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 頑張れ!女子サッカー 07/01/24 (水) <前へ次へindexへ>
第10代女王の座を目指す両チーム。

 久々の戴冠。常盤木学園、第10回全日本女子ユースを制す。
 

 取材・文/西森彰
第10回全日本女子ユースサッカー選手権決勝 神村学園高校vs.常盤木学園高校
2007年1月8日(祝・月)11:00キックオフ 桃太郎スタジアム 観衆:200人 天候:晴
試合結果/神村学園高校1−3常盤木学園高校(前0−1、後1−2)
得点経過/[常盤木学園]田中(15分)、與山(56分)、後藤(82分)、[神村学園]堂園(83分)


 神村学園高等部女子サッカー部と常盤木学園高校の組み合わせは、年度的には前年にあたる、2005年度の全国高校女子サッカー選手権決勝の再戦である。その時は35分ハーフ70分の短期決戦の中で3点のリードを許した神村学園が猛反撃で追いつき、PK戦の末、常盤木学園を降している。

 神村学園は、準決勝レポートでも書いたとおり、今夏の選手権まで長期的にチームを作るための1、2年生だけのメンバー構成で、連続決勝進出を果たした。準決勝後、池畑辰徳監督に対戦相手の希望を聞いたところ「たぶん、チーム力は常盤木学園のほうがちょっと上でしょうけれども、ウチとしては夏に連覇を止められた藤枝順心に借りを返したいという気持ちが強いですね」。

 一方、常盤木学園・阿部由晴監督も「神村学園は藤枝順心に負けた夏のチームは良かった。だから1、2年しか連れてきてないって聞いてガックリしたもん。それなら、日テレ・メニーナと、技と技の対決を見てもらったほうが良かったよ」と不満顔。この年代のノックアウト形式の大会が予想通りの結果になることはむしろ稀。男子の高校サッカー選手権でも「え、あそこが?」という驚きは数多くあるのだから、こういう巡り合わせは日常茶飯事とも言える。



常盤木学園イレブン
神村学園イレブン
 試合は前半から、メインスタンドから見て右に位置した常盤木学園が、主導権を握る。中央のトライアングルを前日の正三角形から、体調が戻った與山このみと後藤三知の2トップ、トップ下の熊谷紗希という逆三角形にチェンジ。右からは「初速では負けるけれども、全体スピードでは卒業した鮫島彩(現・東京電力女子サッカー部マリーゼ)よりも上」という森本華江が、左からは堀良江が襲う。

 押し気味にゲームを進める常盤木学園は15分、やや距離のあるところから蹴った櫻本尚子のFKに、キャプテンの田中明日菜が頭をあわせる。きれいな先制点で堅さが取れた常盤木学園は、その後も神村学園にほとんど反撃をさせることなく、前半の45分間を終えた。だが、その一方的な内容とは釣り合いが取れない1対0のスコアだけ。まだセーフティーリードと呼べる物ではない。

 これに対し、神村学園は、前日の後半に敷いた守備重視の4-4-2で常盤木学園のラッシュを耐えて、相手のスタミナが切れる後半勝負を企図していた。体力には絶対の自信を持つ赤い軍団は、ハーフタイムを境にしてようやく反撃を開始する。早速、50分には、山根ひかりを投入し、システムを4-2-3-1にチェンジ。常盤木学園両ウイングの裏を逆にとって、引っ張り合いに持ち込んだ。

 この日はトップで先発した大屋夏希が2列目に下がって左サイドからチャンスメークすれば、最終ラインの成合瞳が距離のあるところからでもハイボールをゴール前に送り込んで、相手の最終ラインに緊張を強いる。完全に流れは神村学園に来ているように見えた。しかし、この重要な時間帯を、常盤木学園はGKの松山愛を中心として守り抜いた。



 そして56分、押していた神村学園がエアポケットに入ったその一瞬を突く。田中の出したスルーパスに反応した與山がライン裏に抜ける。そして、きっちりとゴールをゲット。前日は腹痛で控えメンバーにも入らなかったエースが、それまでの嫌なムードを一散させる貴重な追加点を奪った。

 心身ともに深手を負わされた神村学園は、それでも下を向くことなく2点を追いかけたが、常盤木学園はその攻撃をきっちりと受け止める。そして82分、後藤の右足が日本一を決定付ける3点目をもたらす。直後に堂園彩乃が一矢を報いた神村学園だったが、「2005年夏の奇蹟」を再現するために残された時間は、あまりにも少なすぎた。千葉恵美主審が告げたタイムアップの笛が、常盤木学園に久しぶりの優勝を告げた。

 試合後の挨拶を終えると常盤木学園の選手たちは、久々のタイトルを喜びながらはしゃぐ緑の塊となった。前日の準決勝後「かならず日本一になりたいです」と固く誓っていた後藤のこぼれるような笑顔が見える。そして表彰式で金メダルを手にした彼女たちは、一転して規律を取り戻し、後藤が作ったという歌を常盤木学園の選手一同が応援席に向けて披露した。冬の空に澄み切った歌声が響いていった。



追加点を奪った與山は、右手でガッツポーズ。
無冠の女王にようやくタイトルが与えられた。
「日テレだって本来は物凄く強いチームで、素質や将来性を持った子がいる。藤枝順心だって素晴らしいチーム。神村学園も1、2年生だけでこれだけのサッカーができている。それを考えれば、まだまだ日本も層が厚いと思うし、これから次々とこのレベルまで来るチームが増えると思う」

 U-20女子世界選手権ロシア2006を見に行っていた阿部監督は、そのように日本女子ユース年代の全体的レベル向上を認めた。その上で、ユース年代の指導者として、この世代のドメスティック・トーナメントに勝つ方法を探すことよりも、世界で勝つためのサッカーをしっかり身につけるべきではないかと語った。

「世界で戦うために、この世代ではどういうことをしなきゃいけないのか。それを追求していくことが日本のサッカーのレベルを上げていくと思います。90分間の中でしっかりと戦って、結果よりもサッカーの質をそれぞれが追求していけば、なお良いものが生まれるんじゃないでしょうか」

 世界チャンピオンとなったユース年代が加わり、北朝鮮のフル代表は一段上のステージへ登った感がある。若い才能が生まれ続ける日本も、そうしたメタモルフォーゼができるだろうか。


(神村学園)
GK: 坂下佳奈
DF: 福野理香、宮迫たまみ、成合瞳、上江洲由夏
MF: 下川沙織(76分/竹口綾加)、大本倫、堂園彩乃、高良亮子
FW: 稲員愛(50分/山根ひかり)、大屋夏希

(常盤木学園)
GK: 松山愛
DF: 櫻本尚子、藤田裕美子、瀧澤優子
MF: 田子亜貴、田中明日菜、森本華江(80分/小原由梨愛)、熊谷紗希、堀良江
FW: 與山このみ、後藤三知





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