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 webnews 06/06/02 (金) <前へ次へindexへ>
圧巻ブラジルトリオ。仙台が鳥栖を一蹴
2006Jリーグ ディビジョン2 第18節 サガン鳥栖vs.ベガルタ仙台

2006年5月28日(日)14:04キックオフ 鳥栖スタジアム 観衆:6,363人 天候:曇
試合結果/サガン鳥栖1−5ベガルタ仙台(前0−1、後1−4)
得点経過/[仙台]梁(10分)、チアゴ・ネーヴィス(46分)、[鳥栖]新居(61分)、[仙台]ロペス(66分)、熊林(80分)、ロペス(87分)


取材・文/中倉一志

「結果は大差がつきましたが楽なゲームではありませんでした。ただ今日は、我々が必要なことを見つけながらプレーが出来ました」。ジョエル・サンタナ監督(ベガルタ仙台))のこの言葉が全てを物語っている。ボールキープ率で上回ったのは鳥栖。シュート数は鳥栖の13本に対して仙台の10本。FKは鳥栖の7本に仙台の6本とゲームスタッツを見る限り、数字は鳥栖が上回っている。そういう意味では仙台にとって簡単ではない試合だったかもしれない。

 しかし、勝負所、いわゆるゲームの流れを抑えていたのは仙台だった。強力ブラジルトリオを擁する仙台の最大の武器はカウンター。そんな仙台にとっては先制点はどのチームよりも大きな意味を持つ。また、セットプレーからの得点が勝負の行方を左右することや、守るべきところと、攻めるべきところを的確に判断することは勝負の世界の鉄則。そのいずれも抑えていたのが仙台で、鳥栖はいずれも無警戒すぎた。得点差もさることながら、仙台は勝つべくして勝ち、鳥栖は敗れるべくして敗れた試合だった。



 この日、鳥栖はエース新居辰基がベンチスタート。狙いは0−0で試合を進めて勝負所での新居の投入から1点を奪うというものだった。しかし10分、先制点は仙台に生まれる。左サイドからのスローインを受けたボルジェスがペナルティエリアへ。鳥栖は警戒するあまりに全員の注意がボルジェスに集まる。ゴール前中央に選手を配置していたものの、そこへスルスルと上がってくる梁勇基の姿に誰も気づかない。ボルジェスが中央へ折り返した時点で勝負は決まった。

 立ち上がりこそ、両SBが高い位置へ顔を出す姿勢を見せていた仙台も、この1点でカウンター狙いの姿が鮮明になってくる。ボランチの千葉直樹と、CBの白井が鳥栖の2トップをマークする陣形は実質5バック。熊林親吾と梁勇基が2人だけの中盤の守備は機能しているとは言いがたく、バイタルエリアには大きなスペースが空いているが、そこから先は中へ絞って鳥栖の突破を許さない。昨年、圧倒的な強さでJ2を駆け抜けた京都を思わせる戦い方だ。

 そして鳥栖は仙台の術中にはまっていく。中盤に空いたスペースを利用してボールは回せるが、そこから先へ進めない。「前半は外側から攻めると、特に相手のSBの背後を突くというのが今日の戦い方の大きなポイントだった」(松本育夫監督・鳥栖)。しかし、中央からの攻めを何度も繰り返し、相手の壁を崩せず、遠目からシュートを狙うだけ。そしてボールを奪われてカウンターを喰らうパターンを繰り返す。ボールは持っていたものの試合は仙台にコントロールされていた。



 それでも差は1点。スペースへ飛び出せる新居の投入で活路を見出せる可能性は十分にあった。しかし46分、鳥栖の無警戒なプレーを突いて仙台が試合の行方を決定付ける2点目を決める。前がかりになって攻める鳥栖は1点が欲しいあまりに、前線に残るブラジルトリオのマークを外してゴール前へ人数をかける。するとクリアボールが前線に残るロペスの前にこぼれた。この時点で仙台の3人に対して守る鳥栖は2人。絵に描いたようなカウンターからチアゴ・ネービスが難なくゴールネットを揺らした。

 後がなくなった鳥栖は高地系治のポジションを上げて3バックにシステムを変更して攻めに出る。そして61分、新居が技ありのトラップでDFラインの裏へ抜け出して右足を一閃。ゴールネットを豪快に揺らす。ここから鳥栖がサポーターの大声援を受けて一気呵成にゴールへ迫った。しかし、仙台の守りは崩れない。ゴール前まで押し込まれるものの、局面で体を張り粘り強くゴールを守る。鳥栖にしてみればラストパスの精度に欠いたのが悔やまれる。

 そして66分、次のゴールを奪ったのは仙台だった。右からのCKがゴール前で待つロペスへ。マークについていた金裕晋をあっさりと振り切ってヘディングシュートを決めた。これで鳥栖の集中が切れた。80分、ペナルティエリア内にこぼれたボールにGK浅井俊光が不用意に飛び出したためにがら空きになったゴールへ熊林親吾がボレーシュート。87分にはCKを中央で待つロペスがノーマークでヘディングシュート。またもやGK浅井が不用意に飛び出し、無人のゴールにシュートが吸い込まれた。



 鳥栖は戦ってはいた。しかし、ブラジルトリオへの警戒が不十分で、先制点を奪われた焦りからかリスク管理を怠って攻め上がった。そしてセットプレーでのマークミスと、GKの不安定なプレー。これだけ重なってしまっては勝負にならなかった。また、足元から足元へとつなぐパスでは相手を崩せず、比較的スペースがあったように見えた仙台のSBの後ろのスペースを突くことも出来なかった。4月8日以来の敗戦はスコア通りの完敗だった。

「今日は選手たちがよく戦術を守ってくれた。守備の時のバランスが非常に良かった」と試合を振り返ったのはジョエル・サンタナ監督(ベガルタ仙台)。7人で守って、攻撃は前線のブラジルトリオに託すというスタイルが形として確立しつつあるようだ。特にJ2では反則とでも言えるブラジルトリオの破壊力は相手チームにとって脅威。首位を走る柏との勝ち点差6は縮まらなかったが、昇格争いの中心に躍り出ようとする勢いを感じさせる勝利だった。


●ジョエル・サンタナ監督(ベガルタ仙台)記者会見
●松本育夫監督(サガン鳥栖)記者会見


(サガン鳥栖) (ベガルタ仙台)
GK: 浅井俊光 GK: 高桑大二朗
DF: 長谷川豊喜 金裕晋 加藤秀典 地系治 DF: 中田洋介 木谷公亮 白井博幸 村上和弘
MF: 濱田武(75分/奈良ア寛) 尹晶煥 高橋義希 山城純也(53分/廣瀬浩二) MF: 千葉直樹 熊林親吾(86分/磯崎敬太) 梁勇基 チアゴ・ネーヴィス(74分/関口訓充)
FW: 鈴木孝明(45分/新居辰基) 山口貴之 FW: ロペス(88分/中島裕希) ボルジェス
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