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開催国ドイツの夢破れる。イタリアが決勝の地・ベルリンへ!
FIFA WORLD CUP GERMANY 2006 準決勝 ドイツ代表vs.イタリア代表
2006年7月4日(火)21:00キックオフ ドルトムント・FIFAワールドカップスタジアム 観衆:65,000人
試合結果/ドイツ0−2イタリア(前0−0、後0−0、延長前半0−0、延長後半0−2)
得点経過/[イタリア]グロッソ(119分)、デルピエロ(121分)
文/西森彰
伝統国同士の対戦となった準決勝第1試合・ドイツ対イタリア。試合開始前から、いくつものジンクスが取りざたされていた。ドイツにとって最もポジティブな要素は、FIFAワールドカップスタジアム・ドルトムントと呼ばれている、旧名ヴェストファーレンシュタディオンで行われた代表戦の勝率は9割を超し、一度も敗れたことがない。今大会もグループリーグの山場・ポーランド戦で、ロスタイムにオリバー・ノイビルがゴールを奪い、劇的な勝利を収めている。
最もネガティブな要素は、ワールドカップで行われたイタリア戦で2敗2分けという相性の悪さだ。ドイツの勝ちパターンとしては、窮地に陥った瞬間や勝負所で11人がいっせいにギアチェンジをして、混乱する相手からゴールをもぎとるというもの。今大会のアルゼンチン戦でも、リードされた後にスタジアム中の声援を味方につけた攻勢で、ペケルマン監督から弱気の虫を引き出している。イタリアがドイツに強いのは、見せかけのパワーアップに騙されることなく、終始、自分たちのペースで戦い抜けるメンタリティが大きいと思う。
今大会はホームの力を最大限に活かして、相手陣内で戦いながら守備の問題を隠蔽してきたドイツ。11人の先発メンバーはほとんど固定されていた。だが、ユルゲン・クリンスマン監督はアルゼンチン戦までの消耗と、対戦相手イタリアのキツいプレスを考慮して、中盤の構成をいじってきた。
アルゼンチン戦の試合後、相手選手への暴行を取り沙汰されて出場停止のトルステン・フリンクスの代わりに、このドルトムントを主戦場にしてきたセバスティアン・ケールを起用。ケールは、故障を抱えるミヒャエル・バラックとダブルボランチを組み、これまでのダイヤモンドの4-4-2からボックスの4-4-2へ変化した。また、バスティアン・シュバインシュタイガーがベンチスタートとなり、左サイドにはティム・ボロウスキが入っている。
これに対して、フィールドプレーヤー全員の足慣らしをしているイタリアのリッピ監督は、決勝トーナメントに入ってから採用している4-4-1-1を崩さず、ケガ人と出場停止のデ・ロッシを除く、現有戦力で最も信頼している11人をピッチ上に散りばめてきた。
必要以上に引くことなく、むしろ主導権をとる形で試合を開始したアズーリは、ボールポゼッションで上回り、2列目からの飛び出しでドイツの最終ラインを揺さぶる。そして15分、フランチェスコ・トッティのスルーパスに呼応してシモーネ・ペロッタがフリーで抜け出す。ここは好調をキープするイェンス・レーマンの好守に阻まれたものの、スタジアムの熱気をとりあえず冷ますことに成功した。
後半に入るといつもの如く、ドイツが明らかにペースを上げていくが、イタリアはこの激流に巻き込まれても、落ち着いて対処した。ファビオ・カンナバーロを中心としたDF陣がなかなかチャンスを与えず、数少ないピンチは、ジャンルイジ・ブッフォンの好守に救われる。そして守備に8割以上忙殺されながらも、そこから何発か危険なカウンターを見舞った。ドイツもレーマンが幾度かの決定機を阻む。緊張感漂うゲームは、とうとう延長戦へ。
