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 頑張れ!女子サッカー 06/11/05 (日) <前へ次へindexへ>

 激闘!アンクラスvs.新潟。両者譲らずドロー決着
 

 取材・文/中倉一志
mocなでしこリーグ ディビジョン2 第20節 福岡J・アンクラスvs.アルビレックス新潟レディース
2006年10月29日(日)12:00キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:508人 天候:晴
試合結果/福岡J・アンクラス2−2アルビレックス新潟レディース(前1−0、後1−2)
得点経過/[福岡]川村(32分)、[新潟]中島(51分)、田辺(62分)、[福岡]光成(76分)


 mocなでしこリーグも残すところ2試合。ディビジョン1昇格をかけた戦いも、いよいよ佳境を迎えている。首位に立つのは勝ち点47のアルビレックス新潟レディース。それを勝ち点2差で大原学園が追い、福岡J・アンクラスが首位から7差で3位につける。そして博多の森球技場では既で2位以内を確定している新潟と、昇格に向けて残された可能性にかける福岡J・アンクラスがあいまみえる。ともに今シーズンの行方を決める大勝負。スタンドからは両チームのサポーターが大きな声援を送る。

 他会場で行われている大原学園が引き分け以下なら、勝てば優勝とともに自動昇格が決まるのは新潟。勝利を挙げた上で大原学園が敗れれば、入れ替え戦の権利を得る2位以内の可能性が残るアンクラス。リーグ戦はひとつ、ひとつの試合の積み重ねとは分かっていても、目の前の試合にいつも以上の力が入る。肩に圧し掛かるいつも以上のプレッシャーと、勝利を求めるいつも以上の強い欲求。それらのバランスを上手く保ちながら試合への集中を高めていく。そして12:00、博多の森にキックオフの笛の音が鳴り響いた。



 新潟の布陣は3−4−1−2。豊富な運動量で中島未来が前線をかき回し、現在得点王争いの3位につける上尾野辺めくみがチャンスを狙う。この2人に、トップ下に位置する牧野愛美と、中盤から飛び出してくる野村千恵子を加えたコンビネーションでゴールを奪うのが新潟の最大の持ち味。立ち上がりから、盛んにポジションチェンジを繰り返してアンクラスゴールを目指す。その動きからは昇格がかかるプレッシャーは感じられない。

 対するアンクラスの持ち味は、少ないタッチのパスをつないでサイドから組み立てる攻撃サッカー。前節から採用する3−4−3のシステムで新潟を迎え撃つ。選手兼任監督として奮闘する河島美絵と左サイドの松窪裕子のホットラインを起点にしてチャンスを作り、前線では得点王争いのダントツの首位をいく川村真里と同じく2位につける光成芳恵が嗅覚鋭くゴールを狙う。「最後まであきらめない」を合言葉に、残されたわずかな可能性を信じてボールをつなぐ。

 試合はともに攻撃の姿勢を強く打ち出した好ゲーム。新潟が前に出たかと思えばアンクラスが押し返し、アンクラスがゴールに迫れば新潟も鋭く切り替えす。一時たりとも目が離せない展開が続く。そして先制ゴールを奪ったのはアンクラス。32分、河島から左サイドの松窪へ。そしてラストパスが川村に渡る。狙い通りの形でつないだボールを川村が思い切り良くゴールネットへ突き刺した。しかし新潟に同様はない。試合の行方はまだまだ分からない。



 新潟の同点ゴールは51分。右サイドをドリブル突破した牧野のクロスボールがファーサイドへ。そして上尾野辺が折り返したボールに中島が合わせた。こちらも攻撃の中心である選手がつないで決めた狙い通りのゴールだった。ここからは一気に新潟がリズムを掴む。運動量が落ちたアンクラスは中盤の守備が機能せず、一気に最終ラインへボールを持ち込まれ苦しい展開が続く。そして62分、後半から出場した田辺友恵がドリブルで持ち込んでゴールネットを揺らした。

 新潟が一気呵成に奪った2ゴール。このまま新潟が押し切ってもおかしくない展開だった。しかし、アンクラスもこのままでは終われない。63分には尾崎まどかに代えて堤晴菜を、69分には野村由美子に代えて正手亜希子を投入。中盤を立て直して反撃の機会を狙う。そしてジワジワと押し戻して主導権を奪い返すと、CKからの混戦から堤晴菜がゴール前に送ったボールを光成が頭で押し込んだ。試合は再び振り出しに戻った。

 九州特有の強い日差しが降り注ぐピッチの上でのプレーは、選手たちにとっては厳しいものであったはず。しかし、勝利を目指す強い欲求は厳しい条件をものともせずに跳ね返していく。ともに一歩も引かない展開はここでも変わらず。最後までゴールを目指して責め合う展開が続く。どちらにもチャンスがあり、どちらもゴールを許さない。そんな激しい戦いに両サポーターの声援もヒートアップしていく。やがて90分が経過。ロスタイムを経て主審が両手を挙げたところでタイムアップ。ともに譲らないまま試合終了のホイッスルを聞いた。



 これで今シーズンの両チームの対戦成績は1勝1分1敗。激しく鎬を削りあってきたライバル同士にふさわしい激戦だった。しかし、アンクラスに笑顔はない。この時点でディビジョン1昇格へのチャレンジが終わりを告げたからだ。だが、「1年でディビジョン1昇格」という目標は果たせなかったものの、今シーズンで得たものもまた大きかったはず。実際、若さと勢いのチームは試合を重ねるごとに経験という貴重な武器を手に入れ、確実にひと回り大きくなった。この悔しさを胸にまた新たなチャレンジをしてくれるだろう。

 一方の新潟は一様に安堵の表情を見せた。大原学園が勝利したため勝ち点では並ぶことになったが、互いの間にある得失点差は16。最終節に勝利すれば優勝が決まる可能性が見えてきたからだ。しかし、チームを率いる鳴尾直軌監督(新潟)の顔には笑顔はない。サッカーは何が起こるかわからないスポーツ。優勝が現実のものとなるまでは少しの気も緩めることは出来ないからだ。「いつもと同じに戦うだけです」(鳴尾監督)。3年越しの夢を実現させるため、新潟はいつもと変わらぬ姿勢で最終節を待つ。その先に歓喜が訪れることを信じて。




(福岡J・アンクラス) (アルビレックス新潟レディース)
GK: 田上未希 GK: 轟奈都子
DF: 藤陽子 鈴木智賀 内堀律子 DF: 深田美央(HT/田辺友恵) 片桐ひろみ 川村優理
MF: 野村由美子(69分/正手亜希子) 尾崎まどか(63分/堤春菜) 河島美絵 松窪裕子 MF: 吉本宏美 江橋桂 大堀幸恵(76分/熊谷さやか) 野村千枝子
FW: 深澤理沙 川村真理 光成芳恵 FW: 中島未来 牧野愛美 上尾野辺めぐみ
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