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| 頑張れ!女子サッカー 07/05/25 (土) | <前へ|次へ|indexへ> |
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標高2,600mの戦い 〜その6 2007FIFA女子W杯・中国大会 プレーオフ第2戦 メキシコ女子代表vs.日本女子代表 取材・文/西森彰 |
「外から見ていて、遠目からでもシュートが打てそうだったし、中盤もそんなにプレッシャーがきつそうではなかった。相手ボールだと苦しい時間が続いてしまうから、できるだけマイボールでつなげたいと思いました。システムを変えて、中盤がダブルボランチになって、それが当たった部分はあったと思います」(宮本ともみ)
ほとんどの選手がゲームのポイントとして挙げた、宮本ともみの投入、4−4−2へのシステムチェンジ。完全に落ち着いた日本は、メキシコに全てのカードを切らせておいてから反撃に出た。76分、酒井與惠、宮間あやとつないだボールを、澤穂希がゴールする。だが、直前のプレーで澤が、メキシコのマーカーを押して剥がしたというジャッジで、ノーゴールの判定。それでも、日本ペースは動かない。
78分、宮間のFKを挟み、83分にも、宮本ともみがミドルシュートを放つ。バーの上に消えたものの、試合の流れをしっかりとキープして離さない、良いプレーだと思ったが、本人的には「(『一本いいミドルがありましたけれども?』)いや、あれは良くないミドルですね(笑)。やっぱり、最低限、枠に飛ばさなくちゃいけませんね」。
そして、戦況に急かされるかのようにウォーミングアップのペースを上げようとして、ベンチスタッフから「まだ、ゆっくりでいい!」と抑えられていた大谷未央が、88分、満を持してピッチに入る。丸山桂里奈に代わって第2戦のベンチに入っていたFWは、チェイシングを含めた運動範囲は最も期待できる。更に、4年前、アステカスタジアムで戦った経験もあった。1トップで逃げ切りを図るケースでは、最強のカードである。
大谷はすぐさま、ボールの預け先を探すメキシコの最終ラインに襲い掛かった。エネルギーが溢れかえっている途中出場のFWが、疲労困憊のDFたちを追い回す。そしてこぼれたボールは柳田美幸がコーナー付近の金庫に持ち込み、カッチリと施錠する。日本チームの誰もが「本当は勝って終わりたかった」と口にした。そして同時に、そう言いつつも全員が、事の優先順位を間違えてはいなかった。
コーナーフラッグ付近で徹底的にボールキープを繰り返す日本の選手たちに、スタンドからは諦めを含んだ、力ないブーイングが起こった。日本の選手たちは、それを心地よさそうに耳にしながら、3分間のロスタイムもきっちりと使い切った。
ゆっくりと、本当にゆっくりと、日本の選手たちが歓喜の輪を作っていく。
試合中から、ゆっくりと高いボールを蹴り続けた福元美穂は、今シリーズのMVP的活躍をしたひとりだ。なぜ、代表のゴールマウスに立っている理由を、この2試合で見せつけた彼女は、プレーオフに臨む前にこう語っていた。
「GKはセービングの技術や身体能力だけではないポジションじゃないですか? まだまだ山郷さんを追い越せたとは思っていませんし、追いつけたとも思っていません」
試合終了の笛に一息ついた福元のところへ真っ先に駆け寄り、そのまま若いライバルを抱擁したのは、その山郷のぞみだった。そして出場選手たちと握手を交わし、ベンチの選手たち、そして登録外の選手たちを迎え入れる。彼女もまた、代表正GKが「人間性を含めて尊敬している」という、その一端を垣間見せた。
岩清水梓がスタンドから投げ入れられた日の丸を背中に広げ、宮本は「早く帰りたいですね」とわが子に思いを馳せる母親の顔に戻った。「できれば勝って終わりたかったな」と呟いた上田栄治女子委員長は、自分をあくまで影の存在として、記念撮影からは身を退けた。日本チームのお祭り騒ぎを横目で見ながら、メキシコの選手たちはがっくりとピッチに座り込んでいる。勝負は残酷だ。
その向こう側から、ピッチを後にしようとしている審判団を追いかけた。ほとんど完璧に試合をコントロールした彼女たちにどうしても声をかけたかった。「パーフェクト!」。小走りしただけで息が上がってようやく言ったひとことに、審判団はニッコリと親指を立てた。彼女たちにとっても会心の試合コントロールだったのだろう。
トルーカからメキシコシティへ帰るバスで、席がお隣になったグアダラハラ在住の三浦さんは、翌日、エスタディオ・アステカで行われたクラシコ(アメリカVSチーバス)を見て帰るという。バスの中では高地のサッカーの厳しさを実体験に基づいた説明を伺った。
歓喜の輪はゆっくりとできた。
「高地でサッカーをやるっていうのは、本当に凄いことなんですよ。私も草サッカーをやっているんですが、キックオフから数分で頭がボーっとしてきたり、手や足の先が痺れてきたり。日本でプレーしている時とはぜんぜん違うんです。(『それは低酸素状態だからでしょうか?』)私は医者じゃないから分かりませんが、たぶんそうなんでしょうね。本当に、いろいろ考えられないことが起こるんです」
そしてこう付け加えた。
「この間、U-17代表の試合に行った時にも感じたんですけれども、やっぱり代表のユニフォームを着ている選手っていうのは違いますね。あの年代でも弱音を吐かずに、試合をやってしまう。今日の試合も、女性が男性と同じピッチで90分間プレーしているわけでしょ。考えられないです。やっぱり、どのカテゴリーでもてっぺんまで行くような人たちは違うんですね。また日本代表が来たら応援に行きますよ」
「『嬉しかったけれど、苦しかった。苦しかったけれど、終わった!』という感じ。普段泣かないような選手が号泣していたので、私もそれにつられてホロリときました。自分もケガをしてしばらくサッカーができなかったから、サッカーをやりたいという気持ちが強かった。楽しくサッカーができて、しかも結果を残せて嬉しいです。今日はあまり飲めないジュースを飲んで、お菓子を食べてみんなと盛り上がりたいです」(澤穂希)
2007年3月17日、日本は5大会連続となる女子ワールドカップ出場権を手にした。
2007FIFA女子ワールドカップ・中国大会 プレーオフ第2戦 日本女子代表vs.メキシコ女子代表
2007年3月17日(土)12:00キックオフ エスタディオ・ネメシオ・ディエス 観衆:14,575人 天候:晴
試合結果/メキシコ女子代表2−1日本女子代表(前2−1、後0−0)
得点経過/[日本]荒川(13分)、[メキシコ]レイバ(18分)、ドミンゲス(29分)
(メキシコ女子代表)
GK: ソフィア・ペレス
DF: エリザベス・パトリシア・ゴメス、ルビ・マルレネ・サンドバル、マリア・デ・ヘスス・カスティージョ、ルス・デル・ロザリオ・サウセド
MF: モニカ・クリスティーヌ・ゴンサレス、ファティマ・レイバ、モニカ・ベルガラ(61分/チャーリン・コラール)、モニカ・オカンポ
FW: エブリン・ロペス(74分/パトリシア・ペレス)、マリベル・ドミンゲス(63分/グアダルペ・ウォルビス)
(日本女子代表)
GK: 福元美穂
DF: 近賀ゆかり、磯ア浩美、岩清水梓、宇津木瑠美(51分/矢野喬子)
MF: 酒井與惠、宮間あや、柳田美幸、澤穂希
FW: 大野忍(H.T/宮本ともみ)、荒川恵理子(88分/大谷未央)
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