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 頑張れ!女子サッカー 06/07/26 (水) <前へ次へindexへ>

 中国から9年ぶりの勝利。なでしこジャパン、グループAを首位通過。
 

 文/西森彰
AFC女子アジアカップ2006オーストラリア・グループA なでしこジャパン(日本女子代表)vs.中国女子代表
2006年7月23日(日)14:30キックオフ ハインドマーシュスタジアム 観衆:5,000人 天候:晴れ
試合結果/日本女子代表1−0中国女子代表(前1−0、後0−0)
得点経過/[日本]宮間(18分)


 既に準決勝進出を決めている日本女子代表=なでしこジャパンと中国がグループリーグの最終戦で顔をあわせた。どちらも2連勝だが、得失点差で上回る日本が中国を抑えて首位に立つ。中1日での連戦が続き、この後の準決勝まで中3日と強行軍だが、どちらもこのゲームを勝つことだけに集中してきた。

 ここまでの2試合をボックスの4-4-2、3-5-2と戦ってきた日本は、4-4-2のダイヤモンドを敷いてきた。このシステムは、2トップの下に澤穂希を据えて自由を与え、中岡麻衣子がアンカー。トレスボランチ気味に宮間あやと柳田美幸が、イニシアチブを握っている時間帯には左右に張り出し、守勢に回ると中岡の脇でボールへ向かう第1ディフェンダーの役割だ。対する中国は、控えが続いていたGKのZHANG,Yanruがゴールを守った他は、全く変わらず。3戦連続でフィールドプレーヤーを固定した4-4-2。



 キックオフから激しい攻防を見せる両チームに、グループリーグの消化試合という意識は全くない。日本はパスをつなぎながら相手の守備の綻びを探し、中国はフィジカル、ボディバランスに長けた2トップへボールを預けてゴールを目指す。4分、中国のMA,Xiaoxuが強烈なシュートを右ポスト脇に飛ばす。さらにHAN,Duanのシュート。序盤は中国が優勢だった。

 しかし、日本はワンチャンスをモノにする。18分、宮間が倒されて得たボックス右角外でのFKで、ボールをセットしたのはレフティの柳田。その左足から放たれた低いボールを、相手GKの鼻先で宮間が頭をあわせる。宮間にしては珍しい、ヘディングシュートでの得点。これで日本には余裕が中国には焦りが生まれてきた。

 中国はロングボールを日本のディフェンスラインの裏に蹴りこんでくる。FWが競り勝てば良し。クリアされてもこれを2列目以降が拾って、2次攻撃につなげようという狙いだ。日本のDFは2枚、3枚がかりで中国のFWを止めようとするが、中国も中盤の選手がミドルシュートを次々に放つ。福元美穂は、これをパンチングで逃げずにしっかりとキャッチして流れを絶つ。

 後半に入っても、中国が攻め込む時間が長引いたが、日本も単純なクリアだけでなく、パスをつないでラインが押し上げるだけの時間を稼ごうとする。驚くべきは両チームの選手たちの運動量だ。ちょっとルーズなパスはカットされ、少しボールコントロールに時間がかかると必ず複数の選手の網にかかり、ボールを奪われる。途中でパスのつながる回数を数えたが、どちらもなかなか5回を越えない。ミスパスがそれほど多くないのに、これだけ攻守が変わるのは22人の選手が集中しているためだろう。

 結局、日本は宮間が奪った虎の子の1点をロスタイム4分間の終了まで守り抜き、グループA1位で決勝トーナメント進出を決めた。

 最大の勝因は、過酷なゲームで際立った充実振りを見せたディフェンス組織だろう。DFもできる中岡を中盤の底に据えたことで、最終ラインの負担が減り、バイタルエリアも塞がれた。決定的ピンチは、左サイドバックのLIU,Yaliにセンタリングを上げられた場面くらい。ここも相手FWふたりのポジションが重なったところに下小鶴綾が飛び込み、体に当てることで失点を防いだ。

 相手の膝が顔面に入りながら突破を許さなかった磯崎浩美。的確なカバーリングを見せた下小鶴。そして最終ラインの前でフォアリベロ役をこなした中岡。TASAKIペルーレFCトライアングルを中心とした守備は、中国のシュートレンジを遠ざけ、ミドルシュートやハイボールは福元がガッチリと抑えた。もちろん、味方の選手が守備に忙殺される中で、永里優季、大野忍が前線でボールをキープしてくれたことも、守備時間の削減に貢献していた。

 ひとつひとつ検証していけば、最終的には全員の名前が挙がるだろう。好ゲームとはそんなモノである。



 翌日に行われたグループB2試合の結果を受けて、日本の対戦相手は地元のオーストラリアに決まった。木曜日の準決勝では、男子ワールドカップの熱を引きずる地元民が、オーストラリア女子代表=カンタス・マチルダスを応援するために、ハインドマーシュスタジアムを埋め尽くすのだろう。日本にとってはこの日以上の完全な敵地での戦いになる。

 予選グループで藻屑と消えるリスクを背負いながら、北朝鮮、韓国と同一グループに入ったオーストラリアは、組分け抽選会のやり方を知らなかったかのではなく、「どこが出てこようが勝てる」というすさまじい自信があったのだろう。グループリーグの最終戦でも、対戦相手を考慮するのではなく、自分たちがベストな状態で準決勝を迎えるためにメンバーを落としてきた。

 そして我らがなでしこジャパンは、決勝トーナメント進出が決まっているにも拘わらず、グループリーグ最終戦で勝利への執念を見せた。正直、試合前には「勝っても負けてもどうでも良いや」と思っていたのは事実。そんな気持ちが、気迫あふれるプレーの前に「ここまできたら勝たせてやりたい」と変っていった。9年ぶりの中国戦勝利の結果、開催国と準決勝を戦うのは、ワリにあわない気もする。しかし、相手がどこだろうが、完全優勝を目指すこのチームにとってはそれこそ「どうでも良い」ことなのかもしれない。



 決勝点を奪った宮間は、この大会に入る前から「3位決定戦? いや、普通に戦えばファイナリストになれると思いますよ」と自信に満ちた表情で話していた。レギュラーとサブの垣根を低くして、ここまで17人の選手をローテーションしながら戦ってきた、今大会の大橋ジャパン。この後も総力戦で、女子ワールドカップ本大会の切符、そして初めてのアジア女王の座を目指し、戦い抜いて欲しい。


(日本女子代表) (中国女子代表)
GK: 福元美穂 GK: ZHANG,Yanru
DF: 安藤梢、磯崎浩美、下小鶴綾、矢野喬子 DF: LIU,Huana、LI,Jie、PU,Wei、LIU,Yali
MF: 宮間あや、中岡麻衣子、柳田美幸、澤穂希 MF: REN,Liping(67分/ZHENG,Qin)、BI,Yan、PAN,Lina(67分/SHI,Mengyu)、BAI,Lili(76分/WENG,Xinzhi)
FW: 大谷未央(25分/大野忍、92分/阪口夢穂)、永里優季 FW: MA,Xiaoxu、HAN,Duan
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