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 頑張れ!女子サッカー 07/11/01 (木) <前へ次へindexへ>
この日のMVPは間違いなく大谷未央(右・9)。献身的なスペースへの飛び出しを繰り返し、2得点を演出した。

 兵庫が三重を完封。前回大会の雪辱を果たす。
 第62回国民体育大会 女子決勝 三重県vs.兵庫県

 取材・文/
2007年10月4日(木)13:20キックオフ 西目カントリーパークサッカー場 観衆:1000人 天候:晴
試合結果/三重県0−2兵庫県(前0−0、後0−2)
得点経過/[兵庫]澤田(44分)、阪口(46分)

取材・文/中倉一志

「この時期は例年天気が悪いんですけれど、ちょうどいい具合に大会期間中は天候に恵まれました」。試合前、運営担当者の方がほっとしたような表情を浮かべながら話してくれた。海岸沿いのスタジアムながら風に悩ませられることもなく、日差しは強いとはいえ暑すぎず。そして、まるで絨毯のように整備された芝生。大会は最高のサッカー環境の中で行なわれてきた。そして迎えた最終日。三重県(伊賀FCくノ一の単独チーム)と兵庫県(TASAKIペルーレの単独チーム)が最後のキックオフのホイッスルを待つ。

 2年連続優勝に挑むのは三重。大歯裕子のスピードを生かした得意のサイド攻撃を生かして、ここまで10得点2失点。なでしこリーグでは7位と元気がないが、今大会は安定した戦いで決勝戦に駒を進めてきた。5得点を挙げて好調の小野鈴香の存在も頼もしい。そして前回大会準決勝で三重に敗れた雪辱を狙うのは兵庫。ここまでの成績は15得点1失点。登録メンバー16人(15人+監督兼任選手)全員を起用して、良く走り、よく粘るサッカーで勝ち進んできた姿は、まさしく兵庫らしい。



前線でボールを引き出した村丘夏希(白・11)。前半はペースを掴んだが・・・
 立ち上がりに攻勢に出たのは兵庫。3分、6分と立て続けにシュートを放つ。しかし、その時間を過ぎ、最初に主導権を握ったのは三重だった。「伊賀FCくノ一は、県や市に援助してもらっている市民クラブ。恩返しではないけれど、こういうところで返したいという思いがみんなにあった」(宮本ともみ)。高い位置からボールを追い、前線では村岡夏希がボールを引き出して起点を作る。そして攻撃の核は左サイドの大歯の縦への突破と、宮本のロングフィード。徹底して左サイドにボールを集めて兵庫を押し込んでいく。

 一方、兵庫は持ち味の粘り強い守備で三重の攻撃を凌ぐと、20分過ぎから反撃に転じる。攻撃は得意のパターンから。長いボールを鈴木智子に当てると、2ndボールを拾って前へ出る。目を引くのは大谷未央の運動量。ボールが来ようが、来まいが、労を惜しまずに裏のスペースへ向かって走り込む。フィニィッシュの精度に欠きゴールには結びつかないが、兵庫も自分たちのサッカーを貫いてゴールを目指す。そして、前半終了間際には、阪口夢穂のロングシュートがゴールを襲う。

 互いの持ち味を発揮する両チームが演じるサッカーは、がっぷり四つ。どちらにも主導権を握る時間があり、どちらにもゴールチャンスがある。そして、高い集中力を維持して、どちらも相手にゴールを許さない。決勝戦にふさわしい好ゲームは0−0で前半を終了。勝負の行方は後半へと持ち越された。



持ち味の正確にロングフィードでチャンスを作った宮本ともみ。その存在感は別格。
 先に動いたのは兵庫。後半開始と同時に坂井優紀に代えて大石沙弥香を、田頭陽子に代えて澤田由佳をピッチに送り込む。しかし、互いに引かない一進一退の攻防は変わらない。兵庫が前に圧力をかければ、三重は最終ラインの中央で構える宮本の正確なロングフィードで押し戻す。試合はどっちに転ぶのか分からない膠着状態が続く。そんな試合を動かしたのは兵庫。起点となったのは前半から走りまわっていた大谷だった。

