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| 頑張れ!女子サッカー 08/08/04 (月) | <前へ|次へ|indexへ> |
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ストロングポイントはチームワーク。アルゼンチンを下して本番へ 取材・文/西森彰 |
キリンチャレンジカップ2008 〜 ALL FOR 2010!〜 なでしこジャパンvs.アルゼンチン女子代表
2008年7月24日(木)16:04キックオフ 国立霞ヶ丘陸上競技場 観衆:13,774人 天候:晴れ
試合結果/日本女子代表2−0アルゼンチン女子代表(前2−0、後0−0)
得点経過/[日本]大野(33分)、永里(36分)、丸山(86分)
なでしこジャパンの壮行試合第2戦は、ワールドカップ出場国のひとつ、アルゼンチンが相手だ。オーストラリアに続き、格下の存在。佐々木則夫監督からは戦前に「グループリーグ初戦で対戦するニュージーランドを想定。前半から、相手陣内に切り込んでいき、早い時間帯にゴールを奪う」と伝えられていた。
その言葉どおり、前半で2得点を挙げて無失点。ゴール数が足りないような気もするが、まずまずの結果である。だが、90分間の内容に目を向けると、何とも妙な試合だった。
日本は、立ち上がりから主導権を奪って、敵陣に踏み込み、ハーフコートゲームに持ち込もうとした。長引かせると相手の術中にハマるのは、昨年の対戦で承知済みだ。しかし、仮想ニュージーランドたるアルゼンチンは、ひるむことなく迎え撃つ。冬の南半球から来たアウェーチームに、アジアの夏が影響を与えていなかったとは思えない。しかし、一見すると、アルゼンチンのほうが動きはいい。
これは日本が、中間にハードなトレーニングを課され、疲労のピークにあったことも大きく影響していた。土曜日は妹分であるU-20女子代表との練習試合をこなし、日曜日は名門・帝京高校との合同練習。特に、帝京は「ジュビロユースはパスサッカーをしようとしてくれたし、あれだけゴリゴリ来られたのは初めて。今までサッカーをした中で一番の衝撃だった」(宮間あや)という程にあおった。
「一昨日まで絞ったせいで、体が重くて、なかなかエンジンがかからなかった。バタバタした状況にあった」と佐々木監督。初戦のニュージーランド戦から逆算したコンディション作りをしているなでしこジャパンにとって、この日が疲労のピーク。90分間のゲームができる状態ではなかった。
そして、3度目の対戦を前に、アルゼンチンサイドも無策ではなかった。ボレージョ監督は「日本とは何度か対戦しているし、研究もしていた。簡単に勝たせてくれる相手ではないと覚悟もしていた」。この日の彼女たちには、数日前に対戦したオーストラリアチームに数倍する闘志が漲っていた。
そんな中でもオープンプレーでゴールを奪ってしまうのだから、現在のチームが持つ攻撃力は、相当高い。33分、左サイドで動き出した宮間あやを見た阪口夢穂が「練習通りの形になったので、むちゃくちゃ集中して(慎重に)インサイドで」パスを出す。これを受けた宮間も、ニアサイドへ流れてきた大野忍へどんぴしゃのパス。大野は「当てるだけでよかった」。
さらにその3分後、日本は左サイドの宮間が、ファーサイドの安藤梢にこれまた極上のボールを送る。安藤のシュートは左ポストに弾かれ、リバウンドを大野もミートしそこなったが、さらにこぼれたところは永里優季の足下。昨秋にもロスタイムのゴールで、アルゼンチンへ帰国便のチケットを贈っていた永里が、落ち着いてこれを決める。
ゴールを奪いにいって、実際にとる。理想的な試合展開だった。
ところがここから雲行きが怪しくなる。荒川恵理子、加藤與惠ら、負傷していた選手のコンディションや、試合勘が戻っていなかったことがまずひとつ。「故障明けの選手をどのくらいやれるのか試した。今の段階では、まだしっくりときていなかった」と佐々木監督も認めたように、荒川、加藤、そしてオーストラリア戦で傷んでいた原歩らは、本調子には程遠かった。
荒川、原のプレーにはいつもの力強さが感じられなかったし、いつもは抜群のバランス感覚でかじ取り役を務める加藤も、この日は前がかりになったゲームの中で危険なエリアを埋めきれず、しばしばカウンターを許した。「ケガ自体は影響ないレベルまできていますが、試合に出ていなかったので、まだそのあたりの感覚が戻っていませんでした」(加藤)。
次にアルゼンチン代表の想定外の健闘である。昨年のワールドカップで3連敗を喫したボレージョ監督は、思い切ったギャンブルに出た。オリンピックへ向けて20歳前後の若手を大量に抜擢。レギュラーで言えば、実に6人を入れ替えて、このゲームに臨んでいたのである。年齢面からは、ポタッサらを中心としたU-23世代に、チームの中心・コロネルなど数名の「オーバーエージ」が加わったかに見える。
