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| 頑張れ!女子サッカー 07/09/23 (土) | <前へ|次へ|indexへ> |
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| 前回王者は強かった。 |
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勝ち点4での敗退。サプライズは1年後の北京で。 取材・文/西森彰 |
FIFA女子ワールドカップ中国2007 グループA第3節 日本女子代表vs.ドイツ女子代表
2007年9月17日(月)20:00キックオフ 杭州黄龍体育場 観衆:39,817人
試合結果/日本女子代表0−2ドイツ女子代表(前0−0、後0−2)
得点経過/[ドイツ]プリンツ(21分)、リンゴア(87分)
取材・文/西森彰
杭州黄龍体育場で行われた前日練習後、選手たちの表情は上々だった。芝の状態が上海とは全く違う。ボールと人が動く日本のサッカーを、グループリーグの大一番で見せられる。その期待感からだろう。
なでしこジャパンのグループリーグ最終戦は前回チャンピオンのドイツが相手だ。ここまでドイツと日本が勝ち点4で並び、イングランドが勝ち点2。アルゼンチンはまだ勝ち点を獲得していないので、2戦を終えたところで脱落。イングランドまでの3カ国でふたつの椅子を取り合うことになる。勝ち点上では2番手につけるものの、得失点差ではいちばん不利な立場に置かれている日本は、ドイツに勝たない限り、自力での2ndラウンド進出が決まらない。
もちろん、イングランドがアルゼンチンから勝ち点3を取り逃すようなことがあれば、ドイツ戦の結果に関わらず、日本の勝ち抜けが決まる。プレスカンファレンス終了後、大橋浩司監督に他力進出の可能性を尋ねたところ「まあ、期待できないでしょう」と苦笑していた。2ndラウンドへの道は自分たちで切り開く必要がある。
攻撃面のポイントは、ドイツのナンバー1GKシルケ・ロッテンベルグが出場できなかったこと。1月のゲーム以後、ウルリッヒ、ホル、そしてアンゲラーと3人のGKを併用していた。この点について、試合前日のプレスカンファレンスでドイツ代表・シルヴィア・ネイド監督に質問をしたが「ロッテンベルグは1月にケガをして、まだリカバリーの途中だから」とのこと。控えのGKに経験を積ませていたわけではなかった。
もちろん、降って沸いた代表のレギュラー争いで3番目に試された、年齢的にもある程度は完成されている中堅のGKが、全幅の信頼を置けるような存在であるはずがない。今大会に入ってからも、失点こそ無いものの、アルゼンチン戦、イングランド戦で致命的なキャッチミスを犯している。
もちろん、11月の対戦でアンゲラーから3得点を奪っている日本チームもそのあたりはデータとして手にしている。試合前日のシュート練習は、いつもより10メートルほど遠目の位置から行われた。「雨が降っていてグラウンドがスリッピーだったし、GKの手前でバウンドさせればチャンスになる。相手のGKもそれほど上手いとは思えないですし」と宮間。遠目からでもシュートが打てればチャンスが生まれる。
守備面のポイントは右サイドから中央へクロスを送り込む、ドイツのチャンスメーカー、ギャレフレクスの存在である。前回大会もそうだったがスペースを与えると、恵まれたスピードとフィジカルで大暴れする。これに対して、大橋監督はこれまで出場機会がなくフレッシュな状態をキープする柳田美幸をサイドハーフに起用。ギャレフレクスの走り出しに備えるとともに、マイボールになったらそのウラを取る。そんな激しい上下動と駆け引きを課した。
陣形は4-4-1-1。ある程度の自由与えられたトップ下の澤穂希は、同数の局面が表れると、そのカバーに走っていたので、実質的には4-5-1と言えるかも知れない。屈強なドイツのDFを相手にまともな勝負をするのは不利だから、永里優季を1枚だけ残し、2列目以降を分厚く構えることで守備を安定させる。それと共に大会直前から正ボランチの座に座り、好守のバランスを司っていたシモーネ・ラウダーの出場停止に乗じ、バイタルエリアを澤、宮間、原に狙わせることもできる。
そう、ドイツ女子代表が普通に戦ってくれれば。
「非常に重要なゲームになる。相手は良く走るので、こちらはそれ以上に走らなければいけない。確かに日本は良いチーム。だけど私たちも良いチームだから」
前日、宿泊先のホテルで行われたプレスカンファレンスで、シルヴィア・ナイド監督はそのように語っていた。スタジアムでの前日練習も報道陣にフルタイムで公開。「どっからでもかかってこい」という前回王者の風格さえ漂っていた。しかし、それでもドイツはドイツ、念には念を入れてきた。中央に開いたラウダーの穴を埋める方法は、サスキア・バートシアクの起用でも、リンダ・ブレゾニクのポジション変更でもなかった。誰もが攻撃のキーマンと考えていたギャレフレクスをボランチに回してきたのである。
かくして互いに見込み違いの布陣で相対することになった。ギャレフレクスをマークするつもりでいた柳田は、全くタイプの違うペトラ・ウィムバースキーと対峙する羽目になった。ドイツはドイツで、警戒していた澤穂希、宮本ともみ、宮間あやのトライアングルを引っ張ろうとした中央のスペースに、原と酒井與惠が防衛線を張っていた。
