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 webnews 06/08/08 (火) <前へ次へindexへ>
ここまでホーム全勝のアンクラス。ディビジョン1昇格のために負けられない一戦に臨む
真夏の大一番を制したのは大原学園。アンクラスはホーム初黒星
mocなでしこリーグ ディビジョン2 第11節 福岡J・アンクラスvs.大原学園JaSRA女子サッカークラブ

2006年8月6日(日)11:00キックオフ 宗像グローバルアリーナ 観衆:208人 天候:晴
試合結果/福岡J・アンクラス0−3大原学園JaSRA女子サッカークラブ(前0−1、後0−2)
得点経過/[大原]楯石(20分)、中尾(78分)、長島(84分)


取材・文/中倉一志

 mocなでしこリーグ第11節、ホームで全勝を続ける福岡J・アンクラスが、ディビジョン1昇格争いのライバルである大原学園JaSRA女子サッカークラブを迎える。消化試合数で1試合少ないアンクラスは、首位のアルビレックス新潟レディスに勝ち点7差、2位の大原学園には同じく6差の3位。昇格争いに生き残るためになんとしても勝利が欲しい。布陣はいつもの4−3−3。持ち味のパスをつなぐ攻撃的なサッカーで勝ち点3を取りに行く。

 一方、負けられないのは大原学園も同じだ。首位の新潟に離されず、そして3位のアンクラスを突き放すためには勝ち点3が絶対条件。「この暑さの中では、うちのほうが先に足が止まるのは戦う前から目に見えている。勝負は前半。先制点と無失点をテーマに準備してきた」(種田佳織監督)。布陣は4−4−2。最終ラインの4人とダブルボランチで堅固な守備ブロックを形成し、前の4人がポジションを入れ替えながらゴールを目指す。



3トップの一角として積極的な動きを見せたアンクラスの深澤(オレンジ・13)と、それを阻止する大原学園の井上(黄色・3)
 立ち上がりの主導権争いを経て最初にペースを掴んだのは大原学園。「前半勝負」という狙い通り、アンクラスを上回る出足の速さで激しいプレッシャーをかけ、奪ったボールを早めに最終ラインの裏へ放り込んで2トップを走りこませる。そして中盤にこぼれたボールは中野真奈美が拾ってゲームを組み立てる。その激しさに戸惑いを見せるアンクラス。持ち味である高い技術を発揮できず、いつものパスサッカーが影を潜めた。

 そんな展開の中、大原学園の先制点が生まれたのは20分。GK澤田法美のフィードを中野真奈美がヘディングで最終ラインの裏へ。そのボールを追いかけて走りこんだ盾石佳子が、飛び出してくるGK田上未希の動きを見極めて冷静にゴールに流し込んだ。「形として取れたゴールじゃない。ラッキーなゴール」(種田監督)。しかしゴールに偶然はない。しつこく最終ラインの裏へ走りこみ続けた結果に生まれたゴールだった。

 大事な一戦での先制点は試合の流れに大きな影響を与えるもの。しかし、アンクラスは慌てずに自分たちの時間を待つ。ようやくアンクラスのパスがつながり始めたのは30分を過ぎたあたりから。激しいプレスに慣れ、大原の運動量が落ちてきたことも手伝って、ジワジワとリズムを刻みだす。そして、ここからは膠着状態。ボールをつないで前へ出るアンクラスと、長いボールを前線に送る大原学園。互いにシュートに持ち込めない展開の中、前半戦が終了した。



光成(オレンジ・9)のポストプレーにプレッシャーをかける高木(黄色・24)。粘り強さを見せる大原学園はアンクラスを無得点に抑えた。
 30度を超す気温と九州特有の強い日差しはサッカーには厳しすぎる。時間の経過とともに大原学園の運動量は確実に落ちていく。そして後半開始直後には足が止まった。一方、前節の灼熱の熊本戦で90分間走り抜いたアンクラスの体力はこの日も健在。疲れを感じさせないプレーは、スペースと時間、そしてこぼれ球を制するようになっていく。走るサッカーとマイボールを大事にするサッカー。ここからアンクラスの猛攻が始まった。

 リズミカルにボールをつなぎ、左右に大きく展開して両サイドから攻め上がるアンクラス。粘り強く守っていた大原学園のDFラインが振られ始める。状況はアンクラスに有利に思えた。しかし、ここでアクシデントが発生する。アンクラスDFラインの要・鈴木千賀がけがでピッチの外へ。治療と選手交代に5分ほどを費やした。一息つく余裕を与えられた大原学園。この時間が微妙に試合に影響を与えることになる。アンクラスにしてみれば、一気に畳み掛けたい時間帯だったのだが・・・。

 そして78分。セットプレーから大原学園がゴールネットを揺らす。副審は高々とオフサイドフラッグを上げたのだが、判定理由を確認した主審が、これを取り消してゴールを認定。さらに84分には、アンクラスが攻めに出ようとして3バックに変更した直後の隙を突いて決定的ともいえる3点目をゲット。最後はパワープレーでゴールをこじ開けようとするアンクラスの攻撃を封じ込めて真夏の大一番を制した。



ゴール前で激しく競り合うアンクラスと大原学園。セットプレーからの得点が試合の流れを決めた。
「内容はともかく、結果的に勝ちがうちに来たというのは大きかった。質的な部分で言えば、アンクラスさんの方が中盤は丁寧だったし、技術的なことでも、この暑さの中で発揮できていた。けれども、今日は結果を出すことが次への一歩。集中を切らさないようにと言い続けてきたが、結果を残せたことが最大の収穫」(種田監督)。3点差がついたとはいえ、試合自体はどちらに転んでもおかしくない展開。そんな試合を制したのは、要所を押さえる勝負強さと、結果にこだわり抜いた姿勢だった。

「前回の敗戦を踏まえてトレーニングを積み、走り負けないこと、90分間戦えることに主眼を置いてやってきた。そういう部分では成果は出た。ただ戦術的な部分で相手の経験ある選手のずるがしこさ、上手さに若い選手がやられた」とは本庄徹哉コーチ。技術、戦術面では互角に戦った。しかし、結果として歯が立たなかったのは、若い選手が中心であるクラブの、そして初めて全国の舞台を戦うクラブの経験のなさだったのかもしれない。

 勝った大原学園。次節は新潟との首位決戦を戦う。「リーグ戦の真価が問われる試合。怪我人、体調不良、累積警告等、互いにベストメンバーを組めない中、チームとしてどういう戦い方が出来るかがポイント。次はホーム。勝つことがうちにとっては必要最低限」(種田監督)。昇格の行方を左右する大一番に備える。
 そしてアンクラスは20日にAS狭山との仕切り直しの1戦を迎える。「勝つことだけを考えた戦ったが、これを次に生かすしかない。もう次は始まっている。しっかり今からスタートしたい」(正手亜希子)。下を向く必要はない。リーグ戦はあと11試合残っている。


(福岡J・アンクラス) (大原学園JaSRA女子サッカークラブ)
GK: 田上未希 GK: 澤田法味
DF: 内堀律子 鈴木千賀(60分/阿比留麻由→83分/尾崎まどか) 藤陽子 板谷麻美 DF: 土橋優貴 高木奈央 中尾美鈴 井上稚子
MF: 渋谷由美子 河島美絵 正手亜希子 MF: 山本裕美(59分/住江真祐子) 津波古友美子 中野真奈美 渡邊真結子(86分/赤木裕衣)
FW: 深澤里沙(84分/谷原ゆかり) 川村真里 光成芳恵 FW: 盾石佳子 中川千尋(48分/長島しおり)
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