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 頑張れ!女子サッカー 06/10/13 (金) <前へ次へindexへ>
浦和対岡山湯郷の上位対決。

 浦和、岡山湯郷を振り切り、プレーオフに望みをつなぐ。
 

 取材・文/西森彰
mocなでしこリーグ ディビジョン1 第13節 浦和レッドダイヤモンズレディースvs.岡山湯郷Belle
2006年10月9日(月・祝)13:00キックオフ 駒場スタジアム 観衆:1,454人 天候:晴
試合結果/浦和レッドダイヤモンズレディース3−1岡山湯郷Belle(前2−1、後1−0)
得点経過/[浦和]窪田(0分)、北本(12分)、[岡山湯郷]北岡(35分)、[浦和]保坂(73分)


 浦和レッドダイヤモンズレディースは、首位の日テレ・ベレーザから離されること勝ち点6。残り5試合でこのゲーム差はかなり厳しい。逆転の可能性は10%もないだろう。しかし、諦めたらその数%も可能性すら消えうせる。「自分たちにできることは目の前の試合を勝つことだけだから」。田代久美子の言葉は、「お金を払ったファン」の前で全ホームゲームを戦う、浦和のイレブンに課せられた義務でもある。

 これに立ち向かうのは岡山湯郷Belle。トップリーグ2年目は、レギュラーシーズンの2試合を残して早々に4位以内を確保した。ここから順位が上がることはあっても、落ちることはない。文字通り、失う物のない立場。ここから先は、下との差を気にする必要はない。この日の対戦相手が前を行くランナーのひとりとあっては、アウェーだろうが勝利のみが条件になる。そこに落とし穴があった。



鋭い動き出しで勝利を導いた北本。
 ホームの浦和はキックオフから一気に寄せきった。右サイドで法師人美佳の縦パスを引き出した北本綾子が、飛び出したなでしこジャパンGK・福元美穂をかわし、中央へ折り返す。戻りながらのプレーとなった岡山湯郷DFのクリアボールを、FWで先発した窪田飛鳥が詰めて先制。試合開始から、1分も経たないゴールで、浦和は完全に波を掴んだ。

 その後もピッチを支配し続けた浦和は、12分にも追加点を奪う。先制点を演出した北本が、柳田美幸のパスを相手の最終ライン裏で受ける。後ろからのボールをコントロールするのに、やや時間がかかったため、一旦振り切られた岡山湯郷のDFが、再び北本の前を塞いだ。チャンスが潰えたかに見えた次の瞬間、北本は切り返しをかけて僅かなコースを生み出すと、カーブのかかった芸術的なシュートをファーサイドに放った。

 前週に行われた、のじぎく国体・準決勝で、岡山湯郷主体の岡山県女子代表からハットトリックを決めていた北本は、自信に溢れたプレーを続ける。加えて、岡山湯郷の選手たちは、季節はずれの強い逆光によって、視界を妨げられていた。ハイボールに競れる高さも備えた北本にボールを集中すれば、さらに得点を重ねることができたはずだ。

 ところが浦和のイレブンは自分たちでブレーキをかけてしまう。「早い段階で点が入って楽になった。ただその2点が入った後、なかなか良い流れを掴めなかった」と田代。ボールを丁寧にキープし、つなぎ、ポゼッションを高める。2点をリードしているチームとしては常識的な戦い方だったのかもしれない。しかし、このゲームに限って言えば、岡山湯郷がチーム全体で浮き足立っている時間帯に3点目を奪うほうが、簡単だった。



右サイドで活躍が目立った法師人(赤)。
 浦和が浪費してくれた15分間で、パニック状態を静めた岡山湯郷は、30分過ぎから反撃に転じた。そして35分、加戸由佳の負傷で先発が巡ってきた神成美紀が、浦和ゴール前でDFと競り合いながらボールを死守する。「完全に後ろをとられていたのでゴールへは振り向けないと思っていました。そこへ北岡さんが走り込むのが見えた」。神成が後ろへ落としたボールへ、3列目からフォローに走った北岡があわせた。浦和のリードは1点となった。

