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 頑張れ!女子サッカー 06/10/25 (水) <前へ次へindexへ>
高槻イレブン

 残留をかけた鍔迫り合い。高槻、TEPCOはドロースタート。
 

 取材・文/西森彰
mocなでしこリーグ・ディビジョン1プレーオフ1日目 スペランツァF.C.高槻vs.東京電力女子サッカー部マリーゼ
2006年10月22日(日)11:00キックオフ 上野運動公園競技場 観衆:220人 天候:曇
試合結果/スペランツァF.C.高槻0−0東京電力女子サッカー部マリーゼ(前0−0、後0−0)


 ついにディビジョン1残留をかけた3週間が始まった。今年、導入されたプレーオフ制度だが、施行がレギュラーシーズンの順位と連動するため、直前まで試合会場が決まらない。会場に足を運ぶファンへの告知が不十分な点、仮押さえを強いられる各クラブ、そして競技場にとってもデメリットが残る。代表のスケジュールが絡んだという理由はあるが、試合数を増やすなら、ディビジョン2同様、総当りの3回戦が望ましい。

 結局、下位リーグの開催初日は伊賀上野競技場でのダブルヘッダーとなった。その第1試合を戦うのは6位のスペランツァF.C.高槻と7位の東京電力女子サッカー部マリーゼ(以下TEPCO)。自動的に残留が決まる6位と、入れ替え戦を戦わなければならない7位。そのボーダーラインを分けているのは勝ち点1。逃げる高槻にとっては心許なく、そして追いかけるTEPCOにとっては大きく見える、そんな勝ち点1が両者の間に存在している。



 序盤を制したのはTEPCOだった。高槻の攻撃面でのキープレーヤー・相澤舞衣を、本間真喜子がマンマーク気味に封じ、高い位置から積極的なチェイシングで高槻のボールホルダーへプレッシャーをかけていく。高槻守備陣に脅威を与えたのは、佐藤春詠の高さだ。「高槻のDFに高さがあまり無いこと。そして戦い方の特徴を考えて」(木村孝洋監督・TEPCO)起用された佐藤は「どうしても勝たなくてはいけない試合だし、今ある全てを出そうと考え」前線でターゲットとなり、幾度もチャンスを作り出す。そして、高槻が佐藤の高さに気を取られると、丸山桂里奈が地上戦を仕掛けていく。

TEPCOイレブン
終了の笛でうなだれたのはTEPCOの選手たち。
 降格圏脱出、そして4ヶ月降りの勝利へ向けて、気合の篭った出足を見せるTEPCO。弾き返しても、また寄せてくるスカイブルーの波に、高槻の選手たちは翻弄された。「前半はデキがあまり良くなくって、ちょっと慌ててしまうところが多かった。ボールを失うシーンが多かった」と庭田亜樹子。庭田と名コンビを組む松田望も「相手に流れが来ていたので仕方なく」前方に出て行くのを諦め、辛抱強くバイタルエリアを消すしかなかった。

 是が非でも先制点の欲しいTEPCOは、シュートの雨を浴びせ掛けた。ひとつ入れば、後は堰を切ったようなゴールラッシュが見られたかも知れない。だが、その最初のひとつが生まれなかった。それが焦りを呼び、遠目からの強引なシュートが増えていく。スタンドで見ている我々も眼が回りそうなほどのサイクルで、ポンポンと、しかし入りそうにはないシュートが、高槻のゴール近辺に飛ぶ。

 高槻の細田真砂智監督は「前半、決定機で相手が焦ってくれた。もう少し丁寧に崩されていたら、たぶんやられていたと思います」と振り返る。シュートに対する反応に素晴らしいものを持っている高槻のGK・海堀あゆみも、幾度かあったピンチをきっちりと止めた。前半のシュート数はTEPCO12本、高槻3本。これで1点も取れなかったのだから、TEPCOの選手もスタッフも、重い雰囲気でハーフタイムを迎えたことだろう。



