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 関西蹴球だより 08/04/06 (日) <前へ次へindexへ>
同志社(紫)と立命館(白)

 同志社、ライバル立命館を倒し京都王者に
 第58回京都学生サッカー選手権決勝 同志社大学VS立命館大学

 取材・文/ハヤシ ヒロヒサ
 毎年3月に開催される京都学生サッカー選手権だが、位置付けが難しい。歴史のある立派なタイトルであり、天皇杯にも繋がるとあって軽視は出来ない。しかし、この大会の決勝戦の1週間後には関西学生サッカーリーグが開幕する。各大学にとっては、チームを仕上げている段階でもある。そのため、実験的な選手起用もあるし、軽傷の選手を無理に使うことはない。Jリーグでも開幕前にタイトルの懸かったプレシーズンマッチがあるが(ちばぎんカップなど)、そういった趣の大会、その解釈が最も解り易いか。

 この大会は、京都の名門、同志社と立命館がタイトルを常に争っているが、今年も2強が決勝でしのぎを削った。昨年の大会では、戦力的に劣った同志社が粘り勝ちで立命館を倒した。しかし、今年は同志社が戦力的には上回っており、立命館を迎え撃つ形となった。



 小雨が降り、多少の肌寒さを覚える西京極総合運動公園陸上競技場。電光掲示板にスタメンの名前が並ぶ。それを眺めると、両チームの一年間の変化が良く判る。同志社は、昨年、下級生を並べて勝負しただけあって、お馴染みの名前が連なる。ただ、怪我人が多く、エース格を1年間固定出来なかったFWには、市川・北森が抜擢された。軸になるFWを育てるという課題はまだクリアされていなかった。

 対する立命館は、3人のJリーガーを輩出したこともあって、主力が大幅に入れ替わった。しかも昨秋は2部リーグで戦っていたため、ネームバリューのある選手は少ない。それでもタレントを生み出すのが立命館であり、期待も込めてピッチに目をやった。

 試合が始まってみて、雨の影響はあまり大きくないように映った。選手のボールコントロールも落ち着いている。先制パンチを繰り出したのは立命館。4分(45分ハーフ)左サイドバック前野が果敢にオーバーラップをし、そこから良質のクロスを供給。ゴール前でセンターフォワード宮尾が的確にボレーで捉えたが、人壁に撥ね返された。この決定機で最初にリズムを作ったのは立命館。シンプルにサイドに散らして同志社陣内に攻め入る。

 互いに、4−4−2システムで、中盤もオーソドックスなボックス型。しかしピッチをワイドに使えていたのは立命館で、同志社は縦に焦っていた。ポストタイプのFWが不在の同志社は、縦に急いでもボールが収まらず、結局簡単に攻撃権を放棄してしまう展開。中盤でも、立命館の新司令塔・山口がゲームを掌握し、周囲を走らせる。山口の足下でボールがしっかり収まるために、サイドの選手がスムーズに攻撃参加を繰り返し、同志社にプレッシャーを与え続けた。

 ただ、サッカーの難しいところは、優勢に立つこととゴールネットを揺らすことは別物である点。先制点は、呆気なく生まれた。しかも押され気味の同志社に。21分。左サイドバックの林が苦し紛れにクロスを放り込む。エリア内には同志社の選手は1人だけ。非常に得点の可能性の低いシーンだった。しかもクロスにGKが反応しており、一連の流れはあっさり終わるかと思えた。しかし、GKがキャッチしたかに思えたボールが、腕からこぼれる。しかも、こぼれ球が唯一ゴール前に詰めていた同志社のMF荒堀の眼前に。

 これでスコアが1−0になっただけでなく、ペースまでもが同志社に傾いた。同志社のプレスは相当に高い位置から仕掛けるのだが、それが面白いように嵌り始める。MF4人とFW2人が流動的にポジションを変えてボール狩りに参加する。立命館はその網を掻い潜ることがままならず、ロングボールに逃げ続ける。



優秀選手・森本(左)と楠神
 今年の同志社の中盤は、関西でも圧倒的と表現しておかしくないくらいに、テクニシャンの集団。そのため、中盤でプレスを敢行してこぼれたボールの回収が素晴らしく上手い。細かい足技でマイボールにしてしまう。同志社の望月監督が、「中盤はなかなか選手をいじれない」と試合後コメントを残したが、確かにこのストロングポイントは、怪我人でも出ない限り交代はさせ辛い。

 ただ、観ていてもどかしいのは、スキルに長けた中盤の選手が鮮やかなショートパス交換をするのだが、狭いエリアでボールを回し続けるため、窮屈な状態を打破出来ない点。何か昨年のヴァンフォーレ甲府を観ているような感覚に陥った。

 同志社の激しいプレスとショートパスのリズムは後半も全く変わらなかった。決定機は少ないもののゲームを支配し続けた。立命館は、時折攻め入った際には、惜しいシュートは放っていたが、試合を支配されていたため、偶発的でしかなかった。司令塔・山口の冴えも、どうしても個人技に終息した。

 残り時間が少なくなり、プレーも激しさが増して膠着状態が訪れた。同志社は逃げ切り態勢、立命館は必死に同点を狙う。ピッチ上の22人がバランスを欠いて戦い始めた中、冷静だったのは、同志社の10番・楠神。得意のスラローム型ドリブルを連発して、1人でカウンターを仕掛け続けた。と同時に立命館の力技もかわした。結局、スコアは1−0のまま試合終了。同志社は戴冠とともに、来る新シーズンへ弾みをつけた。


(同志社大学) (立命館大学)
GK: 堀之内 GK: 鈴木
DF: 井上、森本、永戸、林 DF: 佐藤、長谷川、館野、前野
MF: 徳丸、荒堀、楠神、大森 MF: 植松→是井、内藤→福本、有田、山口
FW: 市川→飯島、北森→角島 FW: 玉林、宮尾→木村
(大会優秀選手)
GK 鈴木彩貴(立命館)
DF 森本一樹(同志社)
MF 楠神順平(同志社)
FW 宮尾勇輝(立命館)

(得点王)
宮尾勇輝(立命館)
宮脇雄嗣(京産大)

(アシスト王)
市川恭平(京産大)
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