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カターレ富山、初陣に臨む −2008年JFL開幕戦−
JFL前期第1節 カターレ富山vs.ニューウェーブ北九州
2008年3月16日(日)13:00キックオフ 富山県総合運動公園陸上競技場 観衆:10,704人 天候:晴れのち曇
試合結果/カターレ富山2−2ニューウェーブ北九州(前0−0、後2−2)
得点経過/[カターレ富山]長谷川(54分)、[ニューウェーブ北九州]藤吉(65分)、富士(66分)、[カターレ富山]堤(88分)
文/iso
今年のJFLは、昨年ダントツで優勝したSAGAWA SHIGA FCやHONDA FCなどのアマチュア強豪チームに加え、Jリーグ準加盟チームが5チームあり、激しい優勝争いが予想される。また、2〜3年前に加入してきたチームがJFLに慣れてきたことや、昨年、下位に低迷していたチームの巻き返しが期待できるため、昨年以上の戦国時代を予感させるシーズンである。
さらに、話題性としてもJリーグ入りを目指すサクセスストーリーだけでなく、FC琉球が元日本代表監督F・トルシエ氏を総監督に招聘したことや、五輪代表候補の流通経済大学GK林選手のことなど、ワールドワイドな話題があり、より一層、華やかな舞台となってきた。
さて、昨年までJFLで戦っていた富山県の2チーム、アローズ北陸(昨年4位)とYKKAP(昨年6位)が合併し、Jリーグ入りを目指すカターレ富山(以降、カターレと呼ぶ)となった。富山県サッカ−協会主導で計画されたこの合併に、富山の経済界も協力し、富山県内有数の企業が出資した運営会社がチームを支える。新聞、テレビなどでも毎日のようにカターレの話題が流れ、富山全体でチームを応援しようという雰囲気ができつつある。Jリーグ準加盟も承認され、後は、4位以内の成績と観客3,000人以上という目標に向かって突き進むだけである。
チームは、監督、コーチ、選手とも、YKK AP(以降、YKKと呼ぶ)、アローズ北陸(以降、アローズと呼ぶ)からの移行組を中心に、5名の新加入選手を加えた編成である。YKK,アローズからは、多くの主力選手が揃い、スタメンの座をかけてしのぎを削る。新加入の選手はJリーグのチームからの移籍であり、チーム内ではさらなる競争が予想される。
一方のニューウェーブ北九州(以降、ニューウェーブと呼ぶ)であるが、地域リーグからの昇格組であり、Jリーグ準加盟チームでもある。2001年設立の比較的若いチームであるが、U-18などの下部組織を持っており、本格的にJリーグを目指していることが伺える。チームには、Jリーグ経験者が多く、試合巧者が揃っている印象を受ける。
試合開始2時間前のスタジアムには数百人の観客が開門を待っている。この日は、1万人を越える観客がつめかけ、カターレを後押しする。過去の富山開催の試合をふりかえると、Jリーグや天皇杯では1万人以上の観客となることもあったが、まさかJFLで1万人入るとは想像もしていなかった。カターレに対する富山の人の期待の高さが伺える。
一方、ニューウェーブのサポーターは20人程度と、数では圧倒的に負けているが、大きな声でチームを応援する。両チームともJリーグを目指していることからも、共に負けられない試合である。
カターレは基本布陣4−4−2。GKには、元YKKのGK中川。DFには、右から小田切,濱野、堤と元YKKの選手に、新加入のDF田中を加えた4バック。守備的MFには、元アローズの渡辺、上園。サイドMFには、右にカン、左に川崎の新加入選手が入る。2トップには、元YKKの長谷川と元アローズの石田。カンと川崎のスタメンには少々驚いてしまった。8日間で3試合あることから、守備陣を元のチームのブロックで固め、安定させるということなのかもしれない。まだ試行錯誤している状況が伺える。
そして、ニューウェーブは基本布陣4−4−2。MF桑原を軸にGK水原、DFドグラス、FW藤吉と、元Jリーガーで中央ラインを固め、新加入のMF佐野を右サイドで起点とする。Jリーグ経験者を中心とするチームでは往々にして個人技にはしりがちになるが、このチームはどうであろうか。
前半、立ち上がりから両チームとも積極的に攻めにでるが、選手の連携が悪く、パスミスやパスカットが連続して落ち着かない。新チーム初陣のカターレ、JFL初参戦のニューウェーブとあって、両チームとも緊張しているのであろうか。カターレは、中央にいる上園を経由して、中央,サイドとショートパスを繋いでリズムを作っていく。YKK、アローズ共にショートパス主体のチームであったことから、新しいチームになってからも違和感は無い。
ニューウェーブは、2人の守備的MFの桑原、小野を中心に中央を支配し、藤吉が前線で待ち構える。右サイドの佐野がアクセントになってリズムを作る。