特に、活躍が目立ったのはファビアナ・バジェフォスだ。昨年のワールドカップであわやのロングシュートを日本のゴールポストにぶつけた選手と言えば、思い出す方も多いだろう。57分には、コーナーキックからいやらしいボールで混戦を生じる。さらに、65分にはロングシュートをバーに直撃させるなど、日本ゴールを再三にわたって脅かした。
昨年のワールドカップでは敗退が決まった後の記者会見で「主力の何名かがケガで出場できていない。今の我々のチームは、強くないチーム」と自虐的なセリフを吐き捨てていたボレージョ監督。それがこの日は「今日の試合でチームは全力を出しました。観客の皆さんにも楽しんでいただけたのではないでしょうか。ゴールが奪えなかったのは残念ですが、選手の仕上がりには満足しています」と穏やかな表情で語った。
そして、もう一点。ライバル国のスカウティングを意識して、ブレーキをかけていたことだ。そもそも、佐々木監督が「夏バテの試合で申し訳なかった。澤(穂希)と大野のふたり以外は、頭も体も全然動いていなかった」と試合の総括で語ったように、このゲームに照準を合わせた仕上げではなかった。
韓国で行われたピースカップでも、アーリークロスから大量失点をしていたアルゼンチンは、結果の出ていないパワープレーを最終チェックするのに絶好の相手。終盤、宇津木瑠美を左サイドバックに入れたのはそのためとも思えたが「今日の宇津木(瑠美)の投入は普通の交代」(佐々木監督)とのこと。
「今日あたりから、各チームのスカウトもやってきているでしょうから」とは、3本あった直接FKからのシュート全てが、枠を捉えることができなかった宮間。通常の彼女であれば信じられないような精度の無いキックだが、これも手の内を隠した結果ではないか。
「大会が終わってから、話せることもあります」という選手もいた。このゲームについて回る(特に後半45分間の)クエスチョンマークは、4年前の五輪予選・ヴェトナム戦と同じ。あの時と同じように、セットプレーなどいくつかの武器を隠して、本番に臨んでいるのだと信じたい。
あとは、壮行試合の対戦相手がオーストラリア、アルゼンチンと明らかに格下の相手だったことは、吉と出るか、凶と出るか。
メリットは、ケガ人の発生確率を低下させることができること。ブラジルと対戦したアメリカは、エースのアビー・ワンバックを失ったし、アメリカと対戦した中国もマー・シャオシューが壊れた。強豪国との対戦はどうしても無理をするシーンが増える。僅か18名という登録人数。そして、山郷のぞみを除くと経験不足が目につくバックアップメンバーを考えれば、ケガの回避を最優先するのも、ひとつの考え方だ。
デメリットはもちろん、世界トップレベルの強さを体感できないまま、本番を迎えることだ。だが、オーストラリア、アルゼンチンも、初戦の相手・ニュージーランドと大きな差はない。富岡高校、帝京高校と男子高校生の胸を借りることで、フィジカルの差がある相手のイメージも掴めているはず。もちろん、真剣勝負との違いはあるだろうが、それも誤差の範囲内だろう。
記者会見の席で敵将に問うた。「半年前と比べて、日本チームが成長した点を挙げてほしい」と。
「今の質問を昨年のワールドカップの席でもされた記憶があります。その時に私は、2003年のチームと比べて、2007年のチームは、より攻撃的なチームになっている、とお答えしました。今回のチームも対戦する前、オーストラリア戦から注目していました。本当に、本当に良いチームだと思います。ボール回しが素晴らしいし、軽快なプレーをする。以前に対戦したふたつのチームと比べても、今回のチームが一番気に入りました」
ボレージョ監督は、なでしこジャパンを「個々の選手のことより、集団としてのプレーに長けており、チームとして非常に良い」と評した。「『チームのストロングポイントは?』と訊かれたら、胸を張って『チームワーク』と答えたい」。そう口ぐちに言い合ったメキシコとのプレーオフから1年と半年。18人の総力を挙げてひとつの目標に挑む。
女子サッカー最高のステージ=オリンピックの戦いは、もう間もなく火ぶたが切られようとしている。
| (日本女子代表) | (アルゼンチン女子代表) | |||||||
| GK: | 福元美穂 | GK: | コレア | |||||
| DF: | 近賀ゆかり、池田浩美(H.T/矢野喬子)、岩清水梓、柳田美幸(85分/宇津木瑠美) | DF: | チャベス、ゴンサレス、キニョネス、ヌニェス | |||||
| MF: | 安藤梢(57分/原歩)、澤穂希、阪口夢穂(57分/加藤與惠)、宮間あや | MF: | ヘレス(76分/アリエン)、メンディエタ(53分/ペレイラ)、コロネル(38分/ブランコ)、バジェフォス | |||||
| FW: | 永里優季(H.T/荒川恵理子)、大野忍(73分/丸山桂里奈) | FW: | ポタッサ(61分/アルメイダ)、オヘダ | |||||
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