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 頑張れ!女子サッカー 07/10/26 (金) <前へ次へindexへ>
先制点は埼玉。ゴール前にできた一瞬の隙を見逃さなかった。

 兵庫が「らしさ」を見せた一戦。埼玉を逆転で下す。
 第62回国民体育大会 女子準決勝 兵庫県vs.埼玉県

 取材・文/中倉一志
2007年10月3日(水)11:00キックオフ 西目カントリーパークサッカー場 観衆:500人 天候:晴
試合結果/兵庫県2−1埼玉県(前0−1、後2−0)
得点経過/[埼玉]庭田(34分)、[兵庫]大谷(47分、61分)


 兵庫県にとって、昨年の「のじぎく兵庫国体」での準決勝敗退は苦い記憶だろう。優勝候補の筆頭と目され、地元の期待を一身に浴びての戦いだったが、準決勝で三重県に敗退。3位決定戦で勝利はしたものの、地元開催にもかかわらず一番高い位置へ登れなかった悔しさは忘れることはできない。その悔しさを晴らす唯一の方法は、この大会で優勝を果たすこと。ここまで9−0、4−0と圧倒的な力を見せて準決勝に進んできたのは、そんな気持ちの表れだったのだろう。

 そして前年度準優勝の埼玉も、優勝に対する強い思いをぶつけて勝ち上がってきた。対戦相手に恵まれた感はあるものの、1回戦の徳島戦は10−0と圧勝。2回戦でも北海道を全く寄せ付けずに10−2で退けた。なでしこジャパンのメンバー4名を欠く構成も層の厚さは大会随一。誰を出しても全く遜色のない戦い方で有力な優勝候補のひとつであることを示してきた。こちらも目指すは昨年逃した日本一の座。ここでやられるわけにはいかない。



前半、危険な存在であり続けた北本綾子(赤・中央)。
 両チームのそんな気持ちがキックオフと同時にぶつかり合う。まずは2分、北本綾子の決定的なシュートが兵庫ゴールを襲えば、その6分後、お返しとばかりに大谷未央の右足が唸る。立ち上がりから勝利への意欲を前面に出す両チームは一進一退の攻防を繰り広げる。互いに攻守が激しく入れ替わる、一歩も譲らない主導権争いが続く。リーグ戦とは異なる35分ハーフという大会レギュレーションも、互いの試合運びに影響を与えているようだ。

 そして、この主導権争いを制したのは埼玉。「相手が前線からハイプレッシャーをかけてきたで、DFラインが慌てて蹴っていた部分があった」(大谷未央・兵庫)。ロングボールを鈴木智子に当て、こぼれたボールに大谷未央が飛び込むのは兵庫のいつものスタイルだが、余裕なく縦に蹴り返すだけではボールが前線に収まるわけもない。鋭い出足でボールを支配する埼玉は、前線で存在感を見せる北本綾子を中心に兵庫を押し込む時間帯が続く。

 それでも兵庫はゴールだけは許さない。押し込まれているとはいえ粘り強い守備は健在。チャレンジ&カバーを徹底して埼玉の攻撃に耐える。最終ラインを統率する磯ア浩美も、的確なカバーリングで未然にピンチを防いでいく。しかし34分、兵庫の守備にほころびができた。左サイドを突破した堀田えり子のクロスボールに対するクリアがゴール前にこぼれ、一瞬、シュートコースが空いた。このチャンスを見逃さなかったのは庭田亜樹子。その左足がゴールを捉えた。



この日2得点を挙げた大谷未央(中央・9)。献身的な運動量と泥臭いゴールは彼女の真骨頂。
 後半も、立ち上がりから激しく前に出る埼玉と、粘り強く守る兵庫という図式で試合が進んでいく。しかし前半と違ったのは兵庫が少しずつ前に出始めたこと。そして流れが変わりかけたと見るや、兵庫は一気呵成に攻撃に転じた。その兵庫の同点ゴールは47分。CKのチャンスにゴール前に大谷が頭から飛び込んでゴールネットを揺らした。「みんなシュートを意識して、前へ、前へかかれた。それで押し上げられた部分が1点目のコーナーにつながった」。試合の流れを的確に読んだ見事にゴールだった。

 ここからは互いに我慢比べの時間帯。しかし、それは兵庫に取っては望むところ。全員が汗をかく守備で埼玉にチャンスを与えず、そしてロングボールを前線に確実に収めていく。前半と同じように見える戦術も、慌てて蹴るのと、意図的に合せるのでは意味するところが違う。「後半は相手も体力的に落ちてくると思いますし、そこからがチャンスだと意識していました」(磯ア・兵庫)。主導権は兵庫に移っていた。

 そして兵庫の決勝ゴールが生まれたのは61分。埼玉のクリアがペナルティエリアでルーズになったところに、難しい体制から大谷が右足を合せると、ゆっくりと弧を描いたボールが、そのままゴールへ吸い込まれた。泥臭いゴール。しかし、大谷らしいゴールだった。1点をリードすれば全員で守備をする兵庫の思う壺。埼玉は63分、68分に際どいシュートを放ったが、ゴールをわずかにそれ、磯アのブロックにあい、ゴールを陥れることができなかった。



兵庫の最終ラインをまとめる磯ア浩美。その存在感は、さすがはなでしこジャパン。
「勝てそうだったのにもったいないなという感じです。うちのペースの時にもう少し決めるところを決めて、しっかりと集中を切らさずにやれたら、違った展開になったんじゃないかなと思います」(木原梢・埼玉)。埼玉にとっては2点目を奪えなかったのが全て。悔やまれる敗戦になった。しかし、3位決定戦がある国体では試合はまだ終わらない。「現時点で一番行けるところまで行きたい」(同)。気持を切り替えて最終日の試合に臨む。

 そして決勝進出を決めた兵庫。「負けるということは考えてもいませんでした。1失点しても普通に。時間があれば点は取れると思っていました。(失点シーン以外は)ほぼ抑えられていましたから。今のチームは1失点くらいで負けるようなチームではないと思っているので」とは磯ア。押し込まれる時間帯もあったが、それも想定内の出来事だったということだろう。「もっともっとできるというのが正直なところですけれども、それを明日できればと思います」(同)。兵庫は昨年果たせなかった優勝を目指して決勝戦の舞台に立つ。








(兵庫県) (埼玉県)
GK: 佐々木香織 GK: 大谷明香
DF: 甲斐潤子 磯ア浩美 下小鶴綾 佐野弘子 DF: 木原梢 田代久美子 森本麻衣子 岩倉三恵
MF: 坂井優希(48分/河上恵実子) 阪口夢穂 山本絵美 大石沙弥香(69分/朝日麗華) MF: 佐藤舞(54分/若林エリ) 庭田亜樹子 高橋彩子 堀田えり子(58分/保坂のどか)
FW: 大谷未央(69分/澤田由佳) 鈴木智子(66分/田頭陽子) FW: 北本綾子 窪田飛鳥
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