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| 頑張れ!女子サッカー 07/10/10 (水) | <前へ|次へ|indexへ> |
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| 第2回大会優勝国、ノルウェー。 |
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優勝経験国同士の3位決定戦は、アメリカがノルウェーを降す。 取材・文/西森彰 |
FIFA女子ワールドカップ中国2007 3位決定戦 ノルウェー女子代表vs.アメリカ女子代表
2007年9月30日(日)17:00キックオフ 上海虹口サッカー場 観衆:32,068人
試合結果/ノルウェー女子代表1−4アメリカ女子代表(前0−1、後1−3)
得点経過/[アメリカ]ワンバック(30分、46分)、チャルプニー(58分)、オレイリー(59分)[ノルウェー]R・グルブランデセン(63分)
大雨で試合前の公開練習が中止になるほど脆弱な上海虹口サッカー場。3位決定戦・決勝戦前日もトレーニングは行われず、芝の復旧に向けて最後まで養生スタッフの姿が残っていた。上海でゲームを行っていないノルウェーチームだけはピッチに入った。しかし、これも近くの練習場でトレーニングの後、簡単なウォーキングで芝の状態を確認しただけだった。
3位決定戦は、決勝戦の前座試合として17時にキックオフ。決勝戦のキックオフ時刻が動かせないため、ノックアウト方式になってから唯一、延長戦が行われないゲームである。90分間で決着がつかない場合は、すぐにPK戦となる。まるで刺身のツマのような扱いだったが、高いモチベーションを持って試合に臨む者もいた。
アメリカのグレッグライアン監督は、ブラジルとの準決勝を前に、それまで4試合でゴールを守ってきた若手GKのホープ・ソロをベンチに置いた。理由は「ブラジル戦の経験が少ないから」。脅威の2トップ、マルタ、クリスチャーネのシュートタイミングを知っている、ベテランのブライアナ・スカリーの経験を買ったのだ。だが、知っての通り、マルタにもクリスチャーネにもゴールを許し、4失点の惨敗となった。
ライアン監督の采配は、試合後の記者会見で、自国のメディアをはじめ、報道陣から猛烈に叩かれたらしい。「自分の判断に間違いはなかった」。そんな報道陣へのメッセージだったのか、この日もGKはスカリー。優勝が消えたとはいっても、ライアン監督とスカリーにとって、絶対に負けられない1戦である。
あと3人ばかり、この試合に賭けていた選手がいる。マルタ、プリンツと得点王争いを演じているアメリカのアビー・ワンバックと、ノルウェーのラグンヒルド・グルブランデセン。ワンバックは4ゴール、グルブランデセンは5ゴールで、7ゴールのマルタを追いかけている。簡単ではないが、逆転が不可能という差でもない。
そしてアメリカのキャプテン、クリスチャン・リリーである。第1回大会からただ一人、5回の女子ワールドカップ全てに参加している。男子の歴史を紐解いてもワールドカップに5回出場しているのは、メキシコのアントニオ・カルバハル、そしてドイツのローター・マテウスのふたりだけだ。
そもそも5大会連続出場というのは、国の目標としてもかなりハードルが高い。クリアできるのは当然ながら強豪国であり、その中で20人前後の枠に入る必要があるのだから、リリーの偉業も理解できるだろう。恐らくは選手としてワールドカップ最終戦となるこのゲーム。彼女にとっても大事な試合になる。
試合のほうは、拮抗した序盤から30分を境にしてアメリカのペースになった。左CKから、ロリ・チャルプニーが打ったシュートに、混戦の中でワンバックが反応し、方向を変える。これが先制点となったのだ。イニシアチブを手にしたアメリカは、前半終了直前にもリリーがドリブル、そしてループシュートで見せ場を作る。
第1回・第3回大会優勝国、アメリカ。
ハーフタイムを挟んでも流れは変わらない。46分、今度は左からのCKにホワイトヒルが飛び込み、シュートをポストに当てると、このリバウンドをワンバックがまたもやプッシュ。ハットトリックとマルタ追撃に王手をかける2点目をゲット。直後の47分にもこの大型FWのシュートがバーを直撃し、一方的な展開となった。
58分、左SBを交代して反撃を画したノルウェーだったが、マークのズレに乗じてワンバックに進入を許した。アン・ホープスタットのクリアはアメリカの選手に当たって戻り、再度のクリアもチャルプニーのチャージによって3点目となってしまう。さらに1分後、交代でピッチに入ったばかりのリンゼイ・タープリーの突破から、ヘザー・オレイリーが押し込んで4点目。
62分、ノルウェーはDFラインからのアーリークロスを、グルブランデセンが頭で押し込み、一矢を報いたがゲームの大勢は決している。後は、ワンバックとグルブランデセンのゴールに、見所は絞られたかに思えた。
しかし、この試合最大の見せ場は、89分にやって来た。アメリカ代表のライアン監督は、ベンチ裏でアップを続けていたナターシャ・カイを呼び寄せる。第4審判が頭上に掲げた表示ボードにはこれから入る選手として緑文字でカイの「6」、ピッチから去る選手として赤文字で「13」が示された。
プレーが切れたその瞬間、交代を確認したリリーは、ゆっくりと自陣後方にいる同い年のところへ向かった。そしてメディアから散々叩かれたベテランGKの左腕に、自分が身につけていたキャプテンマークを巻き付ける。そこへチームメートが次々と歩み寄り、声をかける。得点王争いをしているワンバックにとっても貴重な時間だったが、彼女も大先輩を送るために前線から戻ってきた。
そして対戦相手であり、トップスコアラーの可能性を残していたもうひとり、ノルウェーのグルブランデセンは、自ら36歳のヒロインに歩み寄って抱擁を交わす。これら一連の行動は、厳しい見方をすれば遅延行為の対象ともなるはずだが、ハンガリー人の主審を始めとして誰もが十分な時間を与えた。最後に交替選手のカイと抱き合い、ピッチの外に出たリリーを、スタンドの観客は立ち上がり、拍手で迎え入れた。
「彼女と長い間、一緒にプレーすることができたということは私の誇り。そして間違いなく、それらの経験が私を選手としても人間としても成長させてくれた」
マルタに次ぐ6得点でアディダスシルバーシューを獲得したワンバックは、リリーについてこう語った。ワールドカップは終わったが、来年には北京オリンピックがある。そこでもう一度、スタンディング・オベーションを受けるだけの価値をリリーは有していると思うが、果たしてどうなるだろうか。
| (ノルウェー女子代表) | (アメリカ女子代表) | |||||||
| GK: | B・ノルビー | GK: | スカリー | |||||
| DF: | フォルスタット(57分/ギスキー)、クリステンセン、ホープスタット、ヒューズ | DF: | ダルミー、ランポーン(H.T/エラートソン)、ホワイトヒル、ロペス | |||||
| MF: | ステンスラント、S・グルブランデセン、シュトロケン(61分/クヌッセン)、クヌッセン、ヴィーク(78分/ヘロヴセン) | MF: | オズボーン、ワグナー(59分/タープリー)、チャルプニー | |||||
| FW: | R・グルブランデセン | FW: | オレイリー、ワンバック、リリー(89分/カイ) | |||||
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