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「カモメが飛んだ全国へ」ニューウェーブ北九州、逆転優勝で初の地域決勝へ 〜V・ファーレン長崎、3位で今年も昇格逃す
全国社会人大会の組み合わせ表。この全試合を5日で消化。地域決勝への1枚の切符を賭け争ったが。
第35回九州サッカーリーグ(Kyuリーグ)第22節 V・ファーレン長崎vsホンダロック

2007年10月28日(日)14:00キックオフ 北九州市本城陸上競技場 天候:晴
試合結果/長崎2−1ホンダロック(前半0−1、後半2−0)
得点経過/[長崎]ブルーノ(81分)、佐野(83分PK)、[ホンダロック]前田(35分PK)


文/ふかえまさひろ

「前半終了 ホンダロック3−0新日鐵大分」。
 10月27日14時、ホンダロック携帯サイトに映し出された文字。そのとき私は別用で氷雨降る仙台にいたが、もう後半は見る必要なかった。この日のホンダロックの敗戦にかすかな可能性のかかっていたV・ファーレンのJFL昇格の夢は、その瞬間完全に終わった(最終スコアはホンダロック3−1新日鐵大分)。

 Kyuリーグでの自力での2位以内、地域リーグ決勝大会への道がなくなっていたV・ファーレンにとって、10月13日から大分で開催された全国社会人(優勝で地域決勝出場権)は自力で出場権獲得できる最後のチャンスだった。

 国体少年サッカーのプレ大会でもあり、決勝まで行けば5日で5連戦という、正気の沙汰とは思えないレギュレーションの中、10月14日(日曜)の2回戦では主力を帯同させなかった松本山雅(北信越優勝)相手に終了直前での同点ゴールからGK丹野の活躍でPK勝利。続く3回戦は、北信越リーグ4位に終わり、こちらも全社に賭けていたツエーゲン金沢相手に2点差をひっくり返す番狂わせを演じたYSCC(関東)相手だったが、YSCCの選手の多くが月曜からの仕事のため帰京したのもありこの試合にも勝利。

 だが、火曜日の準決勝でFC Mi-oびわこKusatsu(関西)相手に、後半失った1点が返せず敗戦。昨年の地域決勝で涙を飲んだのと同じ大分スポーツ公園サッカー場で、昨年FC岐阜監督だった戸塚哲也コーチ率いる相手にまたしても味わう屈辱。東海2位で地域決勝出場権を持つ矢崎バレンテが決勝に上がってきただけに、結果的にMi-oに勝ちさえすれば地域決勝へ行けたのだが、むなしさと後悔だけが残る結果に。

 そして10月27日のニューウェーブ北九州とホンダロックの勝利で地域決勝粋2チームが確定し、2007年のKyuリーグ、最終節の北九州・本城集中開催の焦点は優勝の行方のみに絞られることになった。


最終戦、長崎の逆転勝ちで北九州の初優勝が決定。スタンドでは選手席に北九州サポーターがなだれ込み歓喜の渦に
 前日の仙台と違い穏やかな秋の空広がる10月28日、午前中の試合でニューウェーブ北九州は降格の決まった熊本教員相手に快勝して勝ち点54とした。この後、ホンダロックが90分負けか、PK負けなら北九州が優勝というシチュエーション。正午過ぎ、本城陸上競技場前の芝生広場でV・ファーレンの選手たちがアップを始めたが、夢絶たれすべてが終わった後だけに、掛け声さえも上辺だけという感じで生気がないのは明らかだった。

 14時、北九州の選手らも見つめる中、Kyuリーグ最後を飾る試合が始まると、そんな心配は杞憂だったのか、それとも失う物がないものの強みか、V・ファーレンが立ち上がりから積極的に仕掛けていく。竹村が、佐野が、久留が、原田が、有光が、ミドルありGKとの1対1あり、と積極的にゴールを狙う。しかし、この日もゴールが遠い。試合は支配してもゴールを奪えない、今年の戦いそのままの試合。