 後半はややペースダウンしたTEPCOに対し、松田をトップ下に上げたダイヤモンドで高槻が反撃に出た。「前半、ダブルで並んでいたのは、あくまでゲームの流れから。後半は何本かチャンスはできたんですが、そこを決め切れなかったのが…。まあ、相手もそれ以上に外してくれたんですけれども」と松田。高槻もまた、試合を決することができなかった。

 それぞれ選手交代を行って、それでもスコアが動かず、0対0のまま、試合は残り5分を切った。今シーズン4割強のゲームで完封を喫しているTEPCOのファンが「今日も、入らないかも知れない」と嫌なムードに陥り始める頃、メインスタンドの反対側では、今シーズン無失点で終えたことのない高槻のファンが「今日もやられるかも知れない」と怯え始めていた。

 土壇場で立て続けにTEPCOの途中出場選手にチャンスが訪れる。86分、左から入ったクロスのこぼれ球がフリーの森田牧子の足元へ流れる。だが、ファーサイドを狙った強烈なシュートは、僅かに枠の外へ逸れてしまう。そしてロスタイム突入寸前、高槻出身でもある上辻佑実が放った強烈なミドルシュートは、海堀の掌で弾き出された。

 スコアレスドロー。両者勝ち点1ずつを積む結果となった。



 試合終了を告げる深野悦子主審の笛に、膝をつく選手が出たのはTEPCOのほう。試合終了後の挨拶が終わった後も、顔を上げられない選手の姿が目立った。その選手たちに遠くアウェーの舞台へ駆けつけたファンから「顔を上げろ!」「次だ、次」と声援が届けられる。

「非常に残念です。前半、そして試合全体を通してみても、内容的には勝っていた。ウチのほうにチャンスが多かったかな、と思います。チャンスがありながら勝ち点3を取れなかったのが残念です」。試合終了後、いつものように大勢の記者を前にして、木村監督も悔しそうに語った。

「選手たちは強い気持ちを持って戦ってくれて、何度か良い攻撃も見られた」(木村監督)ように、決して悲観的な内容ではないのだが、不振に喘ぐチームには白星が最大の良薬。しかもレギュラーシーズンで唯一勝っている高槻が相手だったから、なおさらだ。この後は相性の悪い伊賀FCくノ一、そしてINACレオネッサが相手。木村監督は「残り2試合勝てば残れる。可能性ある限り最後まで頑張りたいと思います」と、自らを鼓舞した。



「顔を上げろ!」。スタンドから選手たちに声が飛んだ。
 高槻にしてみれば、後ろから来るチームに抜かれなければ良いわけで、ドローは決して受け入れられない結果ではない。松田も「このゲームは勝っておきたかった。直接対決で下位チームを叩いておけば楽になるので、勝ちたかったです。でもこの試合内容なら、負けなかっただけマシかな、とも思います。入れ替え戦はしたくないので、せめて6位はキープしたい」と振り返る。

 庭田も「勝ちたかったけれども、あれだけ攻められて、それを凌いでゼロで抑えられたのは悪くなかったと思います」。勝ち点1の意味は「これがどっちに転ぶか、これからの自分たち次第ですね。『勝ち点1を取っておいて良かった』になるのか、『勝ち点1では足りなかった』なのか」(庭田)。高槻の運命を決める2試合はINAC、伊賀という対戦順になっている。

 今節終了後も6位をキープ。胸突き八丁の戦いを続けている高槻の武器は何だろうか。

「強い気持ちですね。環境の差を跳ね返そうという強い気持ち。それだけは、ウチの選手たちが一番強いと思いますよ」(松田)





(スペランツァF.C.高槻) (東京電力女子サッカー部マリーゼ)
GK: 海堀あゆみ GK: 増田亜矢子
DF: 高見恵子、奥田亜希子、中鍋美里、小野村亜矢 DF: 宮崎有香、大部由美、宇野涼子、中村真実
MF: 久山暖香、庭田亜樹子、松田望、相澤舞衣 MF: 本間真喜子(82分/上辻佑実)、五十嵐章恵、河田優、鮫島彩
FW: 伊丹絵美、金房夏希(58分/藤川絵利子) FW: 丸山桂里奈、佐藤春詠(82分/森田牧子)
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