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 頑張れ!女子サッカー 07/06/25 (月) <前へ次へindexへ>
自主的にバスツアーで参戦した日テレのサポーター。

 TASAKI独走。日テレも撃破し、開幕6連勝。
 

 取材・文/西森彰
mocなでしこリーグ2007 ディビジョン1 第6節 日テレ・ベレーザvs.TASAKIペルーレFC
2007年6月17日(日)13:00キックオフ ひたちなか市総合運動公園 観衆:351人 天候:晴
試合結果/日テレ・ベレーザ2−3TASAKIペルーレFC(前1ー1、後1ー2)
試合経過/[TASAKI]佐野(7分)、[日テレ]永里(17分)、[TASAKI]大谷(54分)、[日テレ]荒川(55分)、[TASAKI]阪口(63分)


 五輪予選の大きな山である対韓国2連戦を1勝1分けで乗り切り、なでしこジャパンの選手から戻ると、すぐ1週間後に所属チームでの試合が待っている。外野の視点からは、代表にレギュラーの半数以上を召集されている日テレ・ベレーザのようなチームは、他のチームに比べてハンデが大きいように思える。代表組は心身ともに疲労するだろうし、チームとしての全体練習の期間がとれないからだ。

 だが、松田岳夫監督に言わせると、代表から帰ってすぐのゲームというのは、ネガティブな要素だけで埋め尽くされているわけではないらしい。

「代表に行って、日の丸を意識してやってくる。もちろんコンディション的には落ちているけれども、気持ちの部分では継続しやすい部分もある。(戻ってすぐのゲームなら)高い意識を持ったまま、勢いで突っ走れば良いわけですから。これまでの例では、逆に2、3週間空いてからのほうがプレーに疲労感が出てきて、気持ちが続かなくなる場合が多かった」

 対戦相手のTASAKIペルーレFCも主力選手が召集されており、そんな言い訳はいらないということなのだろう。



TASAKIのサポーターはビッグユニを広げて対抗する。
 2位の日テレが、首位・TASAKIの独走にストップをかけられるかが注目されるこのゲーム。両チームの対戦では、先制点の意味合いが他のゲーム以上に大きなものとなる。日テレが先制点を奪えば嵩にかかって攻め切るし、TASAKIが奪えばその1点を金庫にしまってカギをかける。どちらにせよ1点を奪った側が、その立場を生かしたゲームコントロールをする。それが、ひとつのパターンになっていた。

 ところがこの日は火の出るような打ち合いになった。「3週間、この試合に向けて準備する中で『清原ではなく大石を使う』という選択肢が出てきました。もちろん、攻撃面でも持ち味を出すのが狙い」とTASAKIの仲井昇監督。ボックスタイプの4−4−2で左の攻撃的なハーフに起用されたのは、本来FWである大石沙弥香。2列目からでもゴールを狙える強烈なシュート力と、ライン裏へ2列目から飛び出せる大石の起用が、日テレの選手たちをやや戸惑わせたかもしれない。

「まず、選手たちに起こっていた現象といえば、体のキレの無さでしょう。ただし、最後の1点が欲しいという所で体を張れなかったり、後ろを気にして球際で前に行けなかったり・・・。メンタルの弱さが球際の弱さに影響したように思います」と松田監督。確かにこの日の日テレは、やや大事に行こうとして積極性が欠けた感のある序盤だった。

 一方、ここまで5連勝で来ているTASAKIは、選手たちが自信を持って前を向く。7分には、左からショートコーナーのボールを受けた佐野弘子が蹴ったシュートを、日テレの選手がコースを見切ったのか、GKに任せたのか、ひょいとよける。ブラインドから飛び出たボールは、小野寺志保の両手をあざ笑うかのように、ファーサイドの絶妙なコースへ転がり込んだ。

「1点をとって『さあ、どうしようか』というところ。そのまま守りきれれば一番良いし、打ち合いに持ち込むつもりなんて全くありませんでした」

 仲井監督は、ここから始まったシーソーゲームに苦笑いを見せた。



最後はファーの阪口が、角度のない位置から決める。
 失点を喫したものの、残された時間は十分にある。日テレもこのままでは引き下がらなかった。そして17分、右サイドから流れてきたボールをTASAKIのDFが見送ろうとするところへ、その背後から飛び込んだ永里優季がプッシュ。浅い時間帯でタイスコアとする。さらに右CKからフリーの豊田奈夕葉が頭で狙うが、これはTASAKIのDFがゴールライン上でクリアする。

