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 webnews 06/07/21 (木) <前へ次へindexへ>
女子W杯5大会連続出場へ向けて、なでしこ、まずは好発進。
AFC女子アジアカップ2006オーストラリア・グループA なでしこジャパン(日本女子代表)vs.ヴェトナム女子代表

2006年7月19日(水)14:30キックオフ ハインドマーシュスタジアム 観衆:500人 天候:晴れ
試合結果/日本女子代表5−0ヴェトナム女子代表(前1−0、後4−0)
得点経過/[日本]澤(39分、52分)、阪口(65分、78分)、永里(81分)


文/西森彰

「このぶんじゃ、今日はずいぶん手こずりそうだな」

 ゲームの立ち上がりの15分間を見てそう思った。何せ、場所が場所だ。オーストラリアのアデレードといえば、シドニー五輪男子サッカー代表終焉の地。20試合中18試合が行われるメイン競技場・ハインドマーシュスタジアムは、記憶違いでなければ、つい先ごろ引退を表明した中田英寿がPKを失敗して頭を抱えた場所ではなかったか?

 トーナメント初戦の硬さからであろうミスもあった。連戦で痛んだピッチにコントロールを崩された部分もあった。ひとりがボールにプレッシャーをかけ、ひとりがカバーリングに向かい、手の空いている選手はそれぞれ相手プレーヤーのマークにつく、ヴェトナムの基本に忠実な守備も機能していた。それでも、決定的なシーンをそれなりに作り、しかもシュートを枠に飛ばした上で、得点が入らないとなるとそれはもうサッカーにおける一番深刻な問題、つまり「運不運」だ。

 大谷未央が放った強烈なシュートを、その手に弾かれたのがケチのつけ始めだった。岩清水梓のヘディングシュートが正面に飛ぶと、もう、GKの勢いは止まらない。大谷が右サイドに流れて上げたクロスに、荒川恵理子がボンバーヘッドを合わせたが、これもパンチングでクリア。モヤモヤしたものを引っ張りながらプレーする日本の攻撃陣を相手に、「やれる」という自信をつけたヴェトナム守備陣の集中力が光る。

 一歩引いて試合を眺めていると、ヴェトナムの選手たちにも、なかなかどうして足技もそれなりのレベルにあるし、スピードもある。ただ専守防衛に徹しているために、2トップが良い形で受けてもフォローがない。焦る気持ちから、どうしても前がかりになる柳田美幸、酒井與惠が空けたバイタルエリアに、もう1枚入ってこられたら、どうなっていたか分からなかった。

 イライラと、そしてジリジリとする時間が続く。ようやく、先制点を奪ったのは、前半も残り5分を切ってから。柳田の蹴った右CKに下小鶴綾が頭で合わせ、落としたボールを澤穂希が素早くで押し込んだ。どれだけ集中していても、ダイレクトプレーには対応しづらい。良く守っていたヴェトナムには気の毒な時間帯に入った、それだけにダメージの大きな先制点だった。



 寒いモノを感じていたはずの大橋浩司監督は、後半の頭からいきなりカードを切ってきた。荒川に代わって、コンディション不良が伝えられていた永里優季の投入だ。すると、いきなりその永里がDFを引きずりながら突進してPKをもらう。直前合宿で練習していたPKを、大谷がゴールバーの上に吹かす。どこまで行ってもアデレード…。

 そんなボヤキを消し去ったのは再び、澤。50分、柳田が深くえぐって戻したボールを矢野喬子が中央に上げると、ゴール前で待ちうけた澤がシュート練習のように、簡単に頭で流し込む。オフサイドをアピールしたヴェトナムの選手たちだったが、ミスジャッジはそこではなく、敵陣深くでの柳田のドリブルがエンドラインを越えていたのを流したところ。さらに、下小鶴がドァン・ティ・キム・チに振り切られて作られた1対1のピンチで、福元美穂がループシュートを手に当てて防ぐ。ようやく、日本にもツキが巡ってきた。

 すると、大谷と交代でフル代表デビューを飾った阪口夢穂が、ゴールを連発する。66分、永里のポストプレーを中央で受けて振りぬき、記念すべきフル代表初ゴール。79分にも、柳田、矢野、宮間あやのパス交換で崩したボールを、またもや中央で詰めた。プレー時間約30分間で2得点と、最高のデビューだ。

 TASAKIペルーレFCでは、主にボランチを務めるが、もともと、スペランツァF.C.高槻に所属していた2004シーズンは前目のポジションでプレー。ケガで離脱するまで得点王争いに絡んでいた程、攻撃力は高い。FCヴィトーリアで指導していた福永亜紀監督から、物怖じしない性格を評して「小天狗」と言われていた阪口。代表初招集の時には「年代別代表とはまるで違います。全てが違います」と殊勝なコメントをしていたが、大物感たっぷりなプレーで魅せた。

 年代別代表でともにプレーしていた永里も、試合を締めくくるゴールで5点目。ヴェトナムを相手に、まずは好発進だ。



 なでしこジャパンを物差しにすれば、ヴェトナム女子代表の実力はL1下位〜L2上位クラス。きれいなワン・ツーで日本の守備網を抜けたように、ところどころで光るものはあった。日本を相手にしてもサッカーをしようと思えば、それなりの試合はできたと思う。ただし、ワールドカップへの出場権に拘るのならば、やはりこの日のようなベタ引きの5バックで、神の加護を願うほかはなかったかもしれない。

 さて、日本。硬いピッチ状態に本来のパス回しを消されたものの、最後は地力の差を見せ付けて、予定通り勝ち点3を奪った。次のチャイニーズタイペイにきっちりと勝てれば、最後の中国戦は流して構わない。本大会出場が決まっている中国に5対0で勝とうが、0対5で負けようが、些細な違いでしかない。重要なのは準決勝にベストの状態で臨むこと。この試合だけは絶対に勝たなくてはいけない。

 対戦相手となるグループBの国(オーストラリアなのか、北朝鮮なのか、韓国なのかは分からないが)は、日本より1試合多くこなした上に、休養日が1日少ない。こんな有利な条件を見逃す手はない。中国が準決勝で敗れて3位決定戦に回ってくると、ここで勝とうが負けようが、北中米代表とのプレーオフになる。日本にとって、本大会出場を賭けた試合は、この準決勝だけの可能性がある。それを念頭に置いて、残りグループ2試合を戦ってもらいたい。


(日本女子代表) (ヴェトナム女子代表)
GK: 福元美穂 GK: DANG,Thi Kieu Trinh
DF: 岩清水梓、磯崎浩美、下小鶴綾、矢野喬子 DF: BUI,Thi Tuyet、TRAN,Thi Thanh、DAO,Thi Mien、NGUYEN,Thi Ngoc Anh、VAN,Thi Minh Nguyet
MF: 酒井與惠、柳田美幸、澤穂希、大野忍(76分/宮間あや) MF: NGUEN,Thi Minn Nguyet、NGUYEN,Thi Huong(57分/VU,Thi Huyen Linh)、DOAN,Thi Kim Chi、
FW: 大谷未央(61分/阪口夢穂)、荒川恵理子(H.T/永里優季) FW: DO,Thi Hai Anh、LE,Thi Hoai Thu(65分/LE,Thi Oanh)
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