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| 頑張れ!女子サッカー 08/09/21 (日) | <前へ|次へ|indexへ> |
| 岡山湯郷は、五輪が明けても、好調キープ。 |
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岡山湯郷、リニューアルしながら連勝キープ。 取材・文/西森彰 |
プレナスなでしこリーグ2008 ディビジョン1 第13節 岡山湯郷Bellevs.アルビレックス新潟レディース
2008年9月14日(日)12:00キックオフ 美作ラグビー・サッカー場 観衆:1,588人
試合結果/岡山湯郷Belle2−0アルビレックス新潟レディース(前1−0、後1−0)
得点経過/[岡山湯郷]宮間(33分)、中川(74分)
今シーズン、岡山湯郷Belleはちょっとした混乱が起きた。大原学園JaSRAと、Briosita Akita2006を中心に、大量の選手が加入。昨年から在籍していた選手たちはチームの約半数。その他が約半数。それぞれが元の所属同士グループに分かれ、見合ってしまった。
「シーズン当初は、大原から来た子は大原のグループ、秋田から来た子は秋田のグループという感じで、お互いに声をかけるのも難しいような感じだった」
田中静佳はそう振り返る。寄り合い所帯で臨んだプレシーズントーナメントのベルカップは、内容も結果も悲惨なものだった。
これを受けて、本田美登里監督は、とりあえず、昨年から在籍しているメンバーを主体にして開幕を迎えた。コースの切り方、プレスのタイミング……。細かい局面局面では、従来のメンバー同士が知り抜いた呼吸に、一日の長があった。完成度の高さにモノを言わせ、順調に勝ち点を積んでいく。そして、北京五輪の中断期間に突入したところで、ディビジョン1の4位と好位置をキープしていたのである。
本田監督は、五輪明けにある下位チームとの3連戦で「確実に勝ち点9」を目指しながら、特徴が把握できた新戦力を徐々に溶け込ませようとしている。オールスターで負傷した安田邦子を休ませ、右サイドバックに保手濱理恵を、左のサイドハーフには大原学園から来た有町紗央里を入れた。ニューフェイスの起用は、それまで先発が約束されていた選手たちの危機感を煽る狙いもある。
桃太郎スタジアムで行われた休み明け初戦は、伊賀FCくノ一を2対0で降した。そして、美作ラグビー・サッカー場でアルビレックス新潟レディースを迎え撃つ。試合後には、なでしこジャパンの福元美穂、宮間あやの五輪報告会も予定されている。このゲームは、落とせない。
現在7位の新潟には、北京五輪のメンバーはひとりもいない。奥山達之監督は「それだけ、個の能力が劣っていると言えるかもしれません」と苦笑する。だが代表メンバーがいなければ、チーム全体での練習時間も増える。代表スケジュールを挟んだ際には、大きなアドバンテージだ。
ディビジョン1残留が、新潟に課せられた命題。
実際、アジアカップ明けは、その利点がフルに活きた。それまで勝ち点をひとつも取れていなかったチームが、首位を走っていた浦和レッズレディースと引き分けるなど、勝ち点5を積んだのだ。試合内容も現実を見据えながら、勝ち点3も期待させるもの。最下位を脱出し、ディビジョン1残留へ向けて、反撃の足がかりを築いたかに見えた。
ところが、1ポイント差で追いかけていたTEPCOマリーゼとの大事な直接対決を、ホームで落とした。TEPCOとのゲーム差は6に広がり、残留ラインが遠ざかった。
「試合内容が良くなってきているから、そこでひとつ浮上のきっかけが欲しい」
1年間かけての強化を考えている奥山監督にとっても、ディビジョン1残留は最重要課題だ。エースと守護神が五輪で抜けていた岡山湯郷とのゲームは、新潟にとってチャンスゲームのひとつ。このままズルズルと行かないためにも、ここで何とか勝ち点をとっておきたい。
それぞれに結果が必要なゲーム。そのオープニングシュートは、北京帰り・宮間あやの左足から放たれた。そのまま、岡山湯郷が新潟陣内で試合を進める。
エース・宮間は1得点1アシスト。
ひとつには後半勝負という新潟のゲームプランがあった。「前半、岡山湯郷はタテに蹴ってくるだろうと思った」と奥山監督。宮間のスルーパスにFWを走らせて、最終ラインの足をすり潰すのは岡山湯郷のひとつのパターンだ。その手は食わないとばかりに、新潟は自陣で守備を固める。俊足の中島未来をFWで先発させたのは、相手を引き出して逆にカウンターを浴びせようという狙いもあったはずだ。
また、引いて守る新潟の守備を破ろうと、岡山湯郷の出足も鋭かった。五輪代表のふたり以外の選手たちの成長に目を奪われた。「五輪の試合を見て、残っていた選手たちも気持ちを高めてもらった」と田中静。「福ちゃん(福元)たちに手伝ってもらって練習してきた」というポストプレーは安定味を増し、前線に拠点を作る。また、徐々に出場機会が増えてきた有町も左サイドから仕掛けた。
そして33分、ゴール前の競り合いの中で、田中静の後ろからチェックに行った新潟・田中桜のプレーに笛が吹かれる。PK。これはスタンドから見ている限り、微妙な判定。新潟の奥山監督は試合後に「相手の勢いで、吹かれたように感じるシーンもあった」と振り返ったが、確かに田中静の気迫が奪ったファールにも見えた。
