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 webnews 06/06/13 (火) <前へ次へindexへ>
一昨年の女王と、昨年の女王が3戦全勝同士で対決。
序盤の天王山「駒場決戦」はともに譲らず。
mocなでしこリーグ・ディビジョン1 第4節 浦和レッドダイヤモンズレディースvs.日テレ・ベレーザ

2006年6月10日(土)15:03キックオフ 駒場スタジアム 観衆:2,198人 天候:曇
試合結果/浦和レッドダイヤモンズレディース1−1日テレ・ベレーザ(前0−0、後1−1)
試合経過/[浦和]北本(48分)、[日テレ]澤(71分)


取材・文/西森彰

 前夜に開幕したワールドカップを横目に、mocなでしこリーグは第4節が行われた。ディビジョン1は土日の分割開催で、首位を行く日テレ・ベレーザと2位の浦和レッズディースの試合だけが、土曜日に行われる。浦和の主催ゲームは全て有料開催だが、首都圏のJクラブ運営チームによる全勝対決の好カード。駒場スタジアムには2,198人のファンが足を運んだ。

「やっぱりこうやって土日に分けてもらえると、たくさんの試合を見ることができるから良いですよね」とは、駒場のスタンドに顔を出した、なでしこジャパンの大橋浩司監督。翌日は三木総合防災公園陸上競技場に向かったらしい。女子ワールドカップのアジア地区予選を兼ねた、女子アジア選手権は7月下旬にオーストラリア開催。代表選手たちの動きは、やはり気になるのだろう。

 その大橋監督から、前節のTASAKIペルーレFCと浦和の試合内容を尋ねられ「前半は完全にTASAKIペース。後半、足が止まったところでの逆転勝ちでした」と答えていたのだが、この日の浦和はまるで逆のペース配分だった。



 キックオフから、とにかく鋭い出足で、日テレのパスワークを上回る。オールコートでプレスをかける浦和は、最初の5分間、日テレに全くサッカーをさせなかった。そしてボールを奪うと、前線から両サイドに動いてボールを引き出す安藤梢にボールを預ける。サイドハーフの若林エリ、そしてサイドバックの木原梢も積極的にプレーへ絡む右翼の動きが活発だ。

 日テレは川上直子が酒井與惠と並ぶダブルボランチで先発。「とにかく今シーズン、セカンドボールが拾えず、苦しい戦いを強いられている。そこで、人に強い川上のポジションを上げて、中盤でこぼれ球を拾ってもらうことを期待しました」と日テレの松田岳夫監督は説明してくれた。「セカンドを拾ってくれるので、やり易い」(永里優季)と、前線の選手からもこの布陣は好評だ。

 左サイドでのプレーが続いていた中地舞が4バックの右に戻り、左にはサイドからゲームの組み立てを期待して、宇津木瑠美が起用されたが、このサイドを浦和は執拗に狙う。タイプの違う選手が次々に仕掛けてくるのだから、DFも気の毒だ。「あれだけ、最終ラインが1対1で苦しむと、他のポジションの選手もフォローに行くしかない。当然、バランスも崩れてしまう」と松田監督。

 日テレも苦しいゲーム展開の中から、決定機を作り出す。11分、近賀ゆかりからのスルーパスを受けた、大野忍がフリーでシュート。16分にもバイタルエリアでのダイレクトパスを交換しながら抜けた澤穂希がシュートを放つが、いずれもなでしこジャパンの正GK・山郷のぞみがセーブする。守護神のセーブに救われながら、田代久美子と森本麻衣子の両CBはラインを高く保ち、裏のスペースは山郷に委ねる。

 32分に澤にゴールネットを揺らされたものの、その前にオフサイドの判定。浦和も柳田美幸が安藤梢を使ったワンツーで、日テレの最終ラインを破り、シュートを放つが、これもゴールバーに嫌われる。フォアチェックでボールを奪った大野のパスがやや後ろに入り、永里優季のシュートもポストの右外へ。前半はどちらも得点を挙げることができなかった。



オーロラビジョンが使用され、アウェーチームのファンは出島へ。J仕様だ。
「確かに前半はいくつか決定機が訪れていましたが、そのほとんどは偶発的に生まれたもの。こちらが意図して崩したシーンは多くなかった。相手が蹴ってきてもきっちりとつないでいくようにしたかったが、流れに巻き込まれてしまっていた」。前半の戦いぶりに不満を持った日テレの松田監督は、ハーフタイムを挟んで荒川恵理子をピッチに送り込んだが、先制点は浦和に転がり込んだ。

 右に流れた安藤がスローインのボールを受け、相手のマークを振り切ってセンタリングを上げると、ここに飛び込んだのは北本綾子。日テレDFと激突して、しばらくピッチに伏せたまま、という代償を負ったものの、頭に当てたボールはきっちり日テレのゴールネットを揺らしていた。徹底した右サイドの攻撃が得点につながった。