「前半の途中から『中盤で丁寧に形を作ろう』という意識が強くなりすぎていた」。ハーフタイムに浦和の永井良和監督は、岡山湯郷最終ラインの裏へ飛び出すように指示をして、選手たちを送り出した。強まる赤いプレッシャーによって、再び岡山湯郷の陣形が後ろに下げられる。ともに国体4連戦の後だが、プロ3人が参加していない浦和に対し、ほとんど単独チームで戦っていた岡山湯郷に疲労の色は濃い。前への推進力を失いながら、それでも追加点を与えない。

 動きの止まったゲームを決めたのは、やはり途中出場選手。押し込みながら試合を決めるあと1点が取れない浦和は、66分、それまで右サイドで活発に動いていた法師人を下げて、保坂のどかを送り出した。すると73分、左からのCKがファーサイドで待っていた保坂の足元に流れてくる。146センチの小柄な体を一杯に使いながら右足を振りぬくと、芯を食ったボールはゴール左隅へ真一文字に飛び込んだ。



3ゴールを挙げた浦和がホーム最終戦を飾った。
 試合後に「ゲームオーバー」と苦笑いしたのは、岡山湯郷の本田美登里監督。痛い敗戦によって更なる前進が、絶望的になった。「相手が日テレで普通の状況だったとしたら、彼女たちはもう少し意識を後ろに持ってきて、相手の攻勢に耐えられたかなとは思います。ただ、今日は浦和を相手に勝つつもりでゲームに入っていたから、最初に来られたところでやられてしまいました」。疲労の溜まった状況下でのゲームで、開始1分も経たないうちの失点はきつかった。

 国体明けということもあって、イレブンに疲労感、厭戦感が漂っているように感じた。固定メンバーでの戦いは、上手く行っている時には勢いづくが、コンディションを崩したり、連敗を重ねると、泥沼から抜け出せなくなる。それでも本田監督は、このメンバーで戦いを続ける様子だ。ターンオーバーをして、リズムを崩した昨夏のことも脳裏に残っているのかも知れない。この後は1試合を挟んで、8チーム中唯一失うものがない立場でプレーオフに臨む。「上位チームはウチとのゲームでは、白星が絶対条件。その3ゲームで、単なる噛ませ犬にはなりたくない」(本田監督)。

 浦和は勝ち点3を積んで、レギュラーリーグのホーム最終戦を終えた。「ウチも半分くらいの選手が、そして岡山湯郷はほとんど全員が国体で4連戦をして、その疲れが残っていました。後半は全く動けなくなってしまった」と永井監督が語っているように、勝った浦和サイドから見ても、満足がいく試合内容ではない。ただ、こういう凡戦で勝ち点3を詰めるかどうか。そして、試合を決定付けるポイントを奪えるかどうか。それが、チーム力だ。

 この日はコンディションを戻している最中、「練習でものすごいプレーを連発している」と辛抱強く起用している窪田が、先制点を挙げた。そしてリードしている立場でありながら、バランスを崩すリスクを背負った積極的な選手交代が、ものの見事に当たった。采配を振るった永井監督には、喜びが大きいゲームだったのではないか。

 残り4試合で勝ち点6+ゴールディファレンス。日テレとの間に横たわる大差は変わらない。緑のゼッケンをつけた先頭走者がすっ転ぶ以外に追いつく術はない。優勝の可能性はコンマ以下かも知れない。だが、追いかけるのを止めれば、その時点でゼロになる。


(浦和レッドダイヤモンズレディース) (岡山湯郷Belle)
GK: 山郷のぞみ GK: 福元美穂
DF: 木原梢、田代久美子、笠嶋由恵、岩倉三恵 DF: 安田邦子、藤井奈々、城地泰子、佐藤シェンネン
MF: 高橋彩子、法師人美佳(66分/保坂のどか)、柳田美幸、安藤梢(87分/松田典子) MF: 北岡幸子、田畑沙由理、中田麻衣子、宮間あや
FW: 北本綾子、窪田飛鳥(71分/若林エリ) FW: 田中静佳、神成美紀
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