 そうこうしていたら33分、右コーナーそばからのFKに対するゴール前の競り合い、ホンダロックの水永が押し出される形で倒れたところ、主審の手が指差した先はペナルティスポット。してやったりのホンダロック選手、長崎の選手は抗議するが、その抗議もどこか力なさげだ。こうして得たPKを前田が決めてホンダロックが先制。優勝に王手、かと思われた。


逆転勝ちで最後を飾った長崎。選手らには安どの表情も見られる中、佐野は感極まった表情でしばらく頭を上げることが出来なかった
 後半早々、長崎はこの日コンビネーションが機能してなかった首藤をブルーノに変えるものの、そのブルーノも前線での動きが少なく、攻撃もペナルティエリア近くまで行くが守りを固めたホンダロック相手にシュートまでいけない展開、そうこうしていたら65分、後ろからのパスをダイレクトで放った木下のシュートがゴールへ。GK丹野が掻き出し事なきを得るが、まるで今年の戦いぶりのおさらいのようなシーンだった。それでも、この日の長崎の選手はあきらめなかった。こんなもんじゃない、という自らの実力を証明するためか、前線の交代もあいまって、貪欲にゴールを狙っていった。そして81分、右サイドからの原田のクロスをブルーノがドンピシャヘッドで同点に追いついた。

 その瞬間、本城のスタンドに巻き起こった大歓声。今日こんなに長崎のサポが来てたのか?驚いて振り返ると、そこには大騒ぎする北九州の選手が。さらにその直後、今度は長崎にPKチャンス。これを佐野がゴール右隅にしっかり決め逆転するとスタンドは騒然。試合終了の笛は観客の歓声と北九州選手の雄たけびにかき消された。

 結局、長崎の意地とプライドの勝利がホンダロック優勝の夢を打ち砕き、北九州に大逆転優勝をもたらした。試合後には、間違いなく最初で最後であろう、北九州の選手サポーター一同による岩本長崎コールまで飛び出し、2007年のKyuリーグは幕を閉じた。

 この結果、初の地域決勝進出を優勝で飾ったニューウェーブ北九州は、地域決勝も予選4組の中では一番楽と思われる組み合わせに恵まれた。スタンドには「カモメが飛んだ全国へ」の横断幕もかかっていたが、カモメ(ニューウェーブのマスコット)は初の全国の舞台でどこまで羽ばたけるか。

 一方、逆転2位に終わったホンダロックは、現JFLになってからは過去どこも成し遂げていないJFL「復帰」がかかるが、予選リーグはファジアーノ岡山、グルージャ盛岡と同組という厳しい組に。しかし、直前大量補強で組織を崩壊させた去年の長崎の過ちを犯してない(犯せないよう登録ルールも変わった)し、ここは昨年の地域決勝進出2チームを破り今年のKyuリーグを勝ち抜いた自信を持って、なんとしてもJFL昇格を果たしてほしい。


北九州優勝の呼び水となった貴重な同点ゴールを決めたブルーノ(長崎・元東京V練習生)を水原(北九州・元東京V)がねぎらう。
本城の空に舞う与那城ジョージ監督。守備中心にチームを建て直し、初の地域決勝へ羽ばたく
 さて、「覚悟の年」と位置づけた3年目もJFL昇格が果たせなかったV・ファーレン長崎。一昨年、同じKyuリーグでJFL昇格を争って戦ったロッソ熊本が2008シーズンからのJ2入りが確実な中、何がこうも大きな差をつけたのか。

 サポーターから絶大すぎるほどの支持を得ていた岩本監督、確かに人間的に熱い人であることはわかるし、今期途中からは本業を休職し無給状態でチームを率いていた苦労も試合翌日に報じられた。当然、1人だけの責任ではないだろうし、私も岩本監督だけに責任を問うつもりは全くない。問えるほどの人間でもないし、伝えられる上辺の情報しか知らないのもあるし。