カターレ6分、右サイドからのFKを川崎が中央へフィードするがニューウェーブ守備陣が跳ね返す。このこぼれ球を渡辺が拾い、すかさず右サイドのDF裏へスルーパス。川崎が走りこみ、DFをかわしてシュートするもゴール左上へ外れる。
カターレ19分、左サイドからのクロスをゴール前で長谷川がヘディングシュート。力みすぎたせいかボールは真下のほうでバウンドし、フワリと浮いたボールが水原の上方へ上がる。これに石田が飛び込むが、先に水原がキャッチする。
ニューウェーブ21分、中央でボールを受けた藤吉が早いタイミングでシュート。これを西野がブロックし、こぼれ球をDFがクリア。ニューウェーブ28分、カターレのクロスを水原がキャッチし、すばやく右サイドへフィード。フリーになっていた藤吉に繋がり、カウンターとなる。カターレ守備陣がスカスカとなっているところに、藤吉がドリブルで持ち上がり、中央から猛然と駆け上がってくるFW中嶋めがけてクロスを上げる。中嶋の目前で中川が飛び蹴りでクリアする。
カターレはショートパスを繋ごうとするが、ニューウェーブの中央の守備が堅く、上園のところでボールが停滞してしまう。特に桑原のポジション、ボール奪取のタイミングが絶妙で、ニューウェーブの攻守の要になっている。カターレは仕方なく両サイドから中央へフィードすることになるが、ニューウェーブ守備陣に易々と跳ね返されてしまう。
ニューウェーブはボール奪取からすばやく藤吉、佐野にあずけ、速い攻撃を仕掛ける。カターレ守備陣は、人数をかけた粘り強い守備で、ニューウェーブのシュートやラストパスをカットする。中央を支配されても最後の一線だけは越えさせない。ニューウェーブは、コンビネーションはまだまだだが、個人技はカターレより上だけあって、少ない人数でチャンスを作る。
しかし、強引なボールキープや遠めからのシュートなどの個人プレーが目立ち、チャンスの割には得点の匂いはしない。また、ボールが落ち着かないこともあってか両チームともファールが多い。セットプレーを生かしたほうが主導権を握るという試合展開である。そんな中、ニューウェーブに前半最大のチャンスが訪れる。
ニューウェーブ39分、カターレのセットプレーを弾き返したボールが、ハーフラインを越えるロビングボールとなる。前線に1人残っていた中嶋が濱野と落下点で競り合い、濱野の裏をとった中嶋にボールが流れた。右サイドを上がってきた佐野に繋がり、一気に押し上げ、4対2のシーンを作る。佐野はドリブルで持ち上がり、クロスを上げるが、正確性を欠いたため中川がキャッチする。ゴール前へパスが通れば得点できたであろう。
ピンチの後にはチャンスが来るもの。カターレ43分、右サイドのFKからゴール前で濱野がヘディングで合わせる。ゴール左隅に決まるかと思われたが水原がダイブしてグロック。こぼれ球を押し込もうと堤が足を出すが、水原はボールを抱え込んでセーブ。両チームとも無得点で前半終了。
後半、ニューウェーブがいきなり仕掛ける。ニューウェーブ46分、自陣でボールキープからDF裏へ目掛けてロングフィード。カターレはDFラインを高くしオフサイドトラップを仕掛けながら、ロングボールを蹴らさないようにするのだが、それを逆手にとって、DF裏へ1人残してロングボールを入れる。カターレはオフサイドをアピールしてDFが足を止めたが、ニューウェーブはオフサイドにならないところから1人飛び出してボールを追いかける。慌てて中川が飛び出し、ペナルティエリアの外まで出てクリア。
ニューウェーブ50分、右サイドのFKを早いリスタートから中央へフィード。藤吉が小田切と競り合いながらヘディングシュート。こぼれ球がゴール前に流れるが、濱野がヘディングで中川に戻す。後半に入って両チームとも堅さがとれてきたようだ。
カターレ54分、右サイドのFKを川崎とカンがボールの傍でタイミングをはかっていたところ、ゴール前ですばやく長谷川が動き出し、それに合わせて川崎がフィード。長谷川がヘディングで合わせゴール!カターレ初得点は長谷川が記録した。
カターレはかさにかかって攻勢にでる。カターレ56分、中央左寄り約25mのFKをカンが直接シュート。GK正面にだったが水原がファンブルし、堤が詰めるも、先に水原がセーブし、事無きを得た。カンのシュートは変化していたようだ。
カターレ58分、左サイドのCKからニアサイドで堤が合わせるが、DFがブロック。ニューウェーブ61分、中央から右サイドへ展開し、中央へフィード。藤吉がDFの裏を抜け出し、シュートするもオフサイド。このプレーで、笛が鳴っていたにもかかわらずシュートしたため藤吉に警告がでた。ちょっと可哀相ではあったが、焦りがあったのかもしれない。
