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 関西蹴球だより 07/11/17 (金) <前へ次へindexへ>
圧倒的な破壊力を見せた日ノ本学園(赤)

 幕引きと幕開け
 第16回関西高等学校女子サッカーリーグ戦1部 第3節

 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ
 女子の高校サッカーの世界は試合数があまりに少ない。夏までの大会はトーナメントばかりなので、早々に敗退すれば半年間の公式試合経験が片手で足りてしまう。それではモチベーションの持続にも問題が生じ、選手が伸びる機会も失われる。そういった背景もあり、晩秋にリーグ戦が設定され、貴重な実戦の場とされている。

 ただ、この大会は全国に繋がるものではないため、高校によって臨み方が違う。3年生が部活動を卒業している高校は新チームで登場し、選手層の厚いチームはサブメンバーがピッチに立つ。また、付属校であれば中学生も出場可能なため、この大会で初めて公式試合を経験する選手も居れば、一方で本格的にサッカーをするのはこれで最後という高校3年生も参加する。また、このリーグは1部から3部まであるが、近年台頭して来た高校(大阪桐蔭や大商学園、精華など)はまだ1部には昇格していない。そのため各カテゴリー参加校の戦力的な均衡が取れるのは数年後になるだろう。

 そういった"バランス"には難点があるものの、貴重な試合に臨む選手たちはそれぞれに真剣だった。



【日ノ本学園vs.京都橘】

 今年も関西で圧倒的な強さを発揮している日ノ本学園(以下、日ノ本)は、例年、この大会をチーム力底上げの場として活かしている。主力の出場が少ないため、ここ2年はリーグ戦優勝から遠ざかっているが、それも強豪校ならでは。それでも今年の大会は、2試合連続2桁得点で勝っており、冬場の2つの全国大会(全日本女子選手権と全日本女子U-18)に向けて勢いを増している。
 対する京都橘(以下、橘)も来年に向けて1、2年生中心で挑む。実力差はあるが、それも糧にしてチーム作りをしたいところ。

 試合は、やはり日ノ本がハーフコートで攻め立てる展開となった。チーム戦術やポジショニングなどは覚束ない点もあるが、ボールキープの姿勢やキックの正確さなど基本が出来ているためイージーミスや判断の誤りが少ない。

 開始1分(35分ハーフ)にMF三浦のクロスをMF石谷がボレーで叩き込み先制。その後もDFラインからシンプルにフィードをして左右両サイドを使って攻める型を繰り返した。橘が全体的に後退したため、サイドにスペースが見つからなくなった場合もあったが、臨機応変に中央から割って入り得点を重ねた。特にMF玄が力強いプレーで攻撃をリードする姿が印象的だった。橘としては、失点を恐れずに攻めを念頭に置いた動きをすれば、ミスを重ねたとしても何かを掴めたはず。しかし、どうしてもボールサイドに多くの選手が寄ってしまうため、マイボールになってからの選択肢を失っていた。

 前半だけで10ゴールを決めた日ノ本は後半かなりメンバーを替える。加えて強い雨に降られてコンディションが悪くなったため攻撃は減速。それでも13−0という派手なスコアで3連勝を飾った。


(日ノ本学園) (京都橘)
GK: GK: 永田
DF: 大平→國上、渡慶次→井口、木村→森、加藤→福岡 DF: 平井、中野、本郷、岡田→澤田→岡田
MF: 玄→川村、石谷→増田→石川、川上、三浦→幸田 MF: 平田、門間、山崎、主谷
FW: 太田→中島、檜森→桜井 FW: 井手、久保田
※交代人数に制限無し、リエントリー可能

クロスゲームを繰り広げた啓明学園(赤)と八幡商業(青)
【啓明学院vs.八幡商業】

 この大会2連覇中とはいえ、部員数に苦労している啓明学院(以下、啓明)が、近年安定した力を付けてきた八幡商業(以下、八幡商)とぶつかった。第1試合の後半に降った強い雨は止んだものの、ピッチには水溜り。パワーも必要とされる環境の試合になった。啓明は中学2年生も登場するとあって、フィジカル面では辛い試合となった。

