| |top|news|column|history|special|f-cafe|about 2002w|BBS|mail to|link| |
| 頑張れ!女子サッカー 07/09/10 (月) | <前へ|次へ|indexへ> |
![]() |
最終スクーリングを勝利で飾り、なでしこは上海へ飛んだ。 取材・文/西森彰 |
キリンチャレンジカップ2007〜FIFA女子ワールドカップ中国2007に向けての壮行試合〜 日本女子代表vs.ブラジル女子代表
2007年9月2日(日)16:00キックオフ フクダ電子アリーナ 観衆:4,138人 天候:曇
試合結果/日本女子代表2−1ブラジル女子代表(前0−1、後2−0)
得点経過/[ブラジル]クリスチアーネ(35分)、[日本]岩清水(59分)、オウンゴール(65分)
フクダ電子アリーナに集まった観客は4,138人。女子サッカーの親善試合としてはかなりの人数である。3日前の国立霞ヶ丘陸上競技場におよそ3倍する観客は、平日と日曜日の差も影響していたかもしれない。
対戦相手は「スカートを履いたペレ」というキャッチーな謳い文句で形容されたマルタ・リベイラ・ダ・シルバなど、アテネ五輪銀メダリストがワールドカップメンバーのブラジルである。仮想アルゼンチンとしつつも、実際は日本よりも「格上の相手」(大橋浩司監督)。しかも日本は中2日と試合間隔が詰まっている。
大橋ジャパンで最も注目を集めているポジションは、このSBである。主として右側に生粋のDFよりも攻撃力を持った選手を置き、積極的に主導権をとりに行く。4バックの両サイドが共にMF的役割を担い、2バックのようなシステムになることも、アジアの戦いでは往々にしてあった。もちろん、世界の強豪が揃う本大会では、これだけ積極的な戦いができるかどうかは分からない。そこで、重要になってくるのは、しっかりと受けに回れるカードだろう。
相手を2トップと読んだこともあるだろう。基本フォーメーション4−4−2の右SBは安藤梢、そして左SBは矢野喬子になった。「蓋」の役割は「自分の良さ、特長を考えた時に、やっぱり守備、ディフェンス力だと思うんです」と矢野。数人のSB候補では、最もディフェンス面で計算が立つプレーヤーであり、メキシコとのプレーオフ第2戦では見事な火消し役を務めている。その矢野が、カナダ戦に続いてブラジル戦でも先発メンバーに名を連ねた。
相手は予想通りの2トップ。日本は安藤をウイングバックの位置に上げて、磯ア浩美と岩清水梓が左右に入れ替わり、3バックへと移行する。ここまでは予定通りの手順だった。安藤が高く位置を取ったことで、日本の攻撃は厚みを増した。長短のパスを10本以上つないで、ピッチを広く使った20分のシーン。直後の21分、荒川恵理子のポストプレーから大野忍が左を抜け出し、澤穂希を飛ばしてフリーの安藤が合わせた場面。このふたつのチャンスは、3バックの良い部分が出ていた。
だが、一方で日本のメンバー中、最も強力な3枚のDFが形成する最終ラインは、ブラジルの攻撃に苦慮した。まずは、3バックでのビルドアップの難しさである。2枚のFWに3枚のDFでも、パスコースは封じられやすい。その上、INACレオネッサ所属のデルマ・ゴンサウベスが、トップ下の位置からしばしば前へ詰めてくる。しばしば3対3の形を作られ、そこから苦し紛れにタテへ蹴り出したところを狙われた。
ブラジルFWが持つ「個」の強さも影響していた。戦前にマルタのプレー映像を見せられた岩清水は「絶対に一度は抜かれると思った」。日本のDFがスピードに振り切られないように間隔を置くことで、却ってボールを収まりやすくさせる悪循環に。もうひとりのFWクリスチアーネ・ロセイラ・デ・ソウザ・シルバも、マルタほどではないにせよ、高いテクニックを持っている。前を向かれて、それが決定機に結びつく。
また、日本のビルドアップへの意識も高過ぎた。「練習から全員が高い意識を持って取り組んでいる。その反面、無理めなところからでも、つなごうとしすぎてしまった」とキャプテンの磯ア。「疲れもあって、判断が遅すぎた」(大橋監督)という宮本ともみの不調もあって、危険な位置でボールを奪われる。35分に奪われた連携ミスからの失点は、当然の帰結だった。