カターレ62分、右サイドのCKからゴール前で濱野がヘディングシュート。またもゴールの左側にとんだが枠を捉えられず、石田がダイビングヘッドで合わせようとするが、ラインを越えた。CKからのヘディングシュートは濱野の得意とするところだが、この日は惜しいところで決まらない。
チャンスを逃し続けると流れは変わるもので、ここからニューウェーブが反撃する。ニューウェーブ64分、右サイドのスローインから佐野がフリーでボールキープし、すばやく中央へフィード。ゴール前へ2人上がりDFと競り合いになり、GKも飛び出してきたところ、DFのクリアボールが浮き球となってペナルティエリアの外側へ流れる。これをダイレクトで小野がヘディングのループシュート。スローモーションのようにゆっくりとボールが飛んでいったが、ゴールを捉えられなかった。
この時間帯、カターレの足が止まりだし、カバーリングが甘くなる。ニューウェーブ65分、ペナルティエリアの外側で7,8人の混戦状態ができ、ボールの奪い合いとなる。ニューウェーブのパスをカターレがブロックしたところ、足先に当たったボールがDFの裏へ上がった。カターレはDFラインを上げており、オフサイドポジションにいた藤吉の目前にボールが落ち、軽く合わせてゴール!ニューウェーブにとってラッキーな同点ゴールとなった。ニューウェーブのパスは藤吉へのパスとは認めず、カターレがボールに触っていたことから、オフサイドにならなかったようだ。
これでカターレは集中力が切れたのか、たて続けに失点する。ニューウェーブ66分、左サイドのCKをショートコーナーから中央へフィード。ゴール前で富士が押し込んでゴール!あれよあれよという間の逆転劇である。これでニューウェーブは息を吹き返し、ペースを握りながら余裕の試合運びをする。カターレは攻めようとするが、足が止まりだし、焦りもあったためかパスが繋がらず、ちぐはぐなプレーが続く。
カターレ74分、西野,川崎に代わり木本,朝日が入る。4バックから3バックに変え、スピードのある攻撃的な選手を入れて勢いをつける。この交代策が当たり、一気にカターレが攻勢にでる。
カターレ77分、左サイドのスローインから左サイドラン際を朝日がフリーで抜け出し、ドリブルで持ち上がる。シュートを狙えたが、右サイドからダイゴナルにゴール前へ走りこんでいた木本ヘパス。木本はパスを受け反転しようとするが、後ろからDFに寄せられ、ボールをコントロールできずにラインを割ってしまう。この2人、狙いどころが合っており、2人だけでシュートまで持ちこめるのが魅力である。
カターレ82分、左サイドのFKを早いリスタートから木本が中央へフィード。DFがクリアしたボールを渡辺が拾い、右サイドへ展開し、朝日がフリーでシュートするも外してしまう。選手交代からカターレの攻勢が続き、ニューウェーブは足が止まりだすが無理をせずセーフティーに試合を進める。
ニューウェーブ83分、ゴール正面約25mのFKを佐野が直接狙うが、ふかしてしまう。ニューウェーブ86分、藤吉、森本に代わり宮川、森田が入る。フレッシュな選手を入れて前線でキープさせながら逃げ切りを考えた交代のようだ。これに対し、カターレはDFも上がって、なりふり構わず得点を狙う。
カターレ88分、左サイドのCKをカンがフィード。このとき、カターレの選手はゴールのファーサイドに固まり、ゴール前を空けて、誰に合わせるかわからない作戦をとった。これが功を奏し、ゴール前へ入った堤にピタリと合い、ヘディングシュートがゴール左に決まり、同点!この後も、カターレ,ニューウェーブともに攻めにでたが得点できず、同点のままタイムアップ。
両チームともこの結果には満足していないだろうが、Jリーグ入りを目指すライバル同士であることから、双方、負けなくてよかったと思うのが本心ではないか。カターレにとっては、最後に追いついての同点劇であったことから、今後に弾みがつくと思う。
ニューウェーブにとっては、JFLで戦う手応えを掴んだのではないか。最後に、この日初めてサッカーをスタジアム観戦した人達が多かったと思う。その人達にとって、この試合はとてもエキサイティングな内容であったと思う。これからも「こんなサッカーを観たい!」と思わせるような試合を期待している。ガンバレ、カターレ富山!
| (カターレ富山) | (ニューウェーブ北九州) | |||||||
| GK: | 中川 | GK: | 水原 | |||||
| DF: | 小田切、濱野、堤、田中(74分/木本) | DF: | 佐藤、ドグラス、永野、富士 | |||||
| MF: | カン、上園、渡辺、川崎(74分/朝日) | MF: | 佐野、小野、桑原、森本(86分/森田) | |||||
| FW: | 石田、長谷川 | FW: | 藤吉(86分/宮川)、中嶋 | |||||
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