そして29分間で、アルベルト・ジラルディーノのシュートがポストを叩き、ジャンルカ・ザンブロッタのシュートがバーに当たり、ルーカス・ポドルスキのシュートがブッフォンの手に弾かれた。サッカーの神様は、なかなか、ファイナリストを決定しようとしない。このまま勝敗の決定が先送りされれば、PK戦に絶対の自信を持っているドイツの歓喜と、開催国相手のゲームとPK戦にトラウマを持っているイタリアの絶望は大きい。
しかし、ついにその瞬間が訪れる。イタリアのグロッソが放ったシュートの弾道は、誰よりも決勝の舞台に立ちたかったはずの男・バラックが、つい1秒前まで埋めていたスペースを通って、ドイツのゴールに転がり込んだ。その時、電光掲示板が示していたのは119分。ロスタイムにもアレッサンドロ・デルピエロが追加点を加えたイタリアが、4度目の優勝を賭ける舞台へと駆け上がっていった。
開催国優勝の夢破れたドイツ。「飛ぶボール」の性質を分析していたのだろう、ロング・ミドルレンジからのシュートを有効に使った。PK戦の強さに現れているように、決定機でシュートを枠内に飛ばす能力は伝統的に高い。アルゼンチン戦の疲労が選手たちに残っていたのか、それとも守るイタリアのプレッシャーからか、この準決勝だけはややそこに精度を欠いての敗戦。それだけが悔やまれる。
しかし、予選グループ敗退もありえるという世間の見方を覆す健闘は、そのまま今大会の盛り上がりにつながった。「フィナーレ、ベルリン」を合言葉にしていたドイツ国民も、最後まで自分たちにできることをし続けたこのチームに対しての批判はほとんどなかった。国中ではためいていたドイツ国旗こそ、このチームの成功を示す象徴だろう。
イタリアは、劇的な勝利で決勝に進出した。グロッソのゴールは残り1分。ホームチームがスタジアム中を味方にして攻勢をかけるには、あまりにも残された時間が少なく、結果的に見れば最高の時間帯に生まれた決勝点だった。スタッフや選手は「例えPK戦になったとしても、今日は勝てなきゃ嘘だった」というニュアンスのコメントを残していたが、試合内容とPK戦の勝敗が別問題であることは過去の歴史が示している。試合が決着したことを感謝すべきだろう。
本大会に登録した全FWが得点を挙げ、軸となる選手をケガや出場停止で失っても、代わりに入った選手が活躍する。その分厚い選手層は、プロビンチアからも選手を抜擢し、様々なシステムをテストしてきたマルチェロ・リッピ監督に功を帰すべきだろう。16年前の地元大会、そして12年前のアメリカ大会に残した忘れ物を取り返すために、イタリアは決勝に挑む。
| (ドイツ代表) | (イタリア代表) | |||||||
| GK: | イェンス・レーマン | GK: | ジャンルイジ・ブッフォン | |||||
| DF: | アルネ・フリードリヒ、ペア・メルテザッカー、クリストフ・メツェルダー、フィリップ・ラーム | DF: | ジャンルカ・ザンブロッタ、マルコ・マテラッツイ、ファビオ・カンナバーロ、ファビオ・グロッソ | |||||
| MF: | セバスティアン・ケール、ミヒャエル・バラック、ベルント・シュナイダー(83分/ダヴィド・オドンコー)、ティム・ボロウスキ (73分/バスティアン・シュバインシュタイガー) | MF: | マウロ・カモラネージ (91分/ヴィンチェンツォ・イアキンタ) 、ジェンナロ・ガットゥーゾ、アンドレア・ピルロ、シモーネ・ペロッタ (104分/アレッサンドロ・デルピエロ ) 、フランチェスコ・トッティ | |||||
| FW: | ミロスラフ・クローゼ (111分/オリバー・ノイビル) 、ルーカス・ポドルスキ | FW: | ルカ・トニ (74分/アルベルト・ジラルディーノ) | |||||
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