調に力を伸ばして来ているサンガの下部組織。選手の質も高い。

 さて、来年、再来年のプリンスリーグの展望にもなる一戦は、開始早々、京都のFW中島(京都サンガU-18)がGKと1対1になる。しかしこれを外した事で試合は縺れる。キックオフが13時。強烈な炎天下、全くもって運動には適さない環境だった。こうなってしまうと心身のタフさ比べとなる。

 ペースを握っていたのは京都。こぼれ球をしっかりと拾う運動量で勝っていた。押し込まれる滋賀はどうしてもロングボール中心となってしまう。そのため前線と2列目の間隔が広がってしまい、攻撃の連続性が欠けた。しかし、前半途中の給水タイムの後は、両チームとも完全にスローダウン。プレーの精度も落ち、チャンスすら作れなくなってしまう。1人で局面を打破する選手も見当たらず、膠着したまま後半へ。

 後半立ち上がりに滋賀が強引なまでに仕掛けるが、京都の守りを崩しきれない。野洲でも心臓部で機能しているMF潮入が随所にテクニックを見せるが、フィニッシュには持ち込めず。滋賀のトーンダウンに比例して、試合は更に膠着状態へ。セットプレーの数も少なく、守備において互いが大きなミスをしないために突発的に得点が入る予兆もなかった。両ベンチからは「集中力を保て」という気持ちの面の指示が飛ぶ。確かに気持ちを切らせた方が負けとなる。

 後半、流れの中でのチャンスはそれぞれ1回。京都の中島と滋賀の潮入という中心選手が好機を迎えたが、ともにシュートは枠外。そして、延長戦は確実と思われた後半ロスタイム、京都MF山本が頑張りを見せる。左サイドでボールを拾い、ドリブルでDFに競り勝ちゴールライン近くからクロスを上げる。中央で交代出場のMF立溝(立命館宇治)がヘッドで合わせて遂に先制。そして試合を決めた。京都は唯一の交代選手が結果を出した。

 これで、兵庫県と京都府がまず近畿代表に。翌日、奈良県が3枚目の切符を獲得し、代表チームが出揃った。育成の世代なので、組織的であるよりも全国では存分に「個」の力を発揮してもらいたいし、それで構わないだろう。


(滋賀県) (京都府)
GK: 横江 GK: 大西
DF: 星、中野、佐藤 DF: 武田、垣根、宮本、久高
MF: 松田(康)、福原、松田(悠)、潮入、関→卯田 MF: 井上、枝連、山本、片山
FW: 上坂、梅村→吉田 FW: 沖→立溝、中島
<前へ次へindexへ>
topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink