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| 頑張れ!女子サッカー 08/01/24 (木) | <前へ|次へ|indexへ> |
| 大会2連覇を飾った常盤木学園 |
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常盤木学園、メニーナに勝って全日本女子ユース連覇! 取材・文/西森彰 |
第11回全日本女子ユースサッカー選手権大会決勝 常盤木学園高校vs.日テレ・メニーナ
2008年1月8日(火)12:00キックオフ 兵庫県三木総合防災公園陸上競技場 観衆:100人 天候:晴
試合結果/常盤木学園高校2−1日テレ・メニーナ(前0−1、後2−0)
得点経過/[メニーナ]木下(14分)、[常盤木学園]熊谷(71分)、後藤(79分)
今年の全日本女子ユース選手権の優勝を争う2チームには共通項が多かった。緑を基調としたチームカラー、しっかりとボールを大事にするサッカースタイル、そして選手の将来的な活躍を見据えた育成方針である。
常盤木学園の阿部監督は、ユース年代での栄光よりも、その先にあるサッカー人生を考えて選手を指導する。一時期はシルバーコレクターという声もあったがまったく動じるところはなかった。「優勝カップは、それを手にしなければ報われないチームが持っていけばいい。ウチの選手たちはカップを持っていなくても、将来につながるものを得ているんだから」。世界を相手に戦える選手を送り出そうとする、その信念が言わせたセリフだ。
フォーメーションは3−2−4−1。3バックはユース年代では過酷なほどのスペースを警戒しなくてはいけない。そして2列目の両ウイングはサイドでの1対1はほぼ100%勝負。1トップの後藤三知も、前線でポイントを作るために数的劣勢下で勝負に挑む。もちろん、中盤の選手だけがラクをできるわけはなく、前線から最終ラインまで幅広い地域でボールに絡む動きを求められる。どのポジションの選手にも大きな負荷がかかっているが、それが個々人のポテンシャルを成長させている。
日テレ・ベレーザの妹分・メニーナを率いる寺谷真弓監督も、日頃からの口癖が「ここでの勝ちを最優先するサッカーを教えちゃいけない。そのうえで試合には勝ちきらなくちゃいけない」。ベレーザに昇格する選手を送り出す選手ではなく、ベレーザのレギュラーに食い込める選手の育成を目指しているのだから、その視線の低かろうはずはない。
高校生年代のチームが多い中、今年も中学生をメンバーに組み込んで参戦しているメニーナ。なでしこリーグカップでブレークした岩渕真奈は、この大会でも存在感を発揮している。とにかく、ボールを取られない。もちろん、常盤木学園も岩渕のところを抑えようと二人がかり、三人がかりで抑えようとするが、何故かそこをすり抜けられる。足にボールが吸い付いたようなドリブルは、まるでカカのようだ。
今大会、圧倒的な存在感を示した岩渕(右)。テクニックは、この年代では突き抜けている。
そして、もうひとり出色のパフォーマンスを見せたのが、ボランチに入った山内美夏子だった。6日間で5試合という強行軍、45分ハーフのレギュレーション、そして中学1年生という年齢。どれひとつを聞いても俄かには信じられない。それくらいに良く走る。
「もともと走るのが好きな選手。『スケジュールもきついし、今日は止めておいたら』と言っても走らないではいられないみたいで、今朝も6時に起きてひとりでホテルの周りを走っていたようです」
寺谷監督も呆れるほどのランニングで培った運動量だけでなく、研ぎ澄まされた戦術眼も素晴らしい。ビルドアップに顔を出したかと思うと、相手のカウンターには、一番嫌なスペースを迅速に消す。観戦していた上田栄治女子委員長も「あれでまだ中学1年生だから。男子を含めた全カテゴリーでも、あれくらい、多くの局面に顔を出す選手はいないんじゃないかな」と、そのパフォーマンスに感嘆した。
岩渕、山内らの活躍で中盤を制したメニーナが押し気味に試合を進める。そして嶋田千秋のコーナーキックから2度に渡って常盤木学園ゴール前で生まれた混戦で、最後は木下栞が先制ゴールを奪う。しかし、一方的に攻め立てていたこの時間帯にメニーナは高橋彩織のループシュートがバーを直撃するなど、追加点を奪うことができず、1点どまり。これが試合を大きく左右した。
30分前後から、常盤木学園も盛り返していく。センターフォワードの後藤へボールが入るようになり、右サイドの森本華江、2列目の山田頌子もラストパス、シュートに絡む場面が増えてきた。メニーナも、鈴木里を中心にしてゴールを許さない。
後半に入っても両チームは10番を中心にゲームを作る。メニーナは中盤で岩渕がボールに触ると周囲の選手たちが動き出し、常盤木学園は最前線で後藤がタメを作ると中盤がフォローに走る。どちらが優勢とも言いがたい状態で進んだ71分、サッカーの神様はとんだ悪戯をする。ハーフウェーを越えたあたりで常盤木学園の熊谷紗希が前線にボールを上げる。これが風に乗ってゴールに向かい、バーギリギリという絶妙のコースへ急角度で落下。GK・鈴木里の両手もネットが揺れるのを妨げることはできなかった。