勝ったら、ここで大暴れしてたかも…。
終盤の1点勝負に持ち込みたい日本と、引き分けでも良いドイツ。互いの都合が一致した。両者が最大の攻め手を自ら引っ込め、相手の良さを消そうとしたことが、これに輪をかけた。決勝トーナメントへの切符をかけたゲームの序盤は静かに推移した。
ショートパスを主体にした日本のパス回しは、杭州のピッチで復活した。1トップだけになかなかチャンスは生まれなかったが、中盤でドイツのチェイシングをかいくぐり、自分たちの時間帯も作った。また4バック+柳田の守備ラインはスルーパスをタテに通すドイツの攻めに戸惑いながらも、覚悟していた以上のシュートを浴びることなく守り、ドイツに与えた決定機も守護神の福元美穂がナイスセーブで防ぐ。
しかし、21分、痛恨の先制点を与える。ドイツの右CK。福元は、それまでファーサイドで控えるビルゲット・プリンツへのハイボールが多いことに気付いていた。そこへ再びリンゴアが蹴ったボールが飛ぶ。「ファーを狙われていたので、私が声をかけて、もう少し意識させれば良かった」。守護神は、前回大会の得点王にフリーで打たせたDFよりも、十分なコーチングができなかった自分を責めた。
これで余裕が生まれたドイツは、イングランド戦の疲れもあったかペースを落とす。逆に2点が必要になった日本は、予定よりも早めの攻勢を強いられた。後半、宮間を荒川恵理子に代えて、これまでどおりの4-4-2にフォーメーションを変更した。そして49分、ドイツDFが2枚のFWに気をとられている間に、ウラまで走った近賀ゆかりがフリーに。しかし、柳田美幸のクロスを叩いたヘディングシュートはミートできず。最大のチャンスだった。
56分には、距離があるところから原が積極的にロングシュートを放つなど、この時間帯、日本にペースは来ていた。しかし、ここで日本は不運に見舞われる。途中出場の荒川が、ウラに出たボールを巡ってGKと交錯。胸を蹴られて負傷退場したのだ。厳しい状況に陥ったが、日本の選手たちは全く諦めらない。
日本の攻勢に手を焼いたドイツは、カウンターを策してファトマイア・バイラマイ、マルティナ・ミュラーと俊足アタッカーを投入する。そして、87分、ミュラーのドリブルがPKをゲット。これをレナート・リンゴアが確実に決めて、昇る者と去る者を隔てた。
「今日は、いつもと違うポジションでプレーした選手がいたかと思うんですが?」
メディアルームで流れていたアルゼンチン対イングランド。と言っても86年のメキシコ。
記者会見では、ギャレフレクスの起用法に関する質問が、ナイド監督に向けられた。昨年の8月に行われたイタリア戦以来のボランチは、自国のメディアにとっても予想外のことだった。守備力のあるダブルボランチを先発させた日本のフォーメーション変更により、攻撃面では威力が半減したが「良く走ってくれたし、チームにとって力になるプレーをしてくれたと思う」(ナイド監督)。
シュミシェクを前で走り回らせ、そのやや後ろにプリンツを置いたポジションと言い、日本戦に向けてマイナーチェンジをしてきた。引き出しの多さは、さすがと言わざるを得ない。日華事変関係の日程変更で、グループリーグ終了が1日前倒しになる幸運もあって、クオーターファイナルでは北朝鮮をあっさりと退けた。連覇まであとふたつである。
そして勝ち点4を得ながら、決勝トーナメントに進めなかった日本。
「技術、戦術を駆使して勝ち点3を勝ち取ろうと準備をしてきました。そして選手には『思い入れのあるゲームをしよう。自分の歩んできたサッカー人生の中でも納得のいくゲームをして欲しい』と伝えました。非常に良くやってくれた。90分間、死力を尽くして戦ってくれたと思います。多くのサポーターにも大きな勇気をいただきました。決勝トーナメントに勝ちあがれなかったことは残念。責任を感じています」
記者会見に臨んだ大橋監督がいちばん悔しそうな表情だった。プレーオブザマッチに選出され、同席していた福元や、ミックスゾーンに現れた選手たちの顔には「力を出し切れたのだから」という満足感が、敗退のショックを上回っていたように感じる。
そのうち総括する機会もあるかと思うが、今回のチームが置かれていた諸条件を考えあわせると、「勝ち点4での敗退」は最も普通の結果だったように思う。サプライズは起こせなかった。でも、下を向くような成績ではない。1年後の五輪で、ベスト8以上の成績を期待したい。
| (日本女子代表) | (ドイツ女子代表) | |||||||
| GK: | 福元美穂 | GK: | アンゲラー | |||||
| DF: | 近賀ゆかり、磯ア浩美、岩清水梓、宇津木瑠美 | DF: | シュテーゲマン、クラン、ヒングスト、ブレゾニク | |||||
| MF: | 宮間あや(H.T/荒川恵理子、63分/大野忍)、酒井與惠、原歩、柳田美幸、澤穂希 | MF: | ウィムバースキー、ギャレフレクス、リンゴア、ベーリンガー(57分/バイラマイ) | |||||
| FW: | 永里優季(76分/宮本ともみ) | FW: | シュミシェク(78分/ミュラー)、プリンツ | |||||
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