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 webnews 06/12/08 (金) <前へ次へindexへ>
陽はまた昇った
陽はまた昇った。柏レイソル、J1へ復帰!
2006Jリーグ ディビジョン2 第52節 湘南ベルマーレvs.柏レイソル

2006年12月2日(土)14:05キックオフ 平塚競技場 観衆:9,704人 天候:晴
試合結果/湘南ベルマーレ0−3柏レイソル(前0−1、後0−2)
試合経過/[柏]フランサ(33分)、石川(53分)、リカルジーニョ(64分)


取材・文/西森彰

 長かったJ2リーグの52節・48試合を締めくくる最終戦、柏レイソルは開幕戦と同じ対戦相手・湘南ベルマーレの待つ平塚陸上競技場へと乗り込んだ。最終戦に賭けるものがただプライドだけとなってしまったホームチームに対し、アウェーチームには一部昇格の可能性が残されている。

 柏にも自力昇格の目はない。優勝が確定した横浜FCの次位につけるヴィッセル神戸とは勝ち点1差の3位。前節、数的不利を背負いながら神戸は執念で引き分け、柏はホームで2点差のリードから逆転負けした。あのゲームをモノにしていても、いや、そもそも開幕戦でこの湘南にロスタイムで追いつかれて失った、あの勝ち点2を返してもらっても、状況は逆転しているわけだ。

 だが、ポジティブに考えれば、6日前にその湘南が神戸から奪ってくれたロスタイムの同点弾が、柏に首の皮一枚のチャンスを残してくれた。長いリーグ戦47試合の結果をフェアに反映する形で、どちらにとっても大きな勝ち点1差がそこにある。

 単純な確率ならおそらく3割に満たないほどの可能性。それを信じて柏のファンは大挙、平塚に駆けつけた。「指定席は売り切れです。自由席は柏サイドのほうが混んでいますね」。スタジアムで当日券を販売しているスタッフの顔から、悔しさが垣間見える。バックスタンドのアウェー側から右へ。開放されたゴール裏エリアを埋め尽くした黄色い波は、メインスタンドまでスタジアム半周分を飲み込んだ。



 柏に課せられた使命はただ一つ、勝利の二文字しかない。石崎信弘監督は、石原直樹とアジエルが縦に並ぶ湘南のフォーメーションを考えたのであろう、予想された3バックではなく、4バックで布陣した。守備を安定させて、後顧の憂いなく攻勢をとる狙いだが、この期に及んでもプレッシャーからくる硬さが選手たちにつきまとっていた。キックオフから防戦一方に追い込まれる。

 4分、右CKに始まる流れの中で、2度に渡って湘南の選手にフリーでゴールを脅かされる。さらに10分、柏でプレーしていた加藤望にバー直撃のFKを蹴られ、5分後にもDFが処理にもたついたボールを加藤に攫われてピンチに陥る。いずれも、湘南の決定力不足に救われたものの、どちらが昇格争覇圏内にいるチームなのかわからないほどのもたつき。石崎監督にとって「勝ち点1差の3位」は、逃れられない運命とも思えた。

 しかし、埼玉スタジアムでロブソン・ポンテが値千金の同点ゴールを挙げた数分後、バイヤー・レバークーゼン時代の同僚も10番にふさわしい仕事でチームを救う。右サイドから流れてきたボールを、湘南ゴールに叩き込んだのはフランサ。この試合、柏にとって最初の枠内シュートが、何よりも欲しかった先制点となった。柏のファンがフランサを讃える歌を高らかに口ずさむ。

 ロスタイム、加藤のCKから中町公祐のヘディングシュートを浴びたが、これも南雄太の後ろでしっかりと閂をかけるゴールバーがはじき返す。そのまま前半は1対0で終了。彼らは昇格への一里塚に到達した。

 ベガルタ仙台の抵抗によって、神戸が1点のビハインド。その情報が場内アナウンスでもたらされても僅かなどよめきしか起こらなかった。スタンドの柏ファンはとにかく、目の前の敵に勝つこと、それだけに集中した。

 その意気込みに応えるように、チームもパフォーマンスを上げていく。53分、リカルジーニョが蹴ったFKに走り込んだ石川直樹が頭であわせて、追加点を奪う。さらに、湘南の菅野将晃監督が勝負を掛けた2枚交代を行なった直後に、フランサのシュートのリバウンドを、リカルジーニョが落ち着いて蹴りこみ、試合を決した。



 3対0で聞いた試合終了の笛にも、柏のファンは控えめな喜びを見せただけ。その胸の内を占めるのは「これで本当に届いたか?」との想いだ。自分たちでできることは、ほとんどやり遂げた。後はユアテックスタジアムの結果を、サッカーの神様が下す審判を待つだけだ。暫時、微妙な空気が平塚競技場に漂った。

 そして十数秒後、約400キロ離れた杜の都から「仙台勝利」の報がもたらされた。その瞬間を待ちわびていた柏のファンがお互いに抱き合う。乱入防止用の柵を潜り抜けた選手たちが、ファンの手でもみくちゃにされ、勝ち点1の壁を乗り越えた石崎監督が、選手とスタッフの手で冬空に舞った。

 2006年度J2リーグ最終日の光景を見届けた太陽は、平塚競技場メインスタンドの向こう側に隠れようとしていた。


(湘南ベルマーレ) (柏レイソル)
GK: 伊藤友彦 GK: 南雄太
DF: 冨山達行、松本昂聡、村山祐介、尾亦弘友希 DF: 蔵川洋平、小林祐三、近藤直也、石川直樹
MF: 北島義生(63分/佐藤悠介)、坂本紘司、中町公祐(63分/戸田賢良)、加藤望 MF: 山根巌、谷澤達也(45分/小林亮)、鈴木達也、リカルジーニョ
FW: アジエル、石原直樹 FW: フランサ、佐藤由紀彦(89分/ディエゴ)
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