topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 08/01/05 (土) <前へ次へindexへ>
地元の期待を一身に担って戦う流通経大柏イレブン。
候補・流通経大柏が苦しみながらも初戦突破。
第86回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 流通経済大柏高校vs.久御山高校

2008年1月2日(水)12:10キックオフ 柏の葉公園総合競技場 観衆:9,000人 天候:晴
試合結果/流通経済大柏2−1久御山(前1−1、後1−0)
得点経過/[久御山]村山(20分)、[流通経済大柏]村瀬(39分)、大前(53分)


取材・文/中倉一志

 柏の葉公園総合競技場に続々と集まるサッカーファンがスタンドを埋めていく。キックオフ前にはメインスタンドはほぼ満員。観客は9000人を数えた。2回戦第1試合に登場する流通経済大学付属柏(以下、流通経大柏)は地元のチーム。しかも、今シーズンはインターハイ3位、高円宮杯優勝の実績を持つ。2度目の選手権出場ながら、押しも押されぬ優勝候補と目されるチームがどんな試合を見せてくれるのか。試合前からスタンドの期待は高まる。

 その流通経大柏と対するのは6年ぶり4回目の出場となる京都府立久御山高校。高い技術と攻撃力が特長のチームだ。「5年出ていませんので、ほぼ初出場です。全国は変わってきましたが、自分達はあまり変わっていませんので『どうなりますやら』という感じです」とは、大会パンフレットに書かれた監督の抱負。その肩から力の抜けたコメントに、むしろ自信のようなものが感じられる。果たしてどんなチームなのか。久御山にも注目が集まる。



こちらは久御山イレブン。巧みな個人技で優勝候補に挑む。
 開始1分、流通経大柏のロングスローからいきなり上條宏晃のシュートがゴールを襲う。10分にもワンツーから中央を抜け出した上條のシュートがゴールポストを叩き、15分には秋山心がヘディングで落としたところに上条が飛び込んだ。まずは2トップにボールを当てて、そこからワンタッチではたいたボールを両サイドへ。最後はクロスからのボールに上條がフィニィッシュを狙うのが攻撃のパターン。立て続けに作った決定機は、さすがは優勝候補の筆頭だ。

 しかし、久御山が一方的に押し込まれていたのかと言えばそうではない。久御山はボールを奪うと上村大介、村山拓哉がドリブルを仕掛けて流通経大柏の中盤を切り裂き、村山が中へ入ることで空く右サイドのスペースを右SBの上田悠太が駆け上がる。「足元に入ったボールのいじり方はすごく上手かったですね。うちの選手たちも取りにくかったと思いますよ」(本田裕一郎監督・流通経大柏)。独特なリズムを刻むサッカーは、流通経大柏の思い通りには試合をさせない。

 流通経大柏がいいリズムを刻みかけると久御山がドリブル突破で盛り返す。その繰り返しで進む試合は、やがて試合のペースは久御山のものになっていく。そして20分、久御山が得意のパターンから先制点を奪った。上田のオーバーラップから中央へ展開。細かくパスをつないで、最後はこぼれたところを村山拓哉が左足を振りぬいた。優勝候補相手に値千金の先制点。久御山応援団から歓声が沸く。

 しかし、流通経大柏も自分たちの形で同点に追いつく。時間は前半のロスタイム。中央で起点を作ってから左サイドに開いた大前へ。大前はドリブルでためを作ってゴールアーリークロスを入れる。そこへ飛び込んできたのは村瀬勇太。右足を投げ出すようにボールに当てて、ゴールネットに流し込んだ。流れるような展開と、難しい体勢からのダイナミックなシュート。実力を窺わせるゴールシーンだった。



流通経大柏の応援団。
 後半に入ってさらに高い位置から攻撃を仕掛ける流通経大柏。相手のミスをさらってドリブルとショートパスで流通経大柏ゴールを目指す久御山。そのこう着状態を経て、久御山の運動量が落ちてきたところで流通経大柏が主導権を奪った。そして、49分、51分に作った2つの決定機を逃した後の53分。勝負を決するゴールを流通経大柏が奪った。ゴールを奪う形を作ったのは、前半途中からピッチに登場し前線を走り回った久場光だった。

 前線へのロングフィードの抜群のタイミングで対応した久場は、オフサイドラインを突破してスピードに乗ってゴールへ突進する。久御山は対応した附直人が追走するが久場の突破を止められない。たまらずに激しく体を寄せてもつれるように転倒したところでホイッスル。主審はペナルティスポットを指差し、附にレッドカードを提示した。このPKを大前元紀が落ち着いて決めた。

 60分には、流通経大柏も名雪遼平が2枚目のイエローカードを受けて10人に。互いに1トップにして対応したものの、疲労も重なって中盤にはスペースができ、ややバタバタとした展開へと変わったが、ともにゴールを奪うには至らず。結局、スコアは2−1のまま動かないまま試合終了のホイッスルを聞いた。「どんな試合も五分五分だと言ってきましたが、その通りになりましたね」(本田監督・流通経大柏)苦しんだ流通経大柏。健闘が光った久御山。そんな印象を残した試合だった。



柏の葉球技場。青く晴れ渡る空の下で流通経大柏は頂点を目指す
 久御山は、パンフレットの監督コメントの通りのチームだった。高い個人技と攻撃力もさることながら、決して気負わず、最後まで堂々と流通経大柏と渡り合った。試合内容そのものには差はなかった。ただし、ゴール前での強さの差はれ毅然としていた。それは流通経大柏のシュート数が10本であったのに対し、4本しか打てなかったことに表れている。それが、この試合の勝者と敗者を分けたと言えるだろう。

「選手権は全然違いますね。仕掛けも早いですし、勝負も早いですし。ゆっくりは中々させてもらえない」とは本田監督。厳しい試合内容に反省しきりだった。夏以降、過密スケジュールが続いて選手たちが精神的に休める期間が取れなかったことを要因のひとつに挙げたが、それも強豪校ならではの宿命だろう。

 それでも、最後は「苦しい状況を力に変える。そういうタイプの選手が多いので、むしろ、うちにとっては良かったかもしれない。やっと開き直れるかなと。とにかく初戦をどうやって突破するかが最大のテーマだったので、とりあえずひとつ勝ったことが良かった」と総括してスタジアムを後にした。





(流通経済大柏) (久御山)
GK: 須藤亮太 GK: 本城佳典
DF: 中冨翔太 天野健太 秋山心 比嘉祐介 DF: 上田悠太 大溝雄太 大坪知哉 附直人(53分/退場)
MF: 小島聖矢(26分/田口泰士→79分/海老原慎吾) 名雪遼平(60分/退場) 中里宗宏 村瀬勇太 MF: 村山拓哉 辻井勇人 小屋翔平 森岡亮太
FW: 上條宏晃(34分/久場光) 大前元紀 FW: 田畑幸司(68分/森上真嗣) 上村大介
<前へ次へindexへ>
topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink