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 頑張れ!女子サッカー 06/09/16 (土) <前へ次へindexへ>
キックオフ前には、雨も小降りになったが…。

 どちらにとっても痛恨のドロー。
 mocなでしこリーグ・ディビジョン1 第9節 TASAKIペルーレFCvs.岡山湯郷Belle

 取材・文/西森彰
2006年9月10日(日)14:00キックオフ 加古川市陸上競技場 観衆:300人 天候:曇
試合結果/TASAKIペルーレFC1−1岡山湯郷Belle(前0−1、後1−0)
試合経過/[岡山湯郷]宮間(24分)、[TASAKI]阪口(84分)


 第1試合で負けたTEPCOマリーゼが降らせた涙雨だろうか。時折、雷を交えた豪雨が、第2試合を待つピッチを叩きつける。万全の芝状態でダブルヘッダーを迎えた加古川市陸上競技場だが、それでも試合に影響を残さずにはおかないような雨量だ。スタンドの観衆は、屋根が辛うじて席を覆う最上段付近に緊急避難を強いられる。

 ふと脳裏に浮かんだのは、昨年、TASAKIが浦和レッドダイヤモンズレディースを6対0と、スコアが示す通りに粉砕したゲーム。水溜りをモノともしないで相手陣内を蹂躙していったTASAKIの重戦車軍団。スピードで勝負するタイプの選手が多い岡山湯郷Belle。この雨がどちらに利するかは、明白なはずだった。

 ところがTASAKIは、キックオフから慎重にゲームをスタートさせた。山本絵美の横に、新甫まどかが位置していたのは、「山本はコンディションがそれほど良くなかった」(仲井昇監督・TASAKI)という関係もあったのだろうか。いつもの4-3-1-2ではなく、TASAKIにしては珍しいボックス型の中盤となっている。ダブルボランチが、岡山湯郷の宮間あやを消す役目を引き受けるとなれば、攻撃を活性化させるのは両SBの役目だ。

 その両翼が前に出て来ない。GKが秋山智美の負傷で、佐々木香織になっていたことは「それほど影響はなかったと思いますけれども、とにかく消極的だった。まるで気持ちが見えないプレーを続けていた」(仲井監督)。細かいショートパスをつないでポゼッションをキープしようとするTASAKIに、岡山湯郷の選手たちが、相手のお株を奪うようなプレスをかけた。



この日のTASAKIからはダイナミックな攻撃が消えていた。
 これまで公式戦で勝つどころか、引き分けさえもないTASAKI戦。試合に臨む選手たちには、ひるむ気持ちはなかったという。「TASAKIとの勝ち点が3差。得失点差はともかくとして、ここで勝てば勝ち点で並ぶことができる。試合前に、みんなで話し合っていました」(中田麻衣子・岡山湯郷)。その言葉を現実のものとするために、全員が体を張った守りを見せる。

 そして25分、潰しあいの中で得た左CKのチャンスに、宮間が右足を一振り。GK・佐々木の前に体を入れてスクリーンになった城地泰子のファインプレーもあって、このボールが直接ゴールネットを揺らした。このゴールをきっかけにして、試合が動き始めた。

 27分、TASAKIは右サイドからのボールをフリーで受けた山本がシュートを放つが、これは福元美穂がセーブ。直後の28分に、岡山湯郷も、宮間のクロスボールに、2列目から走り込んだ中田がドンピシャであわせるが、佐々木も体を精一杯に伸ばして、指先でクリアする。35分、今度はTASAKIの大石沙弥香が1対1の好機を迎えたが、これも福元が足元に突っ込んでセーブ。

 両GKが好守を連発し、その後はスコアが動かない。前半はアウェーの岡山湯郷が1点のリード。もちろん、TASAKIにとっては不本意な途中経過。仲井監督は、後半開始から阪口夢穂を投入して、流れを変えようとした。



 ハーフタイムに気合を入れられたこともあったのだろう。後半に入るとTASAKIが遅まきながら、前に出始める。ある程度は覚悟を決めていた岡山湯郷が今度は防戦に。最前線の田中静佳から、最終ラインを統率する藤井奈々まで、全員が体を張った守りで懸命に耐える。

 61分、TASAKIの仲井監督は山本を諦め、もっともパワフルなFW・鈴木智子を入れた。珍しく中盤でのミスが目立っていたとは言え、このピッチ状態で、右足の一振りで決められるキッカーを下げたのには驚いたが、この交代策が見事に的中する。前線に3枚のターゲットができたこと、そして中盤でゲームを作れる選手が減ったことで、TASAKIの選手たちは長いボールを徹底し始めたのだ。

