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蘇ったカナリア。帝京、好ゲームを制す。
帰ってきた帝京イレブン。
第86回全国高校サッカー選手権大会1回戦 帝京高校vs.済美高校
2007年12月31日(月)12:10キックオフ 西が丘サッカー場 観衆:6,088人 天候:晴れ
試合結果/帝京高校3−0済美高校(前0−0、後3−0)
得点経過/[帝京]奥山(63分)、椎名(66分)、伊藤(69分)
取材・文/西森彰
第86回全国高校サッカー選手権大会、久しぶりに冬の全国に戻ってきた帝京高校の山には、帝京以外の5校全てが前回大会を経験している。「彼らの中にこの舞台を知っている選手はひとりもいません。先輩たちも暫く全国に行けていなかったし、そのあたりで戸惑いもあったんでしょうかね。序盤はガチガチだった」と廣瀬龍監督が振り返ったとおり、帝京の立ち上がりは悪かった。
愛媛県代表の済美高校は、4-2-1-3のフォーメーション。都築幹昌、篠永諒、大谷庸平と並んだ3枚には土屋誠監督も自信を持っている。その自慢の3トップが帝京守備陣に襲い掛かる。帝京は3-5-2のフォーメーションだったが、横浜F・マリノス入りが決まっている浦田延尚を中心とする3バックが、センターFWの篠永への対応に追われ、サイドで1対1を作られる。
14分には、10番を付けてリベロ役を務めるセンターバック・西村雄太が攻め上がり、自分にマークを引き付けて篠永へスルーパス。フリーになった篠永がシュートを放ったが、これは僅かに左外へ。16分にもサイドチェンジから左の大谷にボールが渡ると、ニアサイドに篠永が走りこみ、シュート。序盤は完全に済美ペースだった。
帝京も20分過ぎから遠目のシュートでリズムを取り戻した。27分、椎名正巳の右コーナーキックから、伊藤竜司が頭で落としたところへ小磯雅が飛び込む。これは得点につながらなかったものの、前半を0対0で折り返すことができた。廣瀬監督は「どうだ、少しはほぐれたか?」と選手を迎え、「良かったな、2点取られなくって」と続けた。
後半に入るとコートが変わり、帝京が風上に立った。「前半はこっちのクリアボールが風で戻されていた。後半になってそれがなくなり、中盤にスペースができてパスがつなげるようになった」と、帝京キャプテンの浦田。試合の流れも帝京のほうに流れていく。
帝京のキャプテン・浦田。苦しい前半を凌いで、勝利に貢献。 済美のキャプテン・西村は、攻守にチームを引っ張った。
そして勝負を決めたのは廣瀬監督の決断だった。54分、小磯雅を日永田祐作に交代し、相手の3トップに苦しめられていた守備陣を再編成した。システムを3バックから4バックへ切り替えたのである。
「ウチは3-5-2で戦うことが多いんですが、相手の両サイドがワイドに開く形から、スピードに乗って攻撃されてしまっていたので、(数を)当てはめちゃったほうが良いかな、と考えました」(廣瀬監督)
残り時間を考えて、リスクヘッジを第一に考えたシステム変更だったが、これが攻撃にも好影響を与えた。63分の先制点は、システム変更で左サイドに出た浅田大樹の攻撃参加から始まった。そしてクロスに新裕太朗が飛び込んでDFと潰れた裏に、奥山慎が右足を合わせて生まれた。これで勝負は決した。66分、69分と椎名、伊藤が加点し、一気に勝負を決めたのである。
風が強く、前後半で有利不利がワンサイドになるこの日の天候では、自分たちの時間帯に、ゴールを取れるかどうかが全てと言っても良い。その中で済美は前半の好機を逸したのが、大きく響いた。スピードとテクニックを兼ね備えた3トップや、強さと戦術眼を持った西村など好素材も多く、1回戦で消えるには惜しいチームである。
勝った帝京は、風上に立った後半、システム変更で勝負をかけて狙い通りのまとめ打ちで2回戦に進出した。劣勢下の前半を失点ゼロで折り返せたことが大きかった。ひとりひとりのシュートへの意識の高さが23本という数字に現れていた。無理めな位置からでもシュートを放つことで、徐々にペースを手繰り寄せる。そして相乗効果で引き立たせるのが、伝統のカナリア色のユニフォームである。
(帝京)
GK: 大久保拓生
DF: 伊藤竜二、浦田延尚、浅田大樹
MF: 早川孝志、鯨岡佑太、小磯雅(54分/日永田祐作)、椎名正巳、工藤裕貴(69分/内澤駿介)
FW: 新裕太朗、奥山慎(73分/村松知輝)
(済美)
GK: 渡邉大祐
DF: 渡邉哲也、西村雄太、藤田怜史、武田裕哉
MF: 渡邉尚仁(44分/山脇揚平、73分/村上太一)、林昴佑、團上健太
FW: 都築幹昌(66分/菅浩雅)、篠永諒、大谷庸平
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