 ただ、前述したロッソ熊本はKyu時代から全員プロで昼間の練習を当たり前にやっていた。しかし、長崎は結果的に今年もプロアマ混合体制で臨み、個の能力で下位相手には大勝することもあったが、上位2チーム相手に90分勝ちは昇格の希望が消えた後の最終戦のみ。組織としての強さを今年は去年ほど正直感じられなかったし、知人からもその指摘を多く受けた。今思えば、開幕第2節、海邦銀行に圧勝した直後の帰りがけ、試合を見ていたサッカー関係者が「長崎ぜんぜんダメ」といっていたのを思い出す。

 そして走り負けするシーンも何度もあった。体力不足で集中力も切れるのは、後半立ち上がり15分での長崎の失点が6、後半全体の失点10(ちなみに北九州は年間通しての失点が8)というのが何よりも物語っている。去年の地域決勝の教訓として、「プロ監督」「昼間の練習」というのがあったと耳にしたが、結果として今年もその体制が変わったとは聞かない。

 また、本質から逸れるかもしれないが、私含めて選手を後押しするサポートが果たしてできたのだろうか。どこかで自己満足に浸ってた点はないだろうか。今いるのはアマチュアリーグ。相手も苦労してサッカーやってる仲間。その視点は欠如してなかっただろうか。

 春先から監督解任、選挙出馬と落選など、あまりにも試合以外の点でいろんなことがありすぎた。しかし「昇格」を至上命題として出来たチームなのに来年も九州を抜け出せない。Jを目差すと言い続けるのであれば、このままの体制では周りに対し説得力はない。冷たい冬に向けて改めてV・ファーレン長崎の存在意義とこれからが問われる。果たして、この1年の意味はなんだったのか。そんな3年目になってしまった。








(V・ファーレン長崎) (ホンダロック)
GK: 丹野研太 GK: 川島正士
DF: 梶原公 久留貴昭 加藤寿一 DF: 澤村憲司 谷口研二 白川伸也 浅田祐史
MF: 立石飛鳥(89分/伝庄優) 原田武男 田上渉 竹村栄哉(73分/小田幸司) 佐野裕哉 MF: 南光太 水永翔馬 前田悠佑(88分/池田竜市) 山下優一郎
FW: 有光亮太(73分/石川高大) 首藤啓祐(52分/ブルーノ・カルバリョ) FW: 木下健生 下木屋翔(61分/原田洋志)
SUB: GK近藤健一 DF堀川純一 大久保龍太 SUB: GK山田正吾 DF猿渡裕二 竹井竜太 井戸川一徹 FW大脇辰也
優勝カップを掲げる藤吉。プレーでも精神的にもチームを引っ張った。さあ、再び全国へ。
鹿児島を長年支え続けた「キング」西真一。266点の大記録を残し、ついに引退することに。

【2007Kyuリーグ 最終結果】
優勝: ニューウェーブ北九州(初:勝ち点54)
2位: ホンダロック(52)
3位: V・ファーレン長崎(50)
4位: 新日鐵大分(37)
5位: ヴォルカ鹿児島(33)
6位: 沖縄かりゆしFC(32)
7位: 三菱重工長崎(26)
8位: 大隅NIFS(19)
9位: 海邦銀行(15)
10位: 熊本教員蹴友団(6)
11位: 七隈トンビーズ(6)
※熊本教員と七隈の自動降格が決定。海邦銀行は県リーグ決勝大会を勝ち抜いたチームと入れ替え戦を戦う予定

得点王: 西真一(鹿児島:23点。2年連続9回目)
アシスト王: 佐野裕哉(長崎:13アシスト)
MVP: 桑原裕義(北九州)
フェアプレイ賞: V・ファーレン長崎
功労賞: 西真一
鹿児島:リーグ通算266点。これは日本記録。なお、翌日の地元紙に現役引退の記事が掲載されました



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