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 関西蹴球だより 08/01/12 (土) <前へ次へindexへ>
初戦に臨むヴィトーリア(白)

 ヴィトーリアと日ノ本、仙台2強に挑む。
 第11回全日本女子ユースサッカー選手権

 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ
 女子のユース年代の全国大会となると、なかなか力関係が掴めない。それだけ実戦の場が少ないため、判断する基準に乏しいからである。もちろん、チームのこれまでの実績や個人の肩書きなどから推測することは出来る。しかし、それでは短期決戦を展望するには不十分。そうなれば実際に確かめるしかない。新春の好天の下、関西勢を中心に全日本女子ユースを取材した。

 兵庫県三木市で開催されたこの大会、関西からはFCヴィトーリア(以下、ヴィトーリア)と日ノ本学園高校(以下、日ノ本)が全国へ挑んだ。偶然にも、ともに初戦は仙台にある強豪高校だった。



【FCヴィトーリアvs.常盤木学園高校】

 前年度覇者の常盤木学園高校(以下、常盤木)が強いことは前評判で分かっていた。しかし、関西クラブチームの代表格である、ヴィトーリアは常盤木に合わせることはしなかった。

 試合前に配られたメンバー表を見ると、ヴィトーリアは2−5−3の布陣になっている。実際にはそんなはずはないのだが、常にそれだけ柔軟である。ヴィトーリアのやり方は全国でも変わってなかった。穂積監督にシステムを確認したところ、「一応、2−3−2−3かな。」と確たる返答はいただけず。これまでのヴィトーリアの取材で何度も見たが、試合中の大胆なポジションチェンジはお手の物となっている。

 ただ、この試合では、常盤木に流動性の弱点を突かれる結果になった。試合開始早々から、ヴィトーリアが攻めの特長である左サイドアタックを数度試みる。入り方は自然で悪くない。しかし、常盤木がこれまで相手と違ったのは、サイドアタックを阻止したところから、大きく逆サイドに展開した点。ヴィトーリアの薄くなった右サイドに一気に攻め入った。しかも、ミドルレンジのボールをしっかりと蹴れる選手が多く、サイドチェンジは有効だった。

 ヴィトーリアも攻めにはでるが、反攻された際に必ず大ピンチを迎える循環に陥る。前半30分までに、常盤木のシュートが幾度もヴィトーリアGK阪口を強襲し、ポストやバーを直撃した。入らなかったことが不思議と言えた。常盤木は前半20分に早くもエース格の森本を投入し、勝負に出た。その判断は正しく、森本が絡んだ崩しから33分(40分ハーフ)、35分と容易く得点をした。

 ヴィトーリアも局面での技術は高く、一対一で簡単には負けない。ただし、局地戦に終始してしまい、常盤木が見せるような大きくピッチを使うサッカーは出来なかった。常盤木の激しいプレスの前にさせてもらえなかった、とも表現出来る。

 後半、ヴィトーリアは攻撃的な選手を投入し、反撃を試みる。ヴィトーリアとてワイドな攻撃は持ち味としており、そこで勝負したかったが、常盤木のサイドの蓋は堅く閉じられたまま。仕方なく、縦パスでの簡単な勝負が増えてしまう。関西では大学生チームにも攻め勝つヴィトーリアだけに攻めの部分はもう少し通用するかとも思えたが、全国トップレベルは甘くなかった。

 常盤木は、存在感を発揮し続けた森本がゴールに絡み続け、終わってみれば6−0と圧勝した。まだ学年的に若いヴィトーリアが、今後どこまで進化し、名誉挽回するか、楽しみも残った。


(FCヴィトーリア) (常盤木学園高校)
GK: 阪口 GK: 松山
DF: 高橋、高野 DF: 瀧澤、櫻本、郷内→千葉
MF: 乃一、坂井→谷舗、京本→池田、高井→川原、尾山(沙希) MF: 小池→志賀浦、菅藤→安本、熊谷、山田、後藤
FW: 中島、浦谷、川内→尾山(沙里) FW: 小原、工藤→森本


激しいプレスをかける日ノ本学園(青)
【日ノ本学園高校vs.聖和学園高校】

 高校を代表する強豪の対決でもあり、日ノ本の地元開催という条件も手伝って、多くの観客に見守られた試合になった。

 そんな試合は、両者ともに様子見をせず攻め手を繰り出し、その結果開始5分で聖和学園高校(以下、聖和)が先制する。スルーパスに見事に抜け出したFW三森が冷静に決めた。最初のパンチが強く入ったため、日ノ本に余計なプレッシャーが掛かることが危惧されたが、お返しの一発も早かった。7分にFW小道がスルーパスを通し、2トップの相棒・大野がゲット。慌しい点の取り合いだったが、1−1でひとまずトーンダウン。

 序盤、テンポを掴んでいたのは聖和だった。ハッキリとテクニックを全面に打ち出したパスサッカーを展開する。小気味良い程にショートパスが繋がる。そのタクトを振るうのは、トップ下に入った斉藤。彼女が一段抜けた技術でチームに勢いを与えた。しかしパスサッカーというのは、日ノ本が対応し易いタイプでもあった。運動量や競り合いなどフィジカルに優れた日ノ本のディフェンススタイルは、徐々に聖和のパスのテンポを崩し始める。

 だが、聖和のパスは繋がるのだが、出し手・受け手に激しいプレッシャーが掛かり始めると、それは回させられているといった趣に変わる。ボール支配率こそ五分五分だったが、聖和はシュートにまで持ち込めない。日ノ本の運動量に優れた中盤と個の守備力の高いDFラインが攻撃を遮断した。

 守備で形を作った日ノ本だが、攻撃で有効な手が打てない。サイドにボールを送って一対一の勝負をするのが日ノ本の形。しかし、個の力量で落ちない聖和を簡単には切り崩せなかった。早い段階で得点能力の高いFW小栗をピッチに送り出した日ノ本。小栗は期待に応えてチャンスを作り出すが、今度はフィニッシュが決まらない。今年の日ノ本が抱える決定力不足が大事な一番でも露呈した。

 しかし、じわりじわりと聖和ゴールに迫り続けた日ノ本は、前半終了間際にゴール前で混戦を作り出し、最後は太田がプッシュ。スマートな攻撃ではなかったが、2−1と突き放した。

 後半も、一見すると一進一退の攻防だが、常に日ノ本の激しさがゲームを支配していた。聖和に、高いテクニックにプラスした何らかの強みがあれば戦況は変わっただろうが、ペースは常に一定だった。上手くゲームを膠着させた日ノ本が、後半40分間を見事にやり過ごし、勝利を収めた。日ノ本のサッカーは、大勝はしないが、圧倒される事も無い、それが強みだろう。


(日ノ本学園高校) (聖和学園高校)
GK: 鈴村 GK: 佐藤
DF: 菊地、武田、山縣、坂田 DF: 加賀、戸羽、村上、中村
MF: 今中、藤田、田上、太田→堀井 MF: 小野寺→阿部、内田、斉藤、
FW: 大野→小栗、小道 FW: 新沼→鈴木、三森→亀井、麻生
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