 完全に主導権を手にした日テレは、荒川恵理子が中央でポスト役をこなしてDFの意識を引き付け、手薄になったサイドから攻略する。特に26分、荒川と澤穂希で崩して永里のシュートチャンスを生み出したシーン、そして27分に右サイドを攻め上がった近賀ゆかりがポスト直撃のシュートを放ったシーンは決定的だった。「あのあたりは、大石の裏にあるスペースを使われていた部分もある」と仲井監督。

 流れのままに日テレの攻撃陣は、TASAKIをノックアウト寸前まで追い込んだ。しかし、喉から手が出るほど欲しい勝ち越し点にはつながらない。結果が出てから振り返れば、この試合で勝利を手にする最も大きなチャンスはここだった。しかし、TASAKIはここを踏ん張りとおし、ハーフタイムを迎える。

「試合の中には流れがありますから、その流れを掴めなかったのは確かにデカイと思います。ただ、自分たちで流れを呼び込めない。点を良い形で取れて流れを掴みかけるんだけれども、それが長続きしない。それはメンタル的な弱さというのも感じます。暑さも影響していたと思うし、その他にも様々な要素があったと思います。ただ、選手に戦う意識が欠けている。そこに尽きると思います」(松田監督)

 後半も54分にTASAKIが大谷未央のゴールで突き放せば、その1分後に荒川が右サイドを突破し、すぐに追いつく。強い風、球足の速いピッチコンディション、そしてギラギラと照りつける太陽…。両軍の選手たちは、いくつものアゲインストに立ち向かい、勝利を目指す。「大谷なんかも最後のほうでは足を攣っていた。どっちの選手たちも相当しんどかったはずです。特に代表選手たちは疲れていたはずですし」(仲井監督)

 そして、勝敗を決する3点目は、TASAKIに入った。右CKの場面で、1点目と同じようにショートコーナーを使ったTASAKIは、2ライン戻して日テレの守備陣を幻惑し、そこからロングボールを入れる。敵味方が競り合ってこぼれたボールを、阪口夢穂が左の角度がほとんどない位置から流し込む。その後も相手のシュートがバーに防がれるなど、幸運も味方したTASAKIがそのまま逃げ切り、連勝を伸ばした。



「首位に通じる道」のはずだった。
 バーとポストに3回弾き返されたシーンも含め、単純な決定機のカウント数では、日テレが上回っていた。しかし、それをモノにした回数は逆になった。両チームの監督は、勝因・敗因をそれぞれ気持ちの部分に求めた。

「(『失点はどちらももったいない形でした』)そうですね。1点目もそうでしたけれども、2点目はとった直後にすぐ取られたので。もう少し、ボールとゴールの間でシュートコースをきっちり抑えなければいけませんでした。ただ、2点を取ったところで『まだ行こう』と気持ちが前がかりになった部分があったかも知れません。そこをやられたような感じですが、逆にその気持ちがあったから3点目を取れたような気がします」(仲井監督)

「今回は気持ちの面を上手くコントロールできなかった。妙に連携を深めなければという意識に支配されていたような気がします。(DFは代表でも)チームと同じポジションでやっている。その中で深めた連携を出せば良いだけです。攻撃に関しても型に嵌めているわけではありませんし、単純にゴールを目指すことを要求していた。素の部分が出れば問題なくクリアできたはずだし、ネガティブな発想が全てを台無しにしたという感じです。」(松田監督)

 敗れた日テレは、信じがたいもたつきを見せている。アルビレックス新潟レディースと引き分け、INACレオネッサに敗れて3勝2敗1分け。第6節で早くも自力優勝が消滅し、4位にまで後退してしまった。第2クール以降、逆襲に向けての足がかりとする上でも、次節の浦和レッドダイヤモンズレディースとの一戦は落とせない。

 一方、TASAKIはこれ以上ない、開幕からの6連勝。「正直なところ序盤は『勝って、負けて、勝って』と考えていました。まだまだ先は長いですよ」という仲井監督だが、1点を争う厳しいゲームの中でも若手を投入する指揮官の姿勢も、チームに勢いをもたらしているはず。2回目のリーグ優勝へ向けて連勝街道はまだまだ続きそうだ。


(日テレ・ベレーザ) (TASAKIペルーレFC)
GK: 小野寺志保 GK: 佐々木香織
DF: 近賀ゆかり、岩清水梓、豊田奈夕葉、中地舞(70分/宇津木瑠美) DF: 甲斐潤子、磯ア浩美、下小鶴綾、佐野弘子
MF: 酒井與惠、伊藤香菜子、澤穂希 MF: 白鳥綾、山本絵美、阪口夢穂、大石沙弥香(59分/清原万里江)
FW: 荒川恵理子、永里優季、大野忍 FW: 大谷未央(76分/坂井優紀)、鈴木智子(86分/田中明日菜)
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