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 webnews 06/01/13 (金) <前へ次へindexへ>
2度目の優勝を飾った日テレ・メニーナ。登録メンバー22名中、15名が
中学生
なでしこ予備軍・日テレ・メニーナ、全日本女子ユースを制す。
第9回全日本女子ユースサッカー選手権決勝 神村学園高等部vs.日テレ・メニーナ

2006年1月8日(日)11:00キックオフ 埼玉スタジアム2002 観衆:約200人 天候:晴
試合結果/神村学園高等部0−2日テレ・メニーナ(前0−2、後0−0)
得点経過/[日テレ]オウン・ゴール(14分)、嶋田(32分)


取材・文/西森彰

 華々しく行われている高校サッカー選手権の準決勝と決勝の狭間となった1月8日(日)、埼玉スタジアム2002では女子ユース年代最強チームを決定する、第9回全日本女子ユースサッカー選手権の決勝戦が行われた。

 今大会には、全日本高校女子サッカー選手権の4強と、各地区予選を勝ち抜いた11チーム、そして開催県として埼玉県代表・埼玉平成高校を加えた16チームが参加。4グループに分かれて総当りのリーグ戦を行い、各グループのトップチームだけが準決勝に進む。準決勝は全日本高校女子の覇者・神村学園高等部と東北第一代表・聖和学園高校、日テレ・メニーナとFCヴィトーリアの対戦。高校同士の対決は2対0で神村学園、クラブ同士の対戦は日テレが5対1でヴィトーリアを降し、それぞれ、決勝へと駒を進めた。

 高校チームNo.1対クラブチームNo.1の対戦となった決勝戦の観衆は、公式発表の約200名よりはだいぶ多かったように思えたが、それでも500名には及ばなかった。見る側の都合で言えば、もう少し小さなスタジアムの方が良いように思えるが、プレーヤーの立場からすれば、日本代表がワールドカップで戦ったピッチに立てるというのも、ファイナリストへのご褒美になっているのかもしれない。



日テレ・メニーナの原菜摘子(緑10)。このカテゴリーでの存在感は抜群
 さて、試合のほうは、前半から緑のユニフォーム・日テレが持ち前のしっかりとした個人技をベースに、ペースを握る。ダイヤモンドの4−4−2を形成する10人のうち、半数の5人が中学生。右サイドハーフの岩渕真奈にいたっては、中学1年生である。「却って向こうがやり辛かったかもしれませんが、ウチは練習試合を含めて大学生との試合もやっていますから」と、日テレの寺谷真弓監督は全く気にしていなかった様子。その一方、5人の高校生のうち4人はU-20日本女子代表のメンバーで、トップ下の原菜摘子はAFC選出の2005年度アジア最優秀女子選手である。

 これに対する赤いユニフォームの神村学園は4−2−3−1のシステム。岡山国体でも大活躍を見せたU-20日本代表の有吉佐織がトップ下、井手上麻子は右ウイングを務める。「有吉は守備意識も高めて欲しいのでトップ下に1枚で置いています。井手上は代表でもサイドバックをやっていますし、役割をはっきりさせてスピードを生かすために右で使っています」(池畑辰徳監督・神村学園)。守備のほうは日テレの2トップ、トップ下の原菜摘子をマン・マーク気味にケアしたが、しかし、相手のテクニックを恐れてかアプローチが遅い。なかなか懐に飛び込めず、その結果、イニシアチブを渡してしまった。

 日テレに先制点が生まれたのは、1対1など連続ピンチを凌いだ直後の14分。右サイドに開いてボールを受けた嶋田千秋が、飛び出したGKとDFに角度を狭められながらもシュートを放つ。これをクリアに戻った神村学園DFだったがひとり目が空振り、ふたり目がクリアしきれずゴールに蹴りこんでしまう。記録上はオウン・ゴールとなったが、全力疾走でカバーリングに戻った上でクリアミス。いなければいないで、そのまま入っていたはずだし、DFとしては何も恥じる必要はない。99%、嶋田のゴールと言って良いだろう。

 先制点を奪った日テレは、7分3分の割合でポゼッションを保ってプレーする。トップ下の原と両サイドハーフが絡みながら機を窺い、前線では先制点をあげた嶋田と永里優季の妹・永里亜紗乃が両サイドまで活動圏内に入れて動き回る。そして32分、最終ラインのDFとDFが空けた僅かなスペースに侵入した嶋田に、原からピンポイントのパスが入る。嶋田が相手DFの寄せよりも速く足を振りぬき、2点目。それまでの内容からも、このゴールで大勢は決したように見えた。



U-20日本代表の有吉佐織(赤・10)。光るプレーは見せたが・・・
 しかし、神村学園は夏の高校女子サッカー選手権で、常盤木学園高校に0対3から追いつき、PK合戦の末にこれをうっちゃった「高校女子サッカー界のリバプール」だ。鹿児島実業高校出身の池畑辰徳監督から、厳しい走り込みを課されてきた選手たちは、決勝戦の45分ハーフというレギュレーションを追い風に、反撃に出る。

 前半の45分間、ポジションチェンジを交えながら、気分良く攻撃をしかけていた日テレの選手たちは、それまでとは見違えるような出足を見せる神村学園の前に、苦しみ始めた。マーカーに加えて近くにいる選手がサンドして、各所で2対1の局地戦を作り上げる神村学園。原以外のMFは全て中学生の日テレは、神村学園が仕掛ける消耗戦に激しく疲労し、ボールをキープできるポイントがみるみる減っていく。セカンドボールをことごとく拾い波状攻撃を浴びせる神村学園に、勢いは来ていた。

