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 関西蹴球だより 08/03/17 (月) <前へ次へindexへ>

 関西学生女子選抜の現在地点
 大学女子サッカー地域対抗戦2008年

 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ
 男子に、学生地域選抜の対抗戦「デンソーカップ」があるが、「大学女子サッカー地域対抗戦」は、その女子版と考えていただければ解り易い。男子に比べれば、知名度も注目度も乏しい大会ではある。しかし、女子の大学世代の優秀な選手が勢揃いしており、インカレとは違った見所があり、レベルも高い。大会は3月3日から3日間に渡って、アスコザパークTANBAで開催されたが、大自然の中で共同生活する事で、サッカー技術以外のコミュニケーションも築ける有意義な大会である。

 関西選抜は、インカレ出場校の、大阪体育大学(以下、大体大)・武庫川女子大学(以下、武庫女)・大阪教育大学(以下、大教大)から選手がセレクトされた。しかし、この大会に出場資格の無い大学4回生や大学院生が不在のため、関西選抜のレベルは事前には見当がつかなかった。

 地域対抗戦は、開会式での、大会理事長の「女子大学サッカーのレベルが低いと評されている。それを覆そう」というかなり辛口の挨拶で幕を開けた。



【第1試合:関西選抜vs.南関東選抜】

 インカレ女王の日本体育大学(以下、日体大)と、神奈川大学の連合チームである南関東選抜は、この大会で最強の前評判。それに挑む形の関西選抜は4−4−2で中盤がボックス型という武庫女のスタンダードであるシステムを採用。スピードを売りにしている選手を中心に、全日本大学選抜に選ばれた平井(武庫女)という絶対的なエースストライカーを置いて南関東を迎え撃った。

 立ち上がりは、2ヶ月の怪我明けからぶっつけ本番で登場して来た、左サイドハーフの三宅(武庫女)が、得意の左足の強いキックでチームに勢いをもたらした。どう見てもまだまだ完調ではなかったが、それでも南関東の右サイドを押し込んだ。その三宅のクロスを何とか弾き返した南関東は、徐々にプレスのスピードを上げる。試合は中盤での潰しあいに移行し、なかなか両チームともにパスが繋がらない展開に陥る。

 急造チームではあるものの、両チームともよく喋れており、主導権の掴み合いが激しい。膠着状態を打破し始めたのは、個人技で上回る南関東。片方のサイドで窮屈になると、広大なスペースのある逆サイドを上手く利用し始めた。ボランチの伊藤(日体大)がタクトを振るい攻撃を司る。

 ここから、関西は後手後手に回り続ける。前半まともなシュートは平井のヘッドのみ。次第に足下の技術ではなく、判断力が追い付かなくなって来る。南関東もミスが多く、関西にプレゼントボールがしばしば渡るのだが、そのボールを慌てて蹴ってしまい、相手に攻撃権を返上する場面が続く。冷静に周囲を確認しておくことと、フリーの味方を使う余裕が欠けていた。そして遂に20分(25分ハーフ)、南関東の佐藤(日体大)にゴールを割られる。

 ハーフタイムに入り、関西の学生は自主的に修正点を話し合う。その話し合いは「間延びしたライン間隔を詰めよう」という意見でまとまっており、課題は明確に捉えていた。後は、それを技術と判断で修正出来るか、後半の見所はその点にあった。

 後半の頭から、関西はスピードランナーのFW山内(大体大)を投入し、さらに速さを全面に打ち出して来た。しかし、南関東ペースはずっと変わらず、そして、関西の課題である「間延び」状態も改善されないまま時が過ぎる。

 南関東はGKのパントキックからして、必ず味方へのパスとして繋げる。後ろから前線までパスを的確に味方に渡してゆく技術と頭のクールさが、関西との決定的な差であった。スコア自体は動かなかったが、関西は防戦一方にさらされた。DFのビルドアップの技術と、プレスを受けた中での状況判断と回避するテクニック、それらは試合中に解決する類の課題ではなかった。日常的にどれだけ高いレベルの練習と試合を行うか、その積み重ねでしか解決の糸口は無い。

 試合終了後、松下監督と島津主将に話を聞いたが、自分たちの弱みをハッキリと認識していた。そして「関東との個々の差は大きい」と痛感させられていた。


GK 柴田
DF 堀本、浦上、藤本、石本→原田
MF 三宅→山内、島津、末田、喜代原
FW 平井、前田→中上→中川



【第2試合:関西選抜vs.北海道・東北選抜】

 この試合に多く触れる事は無い。なぜなら、格下相手にも、第1試合と同じ課題を露呈。試合自体は1−0で制したが、クオリティーは低かった。もう少し厳しく書けば、課題がさらに増えたとも言える。個々の技術以前にボディバランスが悪く、ちょっとした接触で転倒する選手が多い。これは南関東選抜の選手にはほとんど見られなかった傾向である。基本的なフィジカルトレーニングも必要とされるレベルである。

 最後に1つ挙げる課題は、関西選抜だけのものではなく、今大会でチェックした全チームに共通するものだが。それは、「安易にクリアし過ぎる」という事。セーフティーファーストの発想に間違いは無い。しかし、トラップの工夫や体の向きを変えるだけで、マイボールを放棄せず、味方に繋げる場面が多々あった。焦ってクリアに逃げているのか、簡単にプレーしろという指導なのか、理由は様々だろう。しかし、女子のレベルアップのためには、ボールを失わない発想をもっと大切にする必要がある。

(関西選抜)
GK 大下
DF 原田、浦上、藤本、石本
MF 中上、末田、島津、松崎→喜代原
FW 谷口→堀本、前田→平井
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