 浦和は先制後も互角の勝負を繰り広げていたが、先週のTASAKIと同じように、60分を過ぎる頃から、運動量が目に見えて落ち始めた。永井良和監督は若林を中池桃子に交代し、中盤にガソリンを注入したが、網の目は時間とともに広がっていった。日テレの選手たちが、時間とともに自由を取り戻していく。

 そして、荒川にボールを集め、ここを起点として反撃に転じる。ポストプレー、そして振り向いてのシュート…。荒川が見せるパフォーマンスに抗しきれず、それまで高い位置を保ってきた浦和の最終ラインが、ジリジリと押し込まれ始めた。そして、選手たちの意識が荒川に集中させられた瞬間、一番警戒していたはずの選手をフリーにしてしまっていた。

「物凄く大きな声が聞こえてきたんです。(利き足と逆の)左に来たので一か八かだったんですけれども、上手く決めてくれました。本当に『澤さまさま』ですね」(川上)

 川上から送られたボールは決して合わせやすいものではなかったが、澤は前進していた山郷の頭越しに絶妙のループシュートを見舞う。「ウチのポジショニングにも問題はあったでしょうけれども、『さすが』の一言じゃないですか」と永井監督も感嘆したゴールは、試合を振り出しに戻した。

 その後、ロスタイムの5分間も含めて、最後まで勝ち点3を目指した両チームだったが、結局ドロー。文字通りの痛み分けに終わった。



 日テレ、TASAKIとのゲームを消化して3勝1分け。浦和は絶好のスタートを切った。「負けはしなかった。次につながる試合だったと思う」と北本。「ホームで皆さんの応援があったので、勝てれば良かった。ただし、次とプレーオフで試合がありますので、最低限の結果は残せたと思います」と柳田。浦和の選手たちからは、このドローという結果に対して、概ねポジティブな言葉が残された。

「選手が本当に頑張ってくれている。だから順調といえば順調ですね。ただ、まだまだ先は長い。今日は前半、ちょっと前がかりになった部分はありましたけれども、最後まで渡り合えていたと思います」と永井良和監督も、ここまでの流れを満足げに振り返る。

 この好成績は新加入の柳田がもたらしたと言っても良いだろう。ボールの預け所が増えたことで、周りの選手たちが後ろを振り返ることなく、勝負できるようになった。守備面では、まだまだ山郷頼みの部分も大きいが、現状の攻撃的なシステムではある程度目をつぶらざるを得ないのも事実。山場の連戦で、致命傷を負うことなく乗り切った後は、「確実に勝ち点3を積み上げる」という新たなテーマが待っている。



駒場のメインスタンドも赤く燃えた。
 一方の日テレは、試合後のクールダウンを行う仕草からも、へこみムードが漂う。「このチームは絶対に負けが許されないし、引き分けも許されないと思いますから」と川上。「リーグ戦全勝優勝」という目標が早くも4戦目で絶たれたわけだから、それも無理はない。ただ、気持ちを早く切り換える必要がある。リーグ優勝さえ、まだ約束されたわけではないのだ。

 昨シーズンは日テレの対戦相手はほとんどがベタ引き覚悟で、ゴール前にスペースを与えないことだけに腐心していたが、今シーズンは違う。「相手が日テレを怖がることなく、サッカーをするようになってきた」と大橋監督が分析するとおり、どのチームも勝ち点3を奪う対象として、果敢に挑んでくるようになっている。ひとつにはリーグ全体のレベルが向上したこと。そしてもうひとつはなでしこスーパーカップの敗戦で「日テレも無敵じゃない」と気付かせたことだろう。

 年明けから年代別代表やなでしこジャパンの試合で選手が召集され、ミニゲームさえおぼつかない期間もあった。「相手もそれは同じ条件ですから。ただ、これだけ守備が不安定なのは大誤算。そこのトレーニングに割く時間が少なかったことが影響しているのは事実です」(松田監督)。有力選手を抱えているクラブゆえの悩みは、今年は一年間つきまとう。

 キャプテンの酒井に「第三者としては、これくらいもたついてくれないとリーグが詰まらなくなっちゃうんですが」とジョークを言ったら「もちろん私たちは独走が良いんですが、まだまだ自分たちで自分たちの首を絞めている部分がありますね。簡単には勝たせてくれないのは分かっているし、その中で徐々に良くなっていくと思います」と笑顔で返された。一見、窮地に立っているようでも、まだまだ女王には余裕がありそうだ。


(浦和レッドダイヤモンズレディース) (日テレ・ベレーザ)
GK: 山郷のぞみ GK: 小野寺志保
DF: 木原梢、田代久美子、森本麻衣子、岩倉三恵 DF: 中地舞、岩清水梓、四方菜穂、宇津木瑠美
MF: 高橋彩子、若林エリ(57分/中池桃子)、松田典子(71分/法師人美佳)、柳田美幸 MF: 川上直子、酒井與惠、近賀ゆかり(H.T/荒川恵理子)、澤穂希
FW: 北本綾子、安藤梢 FW: 永里優季、大野忍
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