「公式戦じゃないからといって、ただ単に人を代えるだけでは、チームの完成度が上がっていかない。やりたいことがやれている状況か、やれていない状況かで、それを決めていきたいと思います」カナダ戦の前にそう言っていた大橋監督は、前半36分、早くも宮本を下げて、宇津木瑠美を投入した。
「チームが機能している、していないの部分もありますけれども、今は選手たちの疲労がピークに来ている。これは宮本だけの問題じゃないんですけれども。そのために判断が遅れていた。だからシステムの成否だけではなく、個の問題もあったと思います」(大橋監督)
日本としては、カナダ戦をドローで終え、どうしても勝っておきたい。ブラジルDFを圧倒していた荒川をハーフタイムに下げて、永里優季を投入。テストを行いながら、結果も求める。
期待に応えたのは、日本が誇る二枚刃だった。まず、59分、宮間が中央からのFKをDFラインの裏に入れる。「今日は澤さんもさすがに疲れていたはず。それでも、ニアサイドで相手DFと潰れてくれたので、その裏にいるイワシ(岩清水)へのコースが開いた」。これを、前半にもチャンスを迎えていた岩清水が体で押し込む。ブラジルFWに苦しめられた鬱憤を晴らすかのように、点を指差す若手DF。これでスタジアムは逆転への期待が満ちた。
その瞬間は僅か6分後に訪れる。先ほどと同じような距離からのFK。今度は途中交代の柳田美幸が、DFとGKの間に左足で狙う。ここで、クリアを焦ったブラジルDFが、頭で自軍ゴールに放り込んでしまう。オウンゴール。ラッキーな形ではあったが、柳田の正確なキックが、このゴールの呼び水となったことも確かだ。
逆転されたブラジルは、マルタがムキになったかのようにボールを呼び込み、チャンスを演出する。「最後の時間帯は選手同士で話し合って、4枚にしたいということを監督に伝えました」(磯ア)。これに「4-4-1-1も試しておきたかった」という指揮官が応える。さらにゴールのきっかけを作ったキッカーふたりも「前へ出ないでしっかりとふたりでバイタルを埋めよう」(宮間)とした。
いくつかチャンスを作られたものの、スコアはそのまま動かなかった。
FIFAランク8位に逆転勝ち。最高の結果を出すことで勢いをつけて、なでしこジャパンは上海へと向かった。
試合直後にミックスゾーンで話を聞いた選手も、3日経ってから練習後に話を聞いた選手も、壮行試合2連戦の結果には口を揃えて同じコメントを発した。「カナダと引き分け、ブラジルに勝った。グループリーグで戦う相手を仮想し、結果に拘って戦って、それができたことはひとつの自信につながる」。
そして、最後に誰もが付け加えた。「ただし、今日、勝ったからといって、本大会でもその通りに勝てると決まったわけではありませんから」。勝って兜の緒を締める。彼女たちが手にしたものは過信ではなく、自信なのだ。
第5回女子ワールドカップの開幕は9月10日(月)、そしてなでしこジャパンの初戦は9月11日(火)だ。いよいよ本当の戦いが幕を開ける。
| (日本女子代表) | (ブラジル女子代表) | |||||||
| GK: | 福元美穂 | GK: | バルバラ・ミケリーネ・ド・モンテ・バルボッサ | |||||
| DF: | 安藤梢(54分/近賀ゆかり)、磯ア浩美、岩清水梓、矢野喬子 | DF: | タニア・マリア・ペレイラ・リベイロ(75分/モニカ・アンジェリカ・デ・パウラ)、レナータ・アパルチーダ・ダ・コスタ、アリーネ・ペレグリーノ | |||||
| MF: | 酒井與惠(61分/柳田美幸)、宮本ともみ(36分/宇津木瑠美)、宮間あや、澤穂希 | MF: | エライーネ・エストレラ・モウラ、ミライルデス・マチエル・モタ、ダニエラ・アルベス・リマ、アンドレイア・ドス・サントス(67分/ミシェーレ・アパレチーダ・ペレイラ・レイ)、デルマ・ゴンサウベス(79分/シモーネ・ゴメス・ジャトバ) | |||||
| FW: | 大野忍(61分/大谷未央、83分/原歩)、荒川恵理子(H.T/永里優季) | FW: | クリスチアーネ・ロセイラ・デ・ソウザ・シルバ(57分/カチア・チレーネ・テシェイラ・ダ・シルバ)、マルタ・リベイラ・ダ・シルバ | |||||
| SUB: | SUB: | |||||||
| <前へ|次へ|indexへ> |
| |top|news|column|history|special|f-cafe|about 2002w|BBS|mail to|link| |