 八幡商は、DFラインで丁寧に組み立てて、主に右サイドからアタックを仕掛ける。狙い通り右は崩せたが、啓明のCB2枚・宮村と大武が強く、ことごとく中で弾き返された。女子サッカーにおいて、ダイレクトでボール処理が出来るCBの存在は大きい。

 その後もMF尾上を中心に攻め立てる八幡商だったが、なかなかフィニッシュには到らず。もつれたまま前半を終えるかと思われた。しかし31分に尾上のクロスが直接ネットを揺すって先制すると、前半終了間際にもFW節木が速攻から決めて2点目をゲット。これで勝敗の行方は決したかに思えた。

 そのゲームを一変させたのが啓明MF進藤。まだ1年生の進藤は、サッカー経験が高校入学後の半年のみ。しかし恐ろしいまでのセンスで急速に成長していた。後半、劣勢の啓明を救うゴールを3発ぶち込んだのだ。しかもその内の2ゴールはグラウンダーのミドルでサイドネットを突いており、GKはノーチャンスだった。

 逆転した啓明は細かくポジションチェンジをして逃げにかかったが、主力の中田が負傷交代を余儀なくされてしまい、そこを八幡商に突かれた。八幡商FW野村が残り5分から2点を決めて逆転。クロスゲームを八幡商が制した。それぞれのチームにとって発見のある有意義な試合だっただろう。


(啓明学院) (八幡商業)
GK: 山角 GK: 徳安
DF: 中野、宮村、大武、長谷川 DF: 岡、周防→北川、青山、河嶋
MF: 佐名→伊原、進藤、井上、山口 MF: 奥野、森、尾上、志村
FW: 中田→佐名、片岡→谷 FW: 節木、野村
※交代人数に制限無し、リエントリー可能

聖母学園(橙)と有馬(赤黒)は来シーズンを見据える戦い
【聖母学院vs.有馬】

 ともに有力選手が集まっているわけではないが、しっかりとした指導者の下でトレーニングを積み実力を増して1部で戦っている。この試合、聖母学院(以下、聖母)は中学生を多く起用。有馬も2年生以下で固めており、来年へ向けての戦いと言えた。

 序盤からドリブルで中央突破に掛かる聖母攻撃陣を、有馬が体を張って止める流れが続く。有馬は有効な攻めの形を生み出せず、聖母DFにプレッシャーを掛けられない。両チームともに狙いはカウンターであり、どちらが先に型に嵌めるかの鬩ぎ合いになった。特に聖母は、高い位置からのカウンターではなく、あえて自陣に引くことにより有馬DFライン裏に広大なスペースを作り、そこに3トップを走らせるという狙いを定めており、じっとタイミングを計っていた。そして31分、策が的中。FW吉田がドリブルで有馬DFを1枚剥がすと後はスペースを独走してゴール。まんまと先制してみせた。

 後半に入って、反攻に出たい有馬だったが、聖母にDFライン裏を狙われることで、前線と守備陣の距離が開き、FWにボールが入ってもフォローが足りない状態が続く。その状況を打破するために、攻撃力のあるFW足立を1.5列目に下げてボールを収め、MF安場をFWに上げてフィニッシュに集中させた。この狙いが奏功し、終了間際に、安場が抜け出してゴール。1−1の同点で終了の笛を聞くことになった。


(聖母学院) (有馬)
GK: 宮坂 GK: 中山
DF: 河下、並川、清水、小山→中澤 DF: 村方、辻子、奥田、栗山
MF: 岸→伊良知、小林、森田→鎌田 MF: 津田、岡留、安場、塚本
FW: 吉田、梅田、大西 FW: 足立、山本
※交代人数に制限無し、リエントリー可能
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