値千金の逆転ゴール。喜びを爆発させる後藤(緑・10)
「今大会、彼女はファインプレーを続けていたし、ああいう場面を乗り切ってくれていた。責められません」とメニーナの寺谷監督。ギリギリの勝負でモノを言うのは運不運も含めたチームの底力。この日は、その点で常盤木学園が勝っていたのだろう。
決勝ゴールは79分。ペナルティボックス付近のボール競って交錯した後藤は、もう一度ボールを追って立ち上がる。「それまでみんなが取ってくれたボールを私のところで失う場面が多かった。ここで立てば必ず決められると思いました」(後藤)。ボールに追いついた瞬間、メニーナのDFがふたり、ゴールへカバーに入っていたが、後藤は迷うことなく値千金の逆転弾を放った。
メニーナは、2点目を奪えなかったことが最大の敗因だろう。「昨日の試合は内容的に完敗のゲームでしたけれども、今日は先制した後に追加点をきちんと取れていれば勝てた試合。それが残念です」と寺谷監督は振り返った。例年に比べて圧倒的な力を見せることが少なかった。それでも何とかファイナルにたどり着いた。寺谷監督は「結果がついてきていることで、問題が隠された部分もある。もう少し、サッカーを教えるという基本からスタートしなければいけなかったかもしれない」と反省の弁を語った。
常盤木学園は逆転勝利で昨年に続き、連覇を達成した。殊勲の後藤は「守備についてはみんなを信頼しているので、奪ってくれたボールを何とかゴールしたいと思ってプレーしています。私がゴールを奪えば、またチーム全体の動きもよくなると思っています」。メニーナの岩渕が中盤の選手であるのに対し、後藤は仲間を信じて前線に残るフィニッシャーだった。それも勝敗を分けたポイントだったのではないか。イレブンのひとりひとりが自分の役割を果たすことで、チーム全体としても機能する。それが常盤木学園のサッカーということだろう。ポリシーを貫いての連覇は価値がある。
「グループリーグのゲームも大差がつくゲームは減ってきています。広島文教女子大付属がメニーナに12失点しましたけれども、内容的にそこまで差があるゲームではなかった。レベルは上がってきています」
出色のパフォーマンスを見せた山内美夏子(右)は、まだ中学1年生。
上田女子委員長は大会全体を通して、チーム力は接近してきていると感じている。女子サッカーが普及し始め、全国各地の指導者が基本から指導する機会が増え、全体的なレベルアップにつながっている。だから、ピッチ全体を見ても大きな穴になるような部分がないし、そこからゲームが崩壊することがない。
しかし、現場で指導している寺谷監督は平均値が向上することによって見逃されがちな「圧倒的な個の不在」を懸念している。良い選手はいるけれども、なでしこジャパンに入れるようなモンスタークラスの逸材がいないというのだ。
「6、7年ほどこの大会を見ていますが、『この選手は凄いな』という選手が年々減っているように思います。阪口(夢穂・TASAKIペルーレ)や上辻(佑実・TEPCOマリーゼ)のように、抑えなければいけないと意識させる選手が減っているように思います」
そしてその理由としてオーバーコーチングを含めた、環境面の向上の副作用が出ているのではないかという。確かに、今の選手たちは、受身でも何をしなくても、全てを手に入れられる。コーチに聞けば教えてもらえるし、試合を見たければテレビをつければ見れる。それが、自分で理解したこと、見ることができたことなどの感動を小さなものにさせていないか。本当の意味でサッカーを好きになる機会を失うことになっていないか…。
「今のなでしこジャパンの主力たちがどうしてあれだけの強さを持っているのかというと、恵まれない環境の中でサッカーを続けてきた点が影響していると思います。何かを教わりたければ、この試合を見たければ、自分たちでアクションを起こさなくちゃいけない。そうするには、サッカーを好きじゃなくちゃいけないし、そうすることでサッカーを好きだという気持ちを強めるんだと思います」(寺谷監督)
普及は着実に進んでいる。後は世界のトップトップに近づいていく個の強化。勝つことで身につけられることもあれば、将来を見据えてこの年代で身につけておかなければいけないこともある。そのバランス感覚が難しい。
| (常盤木学園) | (日テレ・メニーナ) | |||||||
| GK: | 松山愛(H.T/斉藤彩佳) | GK: | 鈴木望 | |||||
| DF: | 櫻本尚子、瀧澤優子、郷内晴香 | DF: | 長澤優芽、吉田百合奈、小林海咲、小林海青 | |||||
| MF: | 熊谷紗希、管藤彩子、森本華江、小池文乃(69分/黒川綾華)、山田頌子、小原由梨愛 | MF: | 山内美夏子、岸川奈津希、木下栞(76分/佐々木繭)、岩渕真奈 | |||||
| FW: | 後藤三知 | FW: | 嶋田千秋、高橋彩織(60分/田中美南) | |||||
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