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 webnews 06/06/07 (水) <前へ次へindexへ>
高らかになびくフラッグ。目指すは女王奪回だ。
復権へのマイルストーン。浦和、TASAKIをうっちゃる。
mocなでしこリーグ・ディビジョン1 第3節 TASAKIペルーレFCvs浦和レッドダイヤモンズレディース

2006年6月4日(日)11:30キックオフ アスパ五色 観衆:451人 天候:曇
試合結果/TASAKIペルーレFC1−2浦和レッドダイヤモンズレディース(前0−0、後1−2)
試合経過/[TASAKI]大谷(59分)、[浦和]北本(62分)、松田(72分)


取材・文/西森彰

 mocなでしこリーグは序盤の2節を終えて、連勝チームが3つ。日テレ・ベレーザ以外の2チーム、TASAKIペルーレFCと浦和レッズレディースが、この第3節に激突する。

 会場は淡路島のアスパ五色。兵庫・三宮からバスとタクシーを乗り継いで1時間半かかる。本州から見れば、お世辞にもアクセスが良いとは言えない。しかし、それは見方の問題。淡路島在住の方にとって今なおサッカーが身近にあるのは、ベッカムが泊まったホテルが残っているからではなく、TASAKIがこの地で定期的にゲームを組んでいるからだ。



TASAKIペルーレの選手たち。今シーズンから4−4−2で戦う
 TASAKIは今シーズンから始めた4-4-2。なでしこジャパンに多くの選手を召集されて、チーム作りが遅れたのは日テレと同じ。さらにチームの心臓部であるボランチのポジションから、今シーズンも柳田美幸を引き抜かれた。ユース代表のエース・阪口夢穂が加わったものの、これもコンディション不良で先発を任せるには心許ない。とにかく時間が足りなかった。

 そこで、磯崎浩美、下小鶴綾をセンターに据えた、なでしこジャパンと同じ4バックシステムで臨むことにした。これがものの見事に嵌って、シーズン到来を告げるなでしこスーパーカップで、日テレの公式戦連勝記録を止めた。それでも「あれは、たまたまああなっただけ。チーム作りがまだまだできていなかったし、勝算も成り立たなかった」と仲井昇監督。この早い段階で浦和との対戦は避けたかったはずだ。

 浦和も数人を代表に引っ張られてはいたものの、チームのベースは出来上がっている。もともと攻撃陣に多くのタレントがいたが、ここにゲームを作れる柳田が加入したことで輝きが増した。永井良和新監督が「今、調子が良い選手を並べたら、こうなった」という4-4-1-1気味のシステム。ストライカータイプの若林エリがサイドハーフを務め、両サイドバックが木原梢と岩倉三恵。誰が見ても、超攻撃的布陣だ。



 前半は完全なTASAKIペースだった。開始1分、ディフェンスラインからのロングボールを、大谷未央がDFを振り切って追いつきフリーでシュート。これがポストに当たったのを皮切りに、風上を利して攻め立てる。浦和の守備が、ボールを奪うことよりも、コースを限定することに集中していたため、余裕を持ってボールを回し、フリーの選手がゴール前にクロスを送る。

 34分、右外に逸れた鈴木智子のヘディングシュート。そして41分、ゴールバーの上を越えていった白鳥綾のヘディングシュート。このどちらかが入っていたら、試合の流れもまた違っていたかもしれない。前半、TASAKIの放ったシュート8本、浦和は43分に若林エリが放った1本だけ。しかし、スコアは動かない。

 浦和の選手たちも、ある程度までは耐える展開を予想していた。「前半はあまり良いデキではありませんでした。ただ今日はアウェーで相手が強いこともあったので『まずは守備的に粘っこく戦って0対0の時間を長引かせる。そうすれば、向こうにも焦りが生まれてくるはずだ』と思って、選手にもそう指示していました」(永井監督)。フィジカルに自信を持っているTASAKIのハイペースに付き合わず、スタミナを温存しつつ、時計の針を進めた。

 ようやく、TASAKIが浦和ゴールをこじ開けたのは後半に入った59分。山本絵美のコーナーキックから、大谷未央のヘディングシュートによる得点だった。喜びに沸くロゼカラーのユニフォーム。しかし、ここまで待たされたツケは確実に回ってきていた。