 三重が右サイドでボールを落ち着かせようとしたところへ猛然とダッシュ。相手のミスを誘うと、そのまま奪って縦にドリブルで突破。勢いに乗ったままクロスボールを送り込む。ゴールに向かって放たれたボールはクロスバーに当たって跳ね返ったが、そこへ澤田が走り込んでいた。「自分が入って初めての決定的なチャンス。来ると思って突っ込んでました。先制点は絶対に自分が決めたいと思っていました」(澤田)。昨年の兵庫のじぎく国体では啓明学園の生徒としてボールガールを務め、兵庫の悔しい敗戦を見届けていた澤田が、その悔しさを晴らすゴールを大一番で決めた。

 そして、その2分後。兵庫は試合を決定づける2点目を奪う。チャンスを作ったのはまたしても大谷だった。前線で鈴木がボールをキープした瞬間、左サイドに空いた大きなスペース向かって長い距離を走り込む。そして、鈴木との細かなパス交換でゴール前までボールを運ぶと、相手を引きつけて再び鈴木へ。さらに鈴木がゴール中央へとボールを流す。そこへ現れたのは阪口。目の前に空いたシュートコースめがけて右足を振り抜いた。流れるような見事な崩し。「私もびっくりしました。あんなのは決めたことはないですよ」。坂口は満面の笑みを浮かべた。

 2点を追う三重は、62分に清原祐子に代えて井坂美都を投入。4−3−3の布陣に代えて攻めに出る。しかし、ラインをコンパクトに保って守備ブロックを形成する兵庫の守備は堅牢。むしろ、前がかりになって出来るスペースを大谷に使われて、思うように攻めに転じることができなかった。そして、そのまま試合は終了。兵庫が前回大会の雪辱を果たした。



「絶対に自分が決めたいと思っていた」。澤田由佳が値千金の先制ゴールを奪う(右・14)
「去年ともメンバーもだいぶ変わって、それでこの結果は評価していいと思うんですけれども、ここまで来たからには本当は優勝して帰りたかったです」。試合後、宮本は悔しさを口にした。しかし、チームとしての収穫もあった。「新潟とか、岡山とか、最後の兵庫もリーグで当たる相手。サッカーだけに集中できる環境があったとはいえ、その中で結果を残せたということは、意識があればできるということ。チームにとって自信につながったと思います」。今度は、その収穫をリーグ戦で活かす。

 そして頂点に立った兵庫。MVPを挙げるとしたら間違いなく大谷。労を惜しまずにスペースへ飛び出し続けたことが貴重な2得点につながった。とにかく走り、どんな時でも頑張る兵庫のサッカーを自ら示して見せた。そして、監督を務めた磯ア浩美は次のように試合を振り返った。「昨年は地元開催ということで、いつもと違ってかなりプレッシャーがあってかなりしんどかったんですけれど、今回はプレッシャーもなく、伸び伸び楽しくやれた。16人全員が試合に出て、全員で勝ち取った勝利ですし、若い選手も試合に出場する機会も多く、みんなが成長した大会だったと思います」。

 満面の笑顔を浮かべて表彰式に臨んだ兵庫の選手たち。2年越しの優勝は格別な味がしたに違いない。




(三重県) (兵庫県)
GK: 小林舞子 GK: 佐々木香織
DF: 鈴木麻友 池内里紗 宮本ともみ 吉泉愛 DF: 甲斐潤子 河上恵実子 下小鶴綾 佐野弘子
MF: 堤早希 清原祐子(62分/井坂美都) 四宮由美子 大歯裕子(66分/尾原亜由香) MF: 坂井優希(HT/大石沙弥香→69分/斎田由貴) 阪口夢穂 山本絵美 鈴木智子(62分/朝日麗華)
FW: 村岡夏希 小野鈴香 FW: 大谷未央 田頭陽子(HT/澤田由佳)
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