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 頑張れ!女子サッカー 07/10/16 (火) <前へ次へindexへ>
ドイツ代表の記者会見には、マイナートコーチとシュテーゲマンが臨んだ。

 円熟のドイツ、発展途上のブラジルを降し、史上初の大会連覇。
 〜その1〜

 取材・文/西森彰
 9月29日の午前0時。日付が変わると同時に、ケルスティン・シュテーゲマンの元へは電話とメールがいっせいに殺到した。第5回女子ワールドカップ決勝戦の前日は、彼女の30回目の誕生日だったのである。プレスカンファレンスに選手代表として出席した彼女は、そんな打ち明け話をした後に「この記念すべき日を、トーナメントに勝ち残って迎えられるのは本当に嬉しい」と笑顔を見せた。

 いろいろなことがあったこの大会も大会もいよいよ大詰めを迎えた。参加16チーム中12チームが姿を消し、アメリカとノルウェーの2チームは3位決定戦に回り、優勝の権利が残っているのは、シュテーゲマンのドイツ、そしてブラジルだけである。決勝戦のピッチに立てるのは交代選手を含めても最大28名。大会最優秀選手にノミネートされ、先発が確定的なシュテーゲマンは世界でも指折りの幸福な選手である。



 この日も上海虹口サッカー場は前日トレーニングを行えず、ブラジルは上海市内にある、もう一つのスタジアム・上海浦東源心スポーツセンターで前日練習を行った。その大部分は非公開。どうやら紅白戦形式で、ドイツ戦に向けての戦術確認を行ったらしい。練習後は、マルチンス監督とマルタが記者会見に臨んだ。

「明日の試合は、素晴らしい2チームが顔をあわせる。とても難しいゲームだと認識している。女子サッカーの素晴らしさをアピールできるような試合をしたいと思う」とジョルジェ・ルイス・バルセロス・マルチンス監督。ふと見ると、会見場の壁にかけられたマグネットボードには、3-4-1-2のフォーメーションに駒が配されていた。これも心理戦の一環だろうか。

スコア一覧表も最後のふたつを残すだけ。
 ここまで7ゴールを挙げてゴールデンシューズ争いのトップに座すマルタは、報道陣の質問にあくびをこらえるなどマイペースを貫いたが、前日に発表されたブラジル女子全国選手権構想について「(所属するスウェーデンリーグから)国内リーグに復帰する可能性は?」と問われ、「今は目の前の試合に集中している」と雑音をシャットアウト。他の選手たちからも、はしゃぎあうような「ブラジルっぽさ」が姿を消していた。

 練習時間をブラジルの後に割り当てられたドイツは、それまでと同様にトレーニング内容をメディアへ完全公開した。もちろん、それは隠して困るような練習内容ではないから。全フィールドプレーヤーがタテのパス交換からダイレクトシュート。この単純な練習を、ポスト役とシューターを順番に務めながら、ひたすら続けていく。

 GKを除く、全ポジションの選手がこのシュート練習をこなしているのが特徴的。これが日本チームなら、シュート練習は前目の選手と控えGKで行い、DFと正GKは守備の最終確認をしているかもしれない。これだけシュートを打てば、嫌でもゴールを狙う意識が高まる。チャンス時にペナルティエリア内まで入っていく選手が多いわけだ。

 練習終了後、自国の記者に声をかけてピッチを去っていく選手たちの表情からは、ブラジルのような固さは見えない。主力選手のほとんどが前回優勝時のメンバーと言う経験値もあるのだろう。もっともそれは「油断」を招くこともままあるのだが…。



 日本の入ったグループAの日程が「日華事変勃発当日にあたり、セキュリティ面で保障できない」というポリティカルな理由で変更され、ドイツのグループリーグ最終戦は1日前倒しの開催になった。そして台風の襲来によってグループC、グループDの最終戦は1日後ろにずれた。ブラジルもあおりを食ったチームのひとつ。しかも彼女たちのゲームは上海から杭州に会場も変更されることになった。

 開幕戦を含めて終始ゆったりとした日程で戦ってきたドイツ。逆に厳しい日程を強いられてきたブラジル。両者の有利不利は、準決勝1日の差だけではない。スケジュールの差は、フィジカル面だけでなく、メンタル面でも優劣を生んでいたかもしれない。
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