 TASAKIの3トップが醸し出すプレッシャーに押されて、岡山湯郷の4バックはラインを上げられなくなっていった。間延びを防ぐために前線の選手たちもポジションを下げ、カウンターを見舞うチャンスもなくなる。後はフレッシュな選手を入れてボールを追いかけて、守備を強化するくらいしか打つ手はないが、本田美登里監督は動かなかった。



岡山湯郷の先制点は、セットプレーから生まれた。
「ピッチの11人が試合に集中できていた。そこでバランスを崩すリスクのほうが大きいと思った」(本田監督)。しかし、81分にフォアチェックで無理をした田中が、2枚目のイエローカードを提示されて退場。加戸を1枚残して、全員が弾き返すことしかできなくなった岡山湯郷。それでも本田監督は動かない。

 数的優位ができたTASAKIは、ペナルティボックス内に人数をかけて迫る。83分、左サイドから入ったグラウンダーを、大谷未央がスルー。その裏で阪口が完全にフリーになったが、狙いすぎて福元と城地のふたりにぶつけてしまう。こぼれ球は、カバーに戻ってきていた中田の足元へ。チャンスは潰えたかに見えた。

「ふたりが良く防いでくれた。あそこで私がしっかりとクリアできていれば、何でもなかった」と中田麻衣子は悔やむ。タフなゲームで疲労もあったかも知れない。クリアがやや小さくなった。セカンドボールを拾ったTASAKIは、先刻と同様に左サイドから二次攻撃を始めた。そして、再び、1枚余った阪口の元へボールが送られる。

 阪口は、左前方からのボールを右足のアウトサイドでコントロール。小指から踵にかけて滑らせながら、自分の右前方へ置いて、DFを外す。そして、今度はしっかりと岡山湯郷ゴールへ蹴り込んだ。「阪口が巧すぎた。その前に止めなければいけなかった」(本田監督)。1分前に決定機を逃していたティーンエージャーとは思えない、ゴール前の落ち着き。さすがに、フル代表合流後すぐに活躍した選手である。



 惜しい勝ち点3を逃した岡山湯郷にとっては、痛い引き分けだ。あそこまで走りきった選手たち、そして退場処分になった田中の心中を思えば、やはり勝ちきらなければいけなかったと思う。本田監督も「雨が向こうにとって裏目に出たのかな? でも、ここまで行ったら、やっぱり勝たなきゃいけなかったですね」。

 とは言え、試合後の選手たちの表情に暗さはなかった。「勝ちたかった悔しさもあるし、勝ち点をとれたという喜びもあります。今までTASAKIと公式戦で引き分けたことがなかったし『勝ち点はとれたし、そんなに悪い結果じゃない』と話していました」(中田)。

頂上を目指すリーグ戦は、もう中盤にさしかかっている。
 次節は強豪・日テレが相手。田中、加戸の両FWが出場停止だが、チームの雰囲気自体は変わらずに良い。ホームであっと言わせることができるか。



 上位2チームがそれぞれ勝利を収めたために、勝ち点を6差に広げられたTASAKIにとっても、もちろん、納得が行く結果ではない。

「(『良く追いついた?』)いや、もっと早く同点にして、勝ち越しを狙わなければいけません。引き分けて良いゲームじゃありませんし。あのピッチコンディションで、ちょこまか小さなプレーをしても何の意味もない。せっかく先週、上が引き分けてくれたのに…。これで相当苦しくなりました」

 仲井監督が言っていたように、ダイナミックな展開が失われていた前半のゲーム内容は低調そのもの。ゲームへの入り方が上手くいかなかったことが、この結果につながった。選手交代で、エンジンをかけ直し、最悪の事態は避けられたものの、仲井監督は終始、浮かない顔。

 次節は浦和、そして中1日でTEPCOと1stレグで勝てなかった2チームとのアウェー連戦。優勝するためには、どちらのゲームも勝ち点3が絶対条件である。


(TASAKIペルーレFC) (岡山湯郷Belle)
GK: 佐々木香織 GK: 福元美穂
DF: 甲斐潤子、磯崎浩美、下小鶴綾、佐野弘子 DF: 安田邦子、藤井奈々、城地泰子、佐藤シェンネン
MF: 白鳥綾(H.T/阪口夢穂)、中岡麻衣子、新甫まどか、山本絵美(61分/鈴木智子) MF: 田畑沙由理、北岡幸子、中田麻衣子、宮間あや
FW: 大石沙弥香、大谷未央 FW: 田中静佳(81分/退場)、加戸由佳
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