浦和イレブン。次節は日テレとの無敗対決に挑む。
 待望の先制点を奪ったTASAKIの仲井監督は、右のサイドハーフをディフェンシブな白鳥から、オフェンシブな阪口にリレーした。ボールの預けどころを増やして、しっかりとゲームをコントロールしようという狙いだ。しかし、そこまでパーフェクトな呼吸であわせていたプレスに、微妙なズレを生み始める。これは難しい時間帯に投入された阪口ひとりに責任があるのではなく、飛ばしてきたことによる疲れ、そして1点を奪った安心感も作用していた。

 逆に、点を取るしかなくなった浦和の選手たちに火がついた。「1点取られて、それまで守備重視の戦いをしていたのが、取りに行かなくちゃいけない展開になった。それを彼女たちが、すぐに切り替えることができた」。永井監督が振り返ったように、失点を境にして、明らかに動きの質、量が向上した。最前線から素晴らしい出足で、ボールを奪いに行く。

 その気迫、そしてプレッシャーがTASAKIの選手のミスを誘う。失点から僅か3分後に生まれた北本綾子の同点ゴール。そして、左サイドの位置から、秋山智美の頭上を抜いた松田典子の逆転ループ。フォアチェックに焦った相手のクリアミスを拾って奪った2得点は、「2本とも思い切りの良いシュートだったと思いますね」と永井監督が笑顔で振り返る、きれいなシュートによってもたらされた。

 逆転されたTASAKIも、もう一度ゴールを奪おうと前に出たが、赤いユニフォームの厳しい寄せが自由を奪う。アウト・オブ・プレーにきっちりとプロっぽく時間をかけた浦和は、最後までしっかりとした足取りで逃げ切った。



さすがの浦和サポもアスパ五色は遠い?
「どちらも慌てるような場面ではなかった。あの2失点は、完全にウチのディフェンスラインのミスです」

 仲井監督が悔しがったとおり、前半はパス回しで交わせていた場面だった。ひとりひとりがボールを受ける位置に戻りきれなかったこと。そして、浦和の出足が急にペースアップしたこと。それが致命的な2失点につながった。プレスで張り倒していた前半にゴールを奪えなかったのも痛かった。

 ベンチに座った選手5名のうち、大石沙弥香以外の4人は今シーズンからの新戦力。選手層は厚みを増しているし、新しいシステムへの挑戦は大きな可能性を秘めている。「まだまだチームが完成していない。リーグの序盤はこんなもんかな」と仲井監督。伸びしろは十分にある。3クール戦える利点を生かし、必ずや優勝争いに顔を出してくるはずだ。



 浦和は絵に描いたような逆転勝利。相手のガソリンが不足してきた時間帯に、ラストスパートがきれいに重なった。この日のゲームでは目に見えた結果を残すことはなかったが、前目に位置した5人が頻繁にポジションチェンジを繰り返すなど、新しいことに挑戦する姿勢を覗かせてくれた。注文相撲で奪った勝ち点3だが、それを引き寄せる努力もまた確実に存在していた。

 何より大きな収穫は「今日のように、TASAKIが相手でも『やりようによってはやれる』という自信を得た」(永井監督)ことだろう。プライドを取り戻した一昨年の女王は、昨年一度も勝てなかった日テレとの無敗対決に挑む。「ホームですし、良いゲームを皆さんにお見せしたいですね」。永井監督は闘志を覆い隠し、簡潔に抱負を語った。

 首位決戦は6月10日(土)の15時、浦和ファンにとっての聖地・さいたま市駒場スタジアムでキックオフされる。


(TASAKIペルーレFC) (浦和レッドダイヤモンズレディース)
GK: 秋山智美 GK: 山郷のぞみ
DF: 甲斐潤子、磯崎浩美、下小鶴綾、佐野弘子(78分/河上恵実子) DF: 木原梢、田代久美子、森本麻衣子、岩倉三恵
MF: 白鳥綾(61分/阪口夢穂)、新甫まどか、中岡麻衣子、山本絵美 MF: 高橋彩子、若林エリ、松田典子(89分/保坂のどか)、柳田美幸
FW: 大谷未央 鈴木智子(70分/大石沙弥香) FW: 北本綾子、安藤梢
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