 ここで日テレを救ったのが、キャプテン・島田知佳、佐藤芽衣の高校3年生CBコンビと、GK・小林詩織。果てることのない神村学園の攻撃をその都度、抑えていく。特にU-20日本女子代表にも選出された小林はPK戦をはじめ、至近距離からのシュートに滅法強い。決定機を2本、3本とビッグセーブする小林の姿は、神村学園の得点意欲を減退させたことだろう。45分間、ハーフコートゲームを強いられながら、許したゴールは0。前半にあげた2得点を守りきった日テレが、見事に優勝を飾った。



同じくU-20日本代表の井手上麻子(赤・14)右サイドを駆け上がる。
「後半は自分たちのサッカーがある程度までは、できていたと思いますが、そこでゴールを取りきれないのが課題ですね。チームが諦めないのは、僕が鹿児島実業出身なんで、松澤(隆司総監督)先生に言われたとおり『サッカーは気合だ』と、本当に走りこむからでしょうね。夏は2年連続で走りきって勝てましたが、冬はそう簡単にいかないので、攻撃のパターンを増やして、フィニッシュの精度を高めていたんですが」

 神村学園の池畑監督は残念そうに語ったが、監督就任以来2年連続で夏の選手権を制し、今大会も準優勝。立派な成績だろう。現時点でL・リーグに進路をとる3年生はふたりだけらしい。「こうして結果を残せているので、ありがたいことに大学から進学のお誘いも増えています。ウチの選手たちには、基本的に大学できっちりと勉強をして資格をとれるように薦めています。いきなりL・リーグに行っても試合に出れるかどうか分かりませんし、生活の問題もありますからね」と池畑監督。サッカーだけの人生を強制しないのも「松澤流」だろう。

 中高一貫教育の神村学園では、中学年代も一定の成果を残している。「中等部のほうは、もちろん勝つことも必要なんですけれども、サッカーを楽しむことを第一に技術を磨く。そして、高等部のほうは、勝つために必要なフィジカル、そして気合を僕が注入します(笑)」。平成11年、冬の選手権で準優勝に輝いた鹿児島実業のキャプテンは、平成18年、本州の最南端から夏の選手権三連覇を目指す。



ビッグセーブを連発したGK・小林詩織(水色・1)。日テレ・メニーナの
勝利に大きく貢献した。
ボールをキープする岩渕真奈(中央・緑22)は、まだ中学1年生。
 優勝した日テレ・メニーナは、ご存知のようにベレーザの下部組織である。「この大会で絶対に優勝するということ。そして、一番の目標であるベレーザへの昇格ですね。それも端っこではなく、伊藤香菜子のように昇格と同時にレギュラーをとれるくらいに」と寺谷監督。大きなトーナメントでの優勝と、日本一のチームで通用する個の育成は、バランスを取るのが難しい。ベレーザで三冠を達成した松田岳夫監督も「大きな目標に向かいながら、小さな部分もきちんとフォローしている。それは彼女の力あってのものだと思っています」と寺谷監督の指導力を称えた。

 今年のチームは特に1対1に主眼を置いて、ユースやジュニアユースのコーチングスタッフの協力も得ながら、トレーニングを積んできた。「皆さんの想像を絶するだけのことを課しています。でも、ウチには幸い、日本一の見本がいます。彼女たちは隣のグラウンドでもっと厳しい練習をしているベレーザの選手たちの姿を見ています。だから、似たような厳しいメニューを組むと喜ぶんですよ。『一人前扱いしてもらった』と思うらしいんですね」。直に日本最高峰の選手たちのトレーニングを見ることは、百万言を費やすよりも遥かに理解しやすい。

 彼女たちの日常の対戦相手は大学生チームや男子チーム。いくら技術があっても、成長盛りの子供たちにとって性齢の差は、とてつもなく大きいはずだ。単純な駆けっこやぶつかりあいでも大差がついて当たり前。それはフィジカルトレーニングどうこうで、詰まる差ではない。逆に言えば、この年代から果てしないフィジカル差を跳ね返してプレーすることはそのまま、彼女たちが将来対戦するであろうドイツ、アメリカ対策につながるのではないだろうか。

「もちろん、同世代相手に優勝することも、絶対に必要なことではありますが」と前置きして、寺谷監督もそこを強調する。「私が特に言いたいのはそこのところで、あの小林弥生なんかも、中学生の時に大学生を相手にプレーして、数メートルも吹っ飛ばされるようなことを経験しながら、今の強さがあるわけです。ひとつ上のレベルの相手と戦うと言うことは、今後を考えるうえで大切なことだと思いますね」。

 東京ヴェルディ1969のジュニアユースとトレーニングマッチもこなす、明日のなでしこ候補生たち。来期、ベレーザへの昇格が何人あるのかは全くの未定。しかし、どこのチームに行っても、通用するレベルにあることだけは確かだ。


(神村学園高等部)
GK: 佐々木香織
DF: 宮迫たまみ、成合瞳、柴田恵見、中島亜弥香
MF: 今井さゆり、大本倫、井手上麻子、有吉佐織、堂園彩乃
FW: 宮迫ふみか

(日テレ・メニーナ)
GK: 小林詩織
DF: 松原萌、島田知佳、佐藤芽衣、吉田百合奈
MF: 岸川奈津希、岩渕真奈(61分/高橋彩織)、小林海咲(89分/藤澤真凛)、原菜摘子
FW: 永里亜紗乃、嶋田千秋 
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