これを宮間がきっちりと決める。今シーズン、先制点を奪ったら無敗の岡山湯郷にとって、値千金のゴールだった。
前半の45分間、岡山湯郷をシュート2本に抑えていた新潟としては、痛恨のPKだったが、イレブンは気を取り直して後半に臨んだ。最終ラインを押し上げ、井上光保、山本亜里奈も積極的に前に出る。そして、左右からのクロスを特別指定選手の菅澤優衣香に当て、こぼれたボールを拾って二次攻撃につなげた。
ゲームメーカー・上尾野辺もしつこいプレスに苦しんだ。
そうした攻撃を繰り返すうち、61分、ゴール正面でのFKを獲得する。蹴るのはもちろん、上尾野辺めぐみ。左足で掬ったボールは、直接ゴールに飛ぶのではなくファーサイドへ緩やかに落ちていく。そこには、新潟の山本が完全に余っていたが、惜しくもボールに触ることができなかった。
やや押し込まれた岡山湯郷は、前半途中からピッチに入った中川千尋を、宮間のパスで走らせ、カウンターを見舞う。そして、69分、トップスピードで入ってきた中川に、新潟DF東山真依子が危険なタックルを見せて、この日2枚目のイエローカードをもらってしまう。勝負を賭けた後半、新潟が11人同士でプレーできたのは僅か25分間しかなかった。
数的優位が生まれた岡山湯郷は、5分後の74分、田中静が宮間に預け、再びライン裏に走った中川へ。スピードに乗った中川はそのまま突き進み、GKの頭越しにループシュート。ボールは左ポストの内側を叩き、新潟ゴールに転がり込む。これで2対0。勝負の趨勢は決まってしまった。
新潟は不運な先制点献上と退場もあって、後半勝負のゲームプランが崩壊。痛恨の連敗を喫した。勝ち点差はTEPCOと−4、伊賀と+1で変化なし。この後は、上を追いかけて勝ち点3を狙いにいくのか、引き分けで勝ち点1を拾うのも計算に入れるのか。戦い方が難しい。
下部組織の選手から花束を受けとる福元と宮間。
「確かにチーム力の差、個の差を感じる時もありますが、それでも全く歯が立たないというレベルではないと思っています。(上位チームが相手であっても)勝ち点3を見てゲームに臨みたいと思います」
奥山監督は見敵必勝の構えで残りゲームに臨む。次節はホーム・グリーンスタジアム新発田でINACレオネッサとのゲーム。INACの田渕径二監督は「新潟も第2クールから良くなってきている」と警戒を深める。その中で勝ち点がとれるようなら、それが奥山監督の言う「きっかけ」になるはずだ。
岡山湯郷は中断明けで予定通りの連勝を飾った。五輪で福元、宮間のプレーを見ることができたが、その他の選手たちは開幕戦以来ご無沙汰となっていた。そんな外野の目からは、開幕当時に比べて個々のプレーも、チームとしての連携も成長しているように見える。
思わず口を突いて出た「残っていた9人の選手たちが頑張っていましたが……」という言葉に、宮間は「まるで代表組が頑張っていなかったような言われ方ですね」と顔をしかめる。1得点1アシスト。もうひとりの代表組・福元美穂も、終盤に訪れた1対1のシーンを抑えて完封に貢献した。代表組のふたりも自分の仕事は果たした。「これまでどおりやれている」(宮間)と言うのだから、他チームに比べてズレ幅も小さいのだろう。
これで2戦続けての完封勝利。選手たちがシーズン前に立てた目標は「(シーズンの)半分を無失点で終える」というもの。これを達成するには厳しい状況だが、先行逃げ切りのスタイルは板についてきた。リーグ優勝はともかく、大分で開かれる国体や全日本女子選手権ではチャンスが巡ってくるかもしれない。
試合後の北京五輪報告会で福元に続き、宮間はマイクの前に立った。挨拶は、こちらが予想していた「世界4位になれました」でも、「歴史を作ることができました」でもなかった。
広告看板・幕は2列。北京効果がここにもある。
「北京五輪で優勝するために頑張ってきたんですけれども、その夢を叶えることはできませんでした」
そして、さらに続けた。
「(五輪優勝と)並行して目標としてきたのが、この湯郷Belleで日本一になるということ。その夢はまだどこにも逃げていない。夢を叶えるために皆さんの応援が必要不可欠になってくると思いますので、これからも応援よろしくお願いいたします」
これを聞いて本田監督は「『日本一になる』って言っちゃいましたね」と舌を出していたが、それはチームの中の人間だから許されること。第三者まで一緒になって笑っていると、また、どこかで痛い目にあわされるかもしれない。
| (岡山湯郷Belle) | (アルビレックス新潟レディース) | |||||||
| GK: | 福元美穂 | GK: | 大友麻衣子 | |||||
| DF: | 保手濱理恵、城地泰子、武者宏美、津波古友美子 | DF: | 井上光保(71分/詫間美樹)、東山真依子(69分/退場)、田中桜、山本亜里奈 | |||||
| MF: | 田畑沙由理(36分/中川千尋)、松田望、有町紗央里(75分/加戸由佳)、宮間あや | MF: | 江橋桂、川村優理、上尾野辺めぐみ、牧野愛美(82分/與山このみ) | |||||
| FW: | 田中静佳(86分/中田麻衣子)、中野真奈美 | FW: | 菅澤優衣香、中島未来(82分/中村早樹) | |||||
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