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 webnews 06/05/15 (月) <前へ次へindexへ>
180分間のレッスンを経て、さあ真剣勝負へ。
国際親善試合 日本女子代表vs.アメリカ女子代表

2006年5月9日(火)16:00キックオフ 大阪長居スタジアム 天候:曇
試合結果/日本女子代表0−1アメリカ女子代表(前0−0、後0−1)
得点経過/[アメリカ]カイ(66分)


取材・文/西森彰

 日本女子代表とアメリカ女子代表の第2戦は、キリンカップの前座試合として行われる。長居スタジアムには15,908人が入っていた。しかし、残念ながら、男女を通して初めてのAマッチを迎えるKK WINGに集まっていた観客と比べると、この前座試合に対する熱がほとんど感じられない。なでしこジャパンは、まず、彼らの興味をひくだけの戦いが望まれる。



 熊本のゲーム直後に移動を挟んで、中1日の強行スケジュール。フレッシュな選手を試すためにターンオーバーするか、それとも、第1戦の手応えが本物か試すために同一メンバーを使うか。2つの選択肢があったが、日本の大橋浩司監督は後者を選んだ。全く同じ先発メンバーでの4−4−2。対するアメリカも第1戦と同じ先発メンバーが9名で残りの2名も途中出場選手。こちらもチームの熟成を優先させた。

 キックオフからロングボールでアメリカが押し込みにかかったが、それは予想されたこと。日本は2日前と同じように、高い位置で磯崎浩美がラインをコントロールしようとチャレンジする。自陣に押し込まれっぱなしだった第1戦と違っていたのは、GK・福元美穂のパフォーマンス。持ち味となっている思い切りの良い飛びしで、ウラに蹴られたボールはことごとくクリアしたため、DFの走る距離が減らされた。当然、それだけ相手FWへの集中力は高まる。前線からのチェック、中盤での囲い込みも第1戦以上に厳しさを増し、アメリカの攻撃力を大幅に殺ぐことに成功した。

 攻撃面では、右サイドバックの安藤梢が、積極的に前へ出るシーンが目立った。大橋監督が初戦を前に指示していた「相手の左サイドが出てくるので、そこを守るだけでなく、逆に後ろを突いて引っ張り返す」動きがこの日は再三見られた。周囲の選手たちも、安藤のコンディションの良さを感じ、そのオーバーラップにあわせてボールを預けることで、右サイドから良い形の攻撃が増えていく。

 惜しむらくは序盤の逸機。磯崎のFKを大谷未央が競り勝って落とし、そこに走り込んだ大野忍のシュートが枠を捉えられなかった場面。そしてショートパスを交換して相手DFを翻弄し、右から澤穂希が上げたクロスに誰も合わせられなかった場面だろう。前半8分、9分という早い時間帯で得た2つのチャンスのいずれかをゲットしていれば、また試合の流れも変っていたはずだ。



 前半をシュート3本ずつ、無得点で折り返した両チーム。アメリカはハーフタイムに2人の選手交代を行ったが、日本の大橋監督はそのまま動かず。この試合のことだけを考えれば先に動いたほうが有利なのだが、ガソリンが切れるまでは選手交代をしない「トレーニングマッチ」に徹した采配だ。

 この試合唯一のゴールは66分に生まれた。右CKから、アリー・ワグナーとクリスティン・リリーのコンビで破ったアメリカが、この折り返しに合わせたナターシャ・カイのヘディングシュートでゴールネットを揺すった。直前にも福元のスーパーセーブで失点を逃れていた日本。アメリカのエース、アビ・ワンバックが下がった直後の1、2分だけ、やや集中力が切れた。

 失点後、安藤をやや前目に持っていき、3-5-2気味の布陣に変えた日本は、諦めずに1点を追った。途中出場組の荒川恵理子は2日前のゲームよりも動きに鋭さを増し、中盤に投入された宇津木瑠美、中岡麻衣子も的確なポジショニングと動きで、しっかりとバランスをとる。終盤、足が止まりかけたアメリカを日本が攻める、これまでと逆の場面が見られたものの、ゴールを奪うには至らず。第2戦も0対1、アメリカに連敗を喫した。


 この日の対戦相手は、アテネ五輪の金メダリストとその後輩たち。しかも「今年は恵まれたことに、ロサンゼルスを基点にして週4日から、5日ぐらいチームとして練習している」(ライアン監督)。体格、経験、そして練習時間の全てで上回るこの強豪と、90分間緊張したゲームを2本やれたことは、胸を張って良いと思う。

 3ラインのバランスをとりながら、スモールフィールドを作る。自分にも相手にもプレッシャーのかかる密集状態でプレス合戦を挑むのが、大橋ジャパンの基本コンセプトだ。この日は福元の飛び出しも効いて「ラインを上げて、ひとりでもふたりでも相手のFWをオフサイドゾーンにかけて10対9、10対8で戦う」(大橋監督)という狙いを、見事に具現化していた。

 公式記録に残っているボールポゼッションの数値は日本53.9%、アメリカ46.1%。ボールを「持たされている」時間がほとんど無かったことを考えれば、特筆すべきものだろう。それでも澤に言わせると「焦って蹴ってしまった場面が多かった」。このポゼッションサッカーの完成形を見るのが本当に楽しみだ。



 7月に控えるワールドカップ・アジア地区最終予選を兼ねた、女子アジアカップ2006。開催国としてアジアに新規参入するオーストラリアの存在を考慮しても、本大会出場枠2.5(除く中国)は、今のなでしこジャパンにとって、決して狭き門ではない。


(日本女子代表) (アメリカ女子代表)
GK: 福元美穂 GK: ソロ
DF: 安藤梢、磯崎浩美、岩清水梓、矢野喬子 DF: ミッツ、フリンポン(70分/ルペルベ)、ホワイトヒル、ランポーン(H.T/ロペス)
MF: 酒井與惠、宮間あや(54分/宇津木瑠美)、大野忍、澤穂希 MF: ボックス、ロイド(H.T/タープリー)、ワグナー(69分/オズボーン)
FW: 永里優季(61分/荒川恵理子)、大谷未央(80分/中岡麻衣子) FW: リリー、ワンバック(65分/ウェルシュ)、オライリー(54分/カイ)
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