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 頑張れ!女子サッカー 08/01/24 (木) <前へ次へindexへ>
圧倒的な存在感を示し岩渕(左)。将来が嘱望される逸材だ。

 軍配はメニーナに。神村学園は3度目の正直ならず。
 

 取材・文/中倉一志
第11回全日本女子ユース(U-18)サッカー選手権大会 準決勝 日テレ・メニーナvs.神村学園高等部
2008年1月7日(月)13:30キックオフ 三木総合防災公園陸上競技場 観衆:200人 天候:曇
試合結果/日テレ・メニーナ2−0神村学園高等部(前2−0、後0−1)
得点経過/[メニーナ]岩渕(6分)、高橋(20分)、[神村]高良(49分)


「いいサッカーはしていたんですけれどね。でも入らなければ意味がないですからね。この大会では毎年同じことを言っているような気がします。毎回、みんなから『いいサッカー出来ているけれど取れないね』と言われて、『取れないんですよ』という繰り返しが、ここまで続いているなという感じですね」(池畑辰徳監督・神村学園)。

 全日本高等学校女子サッカー選手権では第13回大会から2連覇。第14回大会ではベスト8に終わったものの、昨夏の第15回大会では準優勝と、高校女子サッカー界のトップを走る神村学園にも、この大会のタイトルは遠い。選抜チームから単独チームで優勝を争うようになった第9回大会から2年連続で準優勝。そして、今年は事実上の決勝戦と目された日テレ・メニーナとの対戦に敗れて準決勝で姿を消した。

 一方、「最初から劣勢のゲームになることは予想していました。後半のゲームが実力通りの試合だったと思います」とは、決勝戦に駒を進めることになった日テレ・メニーナの寺谷真弓監督。目先の勝利にこだわるサッカーをせず、それでもなお勝ちきることを求め続けるチームにとって、サッカーで負けて試合に勝ったという事実には納得できない。試合を振り返る渋い表情が物語る。

 だが、誤解のないように付け加えておくが、メニーナも神村学園同様に決勝へ進むにふさわしいチームであることは誰もが認めるところ。結果に満足するのではなく、結果と内容を、しかも高いレベルで求めるところにメニーナの強さの秘密がある。



囲まれながら突破歩図る堂園。ただゴールが遠かった
 さて、試合はメニーナのゴールで幕を開けた。最初のゴールネットが揺れたのは6分。山内美夏子のスルーパスに抜群のタイミングで合わせた岩渕真奈が中央から最終ラインを突破。さらにGKをもかわして先制点を奪った。今大会の注目を一身に集める岩渕の本領発揮ともいえるゴールだった。そしてメニーナの追加点は20分。サイドを突破した長澤優芽からの折り返しに高橋彩織が合わせた。

「予選リーグを通じて調子がよくなく、しっかりつなぐことができていなかったので、シンプルに前にというところからスタートして、それがたまたま当たって、前半に先に点が取れた」(寺谷監督)。
 目指す「つなぐサッカー」とは趣が異なる展開だったが、それでもゴールに結びつけるのは、圧倒的な存在感を見せる岩渕と、将来性を感じさせる高橋の存在があればこそ。実際、この2人がきっちりと結果を出した。特に岩渕の能力はこのレベルを突き抜けている。ボールを奪われることはほとんどなく、2人がかりでさえ止めることは難しい。

 メニーナにとっては、自分たちにとっての最大の武器を生かしてゴールを挙げるという最高の滑り出しになった試合。だが、神村学園も黙ってはいなかった。
「相手の10番がうまいので、僕がそれを言いすぎてしまって生徒たちが意識し過ぎたかなという反省がありました。でも途中からボランチを前に当てて、インターセプトを狙っていけというのを言いだしてから、そこで奪える、あるいは奪えなくても次のカバーで奪えて攻撃にいいい形でつながった」(池畑監督)。そして、神村学園の猛攻が始まった。



