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 webnews 07/12/07 (金) <前へ次へindexへ>
攻める吉備(白)を跳ね返すAkita(赤)。ともに一歩も譲らぬ戦いを展開した。
吉備国際大学、苦しみながらも2回戦へ
第29回全日本女子サッカー選手権大会 1回戦 Briosita Akita2006vs.吉備国際大学

2007年12月2日(日)13:30キックオフ 加古川運動公園陸上競技場 観衆:200人 天候:晴
試合結果/Briosita Akita20060−1吉備国際大学(前0−0、後0−0、延長前0−0、延長後0−1)
得点経過/[吉備国]中島(98分)


取材・文/ハヤシ ヒロヒサ

 この試合を取材するまで、Briosita Akita2006(以下、Akita)というチームについて、ほとんど何も知らなかった。チームの特徴どころか、メンバーすらあまり判っていなかった。手元にあった「秋田わか杉国体・サッカー競技会」のパンフレットだけが参考資料。秋田国体競技力向上対策局に所属している選手が多く、今夏の国体を大目標として作られたチームという推測は付いた。しかし国体では、アルビレックス新潟レディース単独チームである新潟県に初戦で敗れており、その力量は未知数。

 翻って、吉備国際大学(以下、吉備国)については、数試合を生観戦していたし、加えてカテゴリー別日本代表メンバー(U-19日本代表に、GK菅原未紗・DF磯金みどり・FW中出ひかり/2007年ユニバーシアード代表に、MF高橋悠・FW中出ひかり)が多いことも知っており、強いという印象が残っていた。下手をすれば、吉備国のワンサイドかという筆者の思い込みは、結局大ハズレ。それだけ緊迫した好ゲームとなった。



ゴール前で激しく競り合う両チーム。
 試合自体は、開始から吉備国のペース。5分(40分ハーフ)に小坂、7分に中出と続けてゴールに迫る。スピードを絶対的な武器とする吉備国に戸惑いを見せるAkitaだったが、徐々に特長である激しさで対抗し始める。スライディングやショルダーのタックルはフェアでありながら、相当に厳しく、吉備国の攻めをトーンダウンさせてゆく。4−3−3のシステムでスピードのある3トップを走らせる吉備国だが、3−6−1と中盤が厚いAkitaが、吉備国の有効なパスを封じたため、大きなチャンスが生まれない。

「ウチのポジションは流動的で、試合中にもどんどん変化します」と話すのはAkitaの山崎真監督。まさにその通りのサッカーを展開して、2、3列目と1トップが入れ替わりながら、吉備国のDFラインを脅かす。そして最初の決定機はAkitaに。12分に宮川がGKと1対1の場面を迎える。しかし、シュートは枠外へと外れた。

 中盤を潰された吉備国は、どうしてもロングボール頼みになり、3トップに放り込むが、ポストプレーをするタイプのFWが居ないためボールが収まらない。ボール支配は吉備国が上回り続けるが、パスを出す先を失った。

 ゲームの流れを握ったAkitaには決定機が続く。21分、山田の左足から放たれた軌道の美しいFKにゴール前で森がドンピシャのヘッド。誰もが先制点が入ったと確信したが、シュートは枠から僅かに逸れた。さらに25分、今度は、松本のクロスに山田がGKの手前でダイレクトボレーを合わせるも外してしまう。高さ、強さがあるAkitaの空中戦は間違いなく吉備国にとって脅威だった。吉備国は散発的に中出がスピードと技術を披露するが、孤立。結局、前半は互いにスコアレスで終えた。



 ハーフタイム、Akitaは「このままの流れで良い!」(山崎監督)と手応えを掴んでいた。一方、吉備国は、太田真司監督が「ルーズボールの処理、サイド攻撃の工夫」と具体的な指示で修正を図る。

 そして後半、後半開始早々の決定機は吉備国。中出がスピードでDFを置き去りにする。しかし、これはGK曽山に阻止される。そしてAkitaのゴールチャンスはその直後、分厚い攻撃で吉備国を左右に揺さぶってから、最後はゴール前でノーマークになっていた山田にボールが渡る。山田は丁寧に、しかし強いシュートを放ったが、ここで吉備国GK有馬が横っ飛びでスーパーセーブ、チームを救う。

 失点を覚悟したシーンを守ったことで勢いづいたのか、吉備国は48分にも決定機を演出。そして強引に攻めにかかる。対するAkitaも決して引かない。中盤の激しいプレスと高いDFラインの設定で勇敢に勝負。吉備国のスピードとの駆け引きが続く。吉備国FWをたびたびオフサイドに仕留めるAkitaの守備組織。高い守備ラインに苦しめながらも、間隙をぬってラインの裏を取る吉備国。目が離せない展開が続く。

 決定機を作り出すのは吉備国。53分、左サイドから崩した吉備国は、中島がフリーでヘディングシュートを放つが、バー直撃。59分には、右サイドから崩して、中出、杉本とつないで、最後は小坂がゴールを狙ったが、シュートはGKの正面をついた。この双方に流れ・チャンスが傾く試合、得点の匂いはずっと漂っていた。ただシュートミスとGKのレベルの高さによってスコアレス進行にはなっていたが。



決勝点をアシストした中出(10)と、値千金の決勝点を決めた中島(9)。2回線でも活躍が期待される。
 後半も半ばになると、両チームのエースのどちらかが勝負を決めるだろうという予兆が窺え始める。吉備国のエース中出は、得意の緩急の差で相手を置き去りにするフェイントを何度も決めてチャンスを創出していた。対してAkitaのエース山田は強いフィジカルと高さに加えて、トリッキーなフェイントで股抜きを連発。こちらも個人の力を存分に発揮する。しかし、エースの活躍で交互にゴール前に迫る展開を繰り返しながらもゴールは生まれず。遂に0−0のまま後半を終える。

 10分ハーフの延長戦も、互いに慎重にはならずに攻め合う。それぞれが一度ずつ決定機を外した後、ドラマは延長戦も終了間際に生まれる。AkitaのDFラインがキープするボールに対し、吉備国の中出が必死のチェイス。独力で奪い取ると、そのまま右サイドのスペースにドリブルで駆け上がり、無理な体勢からクロスを上げる。クロスはファーで待ち構える中島の足元へ。「思いっ切り打たずに、コースを狙った」(中島)シュートは見事に逆サイドのネットを揺さぶった。

 歓喜の吉備国イレブン、そしてベンチ。残り僅かな時間をコーナーでボールキープして凌ぎ切った吉備国が、やっとの思いで勝利を手繰り寄せた。さらに上のステージへ進んだ吉備国にとって、Akitaのサッカーは大いに勉強・経験となったはず。そしてAkitaは、クラブとして選手確保が課題になるものの、それをクリアすれば今後も地域の公共財として大きな存在になるだろう。





(Briosita Akita2006) (吉備国際大学)
GK: 曽山加奈子 GK: 有馬静佳
DF: 森くら、室井麻美、武者宏美 DF: 三根麻衣子、山口絢子、西田明美、磯金みどり(34分/坂本珠梨)
MF: 松長朋恵、岡見奈々、宮川美乃、松本美保、山田雅奈恵、吉田麻衣 MF: 高橋悠、小坂玲那(89分/西村望)、杉本恵理
FW: 猪ノ川明香(HT/岩崎めぐみ) FW: 中島亜弥香、中出ひかり、青島雅(89分/高橋奈那)
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