ゴール前で激しく競り合う両チーム。
 素早いプレッシング。ボールを奪ってからの切り替えの早さ。相手を上回るフィジカル。ボールをつないで組み立てる組織力。全ての面でメニーナを凌駕する神村学園は一方的にゲームを支配。エース・堂園彩乃が高い位置にボールを引き出してチャンスの山を築きあげる。いつ神村学園のゴールが生まれてもおかしまない展開が続く。前半の最大の決定機は終了間際。左からのCKに堂園のヘディングシュートが炸裂。強烈なシュートがゴール右隅を襲う。しかし、これはGK鈴木望が左手1本でゴールの外へはじきだした。

 後半に入っても神村学園の猛攻は続く。そして49分、高良亮子が1点を返すと、その勢いはさらに加速する。時間の経過とともに神村学園のフィジカルの強さの前にメニーナが置いていかれるシーンが目立ち始め、神村学園は高いテクニックを有する高良が高い位置でタメを作ってはチャンスを作る。だが、神村学園にゴールは遠い。チャンスはいくつもある。試合の流れも神村学園のもの。だが、どうしてもゴールネットを揺すれない。

 その後、前に出る神村学園とカウンターを仕掛けるメニーナという展開を経て、残り10分となったところで神村学園の最後の猛攻が始まる。さすがにメニーナは一杯、一杯。ボールについていこうとする気持ちはあっても足が付いていかない。だが、それでも神村学園にゴールは生まれなかった。85分に堂園の左足から放たれたミドルシュートが唸りを上げてゴールを襲ったシーンでは、誰もがゴールを確信したが、次の瞬間、見事な反応を示したGK鈴木が横っとびでボールをはじきだした。この日、3つ目のスーパーセーブ。その5分後、試合の終了を告げるホイッスルが鳴った。



3度目の正直がならなかった神村学園。今大会の優勝は来年に持ち越された。
 ゴールが取れなかった。神村学園にとっては、それ以外に言葉が見つけられない試合だった。チャンスも重ね、シュートも放った。それでもゴールネットは揺れなかった。こういうことがあるのもサッカー。そう言い聞かせるしかない。そして何より、メニーナのGK鈴木の活躍が光った。「GKが上手かったですね。2年前の決勝もこんな感じだったんですよ。2点先に取られて、あとはずっと攻め続けたんだけどGKがうまくて、1対1も全部止められて」(池畑監督)。敗れた結果には悔いは残る。しかし、全力を尽くした試合だった。

「これで勝つことがいいのかどうか分かりません。もうひとつ厳しいゲームができるということはいいことだと思うんですけれども。まだ全然、思うようにできていないのが現実です」とはメニーナの寺谷監督。ボランチを経由してビルドアップするサッカーができていないことが、今のチームの課題と口にする。それが「戦えるチームではない」という発言につながるのだろう。しかし、岩渕、高橋らに代表されるように、他の追随を許さない高いテクニックは健在。他との比較で言えば十分にレベルは高い。

 それでもなお、自分たちの目指す高いレベルへ近づくことを徹底して求めるメニーナ。決勝戦は大会2連覇がかかる常盤木学園と対戦する。「常盤木さんは去年のチャンピオンですし、うちは力から言えば下。思い切ってぶつかるだけです」(寺谷監督)。はたして決勝戦ではどんなサッカーを見せるのだろうか。



(日テレ・メニーナ) (神村学園高等部)
GK: 鈴木望 GK: 坂下佳奈
DF: 長澤優芽 吉田百合奈 小林海咲 小林海青 DF: 屋田渚 成合瞳 宮迫たまみ 上江州由夏
MF: 木下栞 山内美夏子 岸川奈津希 岩渕真奈 MF: 大屋夏希(HT/仲東那奈) 下川沙織(86分/稲員愛) 大本倫 高良亮子 堂園彩乃
FW: 高橋彩織 嶋田千秋 FW: 